プロダクトマネージメントとは愛。「二兎を追う仕様」はPdMのプロダクト愛から生まれた話
こんにちは。本間(@kazushiro_tcmc)です。LayerXでは@maroでやらせてもらってます。
LayerXでバクラク申請とバクラク経費精算のプロダクトマネージャーをしています。
先月バクラクPdMチームで1日合宿を行い、「一緒に働きたいPdMってどんなひと??」というテーマでディスカッションをしました。
私達バクラクPdMチームは兼務含めて9人なんですが、その大半のメンバーから出てきた"こういう人と一緒に働きたい!"が「プロダクトへの愛・お客様への愛を持っている人」でした。
プロダクト愛ってよく聞くけど、改めて考えてみるとふわっとしてて掴み所がない言葉だなって思ったんです。
このnoteでは、プロダクト愛についてちょっと自分の思うことを纏めてみようとおもいます。
「あなたはプロダクト愛がありますか?」
もし誰かに「あなたはPdMとしてプロダクトに愛がありますか?」と聞かれたらどう答えます?私は「当然Yesです 👍」 と答えます。
では、その次に「どうしてそう思うんですか?」と聞かれたらどうでしょ。
そんな問から自分なりのプロダクト愛について深ぼっていきます。
ぜひ皆さんも一緒に考えてみてください。
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今PdMとして担当しているバクラク申請・バクラク経費精算に対してプロダクト愛を持っていると言い切れる理由、3つあるなと思っていて。
プロダクト自体が好きである
自分ならそのプロダクトをもっと良くしていけると思っている
プロダクトのことを、良さを周りに大声で伝えていきたい
そんな3つの気持ちがあるからこそ、「私にはプロダクトの愛があるんです。」って胸張って言えるんです。
もちろんこれは正解があるわけじゃなく、私にとってこの3つの気持ちこそがプロダクト愛を支えるポイントです。
プロダクト愛というと、得てして「プロダクトが好き・ビジョンが好き・業界が好き」と"好き"という気持ちが一番想起されると思います。
でもそれだけでは「ただのプロダクトのファン」であり、PdMとしてプロダクト愛を語るには片手落ち感が否めない。
「俺が/私が、このプロダクトを世界一にしてやる、世の中の全員を幸せにしてやる」そんな気持ちを持ててこそ、プロダクト愛なんだろうなぁと。
逆に、そういった「プロダクトを良くしていける」と思う気持ちは、完璧ではない今のプロダクトに魅力を感じ、可能性を信じれるからこそ醸成されるものです。
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さて、今回のnoteのテーマは「愛を語る」です。小っ恥ずかしいです。
ここからの文章は、私が語る「プロダクト愛」です。
プロダクト愛3つのポイントで挙げた「プロダクトのことを、良さを周りに大声で伝えていきたい」を実演します。
とはいえ、機能について褒めちぎるという話ではなく、バクラクの機能の裏側にある文化や思想を中心に語ります。
バクラクというプロダクトに興味がない人でも、「プロダクトへの愛はどう醸成されるか」という観点でぜひご覧ください
初めてバクラクを触ったとき、「やさしさ」を感じた
LayerXの一部職種における選考には「1Dayトライアル」というフローが存在します。
PdM職の選考にもこのフローが存在していて、私のときは「あるバクラクの新機能についての仕様を考えてほしい」というお題を1日かけて考えるというものでした。
トライアルについて気になる方はぜひこちらも。
トライアルの中で初めてバクラクを触り、「利用者に優しいプロダクトだなぁ」と所々で感じました。それが第一印象でした。
そしてOCR精度の高さにも感動してました。
このまま行くとただバクラクの紹介になってしまうので、ここまでにしておいて…
まとめると、入社するまでのプロダクトの印象は「使いやすいなぁ、よく考えられているなぁ」でした。
バクラクに根付く「圧倒的に使いやすい」文化の裏側
トライアルを経て無事LayerXに入社後、一緒に働くメンバーの方に「なぜこの機能はこういう仕様になっているのか・なぜこのようなデザインなのか」を聞くようになり、そこで聞いたエピソード達が、プロダクト愛を強く持てるきっかけでした。
「あぁ、これが愛を持ってプロダクトを作ることなのか」と。
OCRによる読取り機能の裏側にある「失敗に備えた体験設計」
いくつかの事例を元に、「圧倒的に使いやすい文化」の裏側を紹介します。
まずはOCRについて。詳しくはこちらのブログを読んでいただければと思いますが、ざっくりかいつまむと…
バクラクの大きな売りの一つ「OCR」機能、アップした写真を元に支払先や金額などを読取り、自動で必要項目が入力される
100%正しく読み取れることはない。その読取り失敗時にユーザーの体験を損ねないような体験設計を行っている
OCRで読み取った金額や社名のうち、一番マッチ度が高いものは自動で入力されるが、それ以外の読取り情報も入力値のサジェストとして表示される機能
というエントリーです。
プロダクト愛というと、ややもすると「プロダクトに揺るぎない自信がある」という捉え方をしてしまいがちです。
それは大切なことでもある一方、お客様を置き去りにしてしまうことにもなりかねません。信じすぎは、そこから外れた操作・行動をするユーザーを例外・外れ値として捉え、本当に困っているお客様を救えない可能性もあるのです。
自身にも身に覚えがあります。
自分たちが想定している「理想的な機能利用フロー・ジャーニーから外れている場合は、それが少数なら外れ値としてみなす」という思考を持って分析や仕様検討をしていたことがあります。
自分のプロダクトに自信があり、正しく使えていないお客様が悪いという、かなりよろしくない思考です。
このOCRサジェスト機能、ユーザーとして使っているときは「便利だな」程度しか思っていませんでした。しかしこの「OCRに100%はないので、もし間違った値を返してしまったとしても作業をバクラクにする」という思想が裏側にあることを知り、これが圧倒的な使いやすさにつながっていたのです。
バクラクのOCR精度ってかなり高いんですよ。「こんなくしゃくしゃでも読み取るの!?」「手書きの領収書でも?!」「会社名の上に印が押されてて読みづらいはずなのに…」みたいなものもバンバン正しい値で読み取ります。
そんな中でも「もし間違えたら」というルートを想定し、機能を作り込む姿勢や考慮をしり、「自分もPdMとしてバクラクの未来を背負うなら、ここまで考え切らなければ」と武者震いしました。
もうひとつ紹介します。インボイス制度への対応についてです。
妥協案に逃げない、「できるようにする」で止まらない
2023年10月から始まるインボイス制度対応。制度の詳細は割愛しますが、制度が始まることで、経費精算・請求書の支払依頼・など様々な申請フローで追加の業務が発生します。
制度について気になる方はぜひバクラクのサイトをご覧ください。
本題に戻ります。
申請や精算のような「複数の部署が関わる業務」における新しい業務負担、現場が負担するorコーポレートチームが負担するorその他専任の方が負担するなど、負担の押し付け合いが発生しがちです。
そんなインボイス制度への対応、バクラクでは「いつの間にか」インボイス制度に対応というスローガンでどんどんと機能開発をしています。
このバクラクの対応、何がすごいのか。詳細をお伝えすると長くなってしまうので雰囲気だけお伝えすると「誰も苦労が増えない」という着地点を諦めずに考えきって対応していることです。
前述の通り、インボイス制度への対応は「登録番号」と呼ばれる13桁の数値の確認業務や入力業務が発生します。それをただ対応しようとすると、「入力できるようにする」「確認できるようにする」機能を追加するだけになりがちです。
その入力や確認業務が、現場・経理 どちらが負担するかは会社ごと違い、どちらを前提に業務を行ってもらうよう設計するかもプロダクトごと異なります。
ただそれはバクラクではない。バクラクっぽくない。
よって、確認も入力もできる限り減らしながら法対応するにはどうすればいいか、という「経理も現場も負担が増えない」という"二兎を追う仕様"を実現するためにめちゃくちゃ工夫しています。
ただ対応するのではない、「圧倒的に使いやすく対応する」のがバクラクらしさであり、私がバクラクというプロダクトに愛を感じる理由なのです。
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少し具体的なお話です。
私が担当するバクラク経費精算について、経費申請をする現場の方には「インボイス制度に関する機能を一切見せない」という意思決定をした話についてです。
前述の通り、経費精算でもインボイス制度への対応は必ず行わなければならなく、レシートに登録番号が記載されているか、それが正しい値なのかなど複数の項目を確認しなければいけません。今まではなかった業務ですね。
私達も、申請時に一緒に提出するレシートにも記載されている「登録番号」を申請時に確認したり、その値を経費精算システム上で入力するという仕様も検討しました。つまり現場の方の業務負担を増やし、法対応を乗り切るという方法です。
しかし、そのような対応をしなくても(現場の方はインボイス制度を意識しなくても)法令遵守は行えるのではと考えました。
「考えた」というよりは、「そうあるべきだよね。という想い」という表現のほうが近いかもしれません。
その想いを実現し、バクラク経費精算の管理画面には「インボイス制度」や「登録番号」という言葉は登場させない機能アップデートを行いました。
となると、「経理の方の負担が増えてしまうのでは?」と思うかもしれなません。もちろん、そうならないように一生懸命考えた機能になっています。
OCR読取りで入力不要、登録番号が間違っているかどうかも1クリックで確認ができるような機能を実装し、申請者も承認者もバクラクを実現しています。
是非詳細はこちらのプレスリリースを御覧ください。
プロダクト愛を絶やさぬために
冒頭で紹介した「一緒に働きたいPMとは」というワークショップで、バクラクCPO/CTOのmosa-sanは「社内にプロダクト愛を伝播できる」という記載をしていました。
私は入社してから、様々な方からプロダクト愛を伝播してもらいました。
それは仕様の背景や想いに関すること、楽しそうに自身で開発した機能のデモをする姿などなど。
社内だけでなく、お客様からのフィードバックやTwitterで「バクラク」と検索した際にでてくるお客様のつぶやきなど、愛を多く感じながら、私自身プロダクト開発に向き合っています。
一つ一つの機能に魂を込め、考え抜き、誰かにプロダクト愛を伝播できるよう頑張っていきたいという意思表明でこのnoteを締めます。
最後に
LayerXではPdM絶賛大募集中です!!!
今すぐどうこうせずとも、まずはカジュアルにPM業務についてディスカッションしましょー!