【鷹嶺ルイ】ドラクエ8のチャゴス対応に見るルイ姉の配信の魅力

※ドラクエ8本編エンディングまでのネタバレが含まれます。

本日、鷹嶺ルイさん(以降、敬意を込めてこの記事ではファンからの愛称であるルイ姉と呼ばせていただきます。)がドラクエ8の本編を全クリしました。
あまりにも実況が素晴らしかったので記事を書きます。

ちなみにルイ姉は、ドラクエほぼ未経験のところから、1から順番に配信でナンバリングタイトルをプレイしており、あの7も神様までしっかり撃破した上で8にたどりついています。
どの実況も個性に溢れており、かつドラクエ初体験のリアクションが豊富に含まれているので気になった方は是非ご視聴ください。

元から実況配信を見るのが好きな自分が、特に今回心が動いた理由について、つらつらと語っていきます。

実況配信の魅力とは

①シンプルに、自分が好きな作品を他者が楽しくプレイする姿を見られる」というのも実況の魅力ですが、それを超えた、「②その配信者の個性や考え方を作品へのリアクションを通して見られる」というのもまた実況の魅力です。
後者には、自分になかった視点を得られるという、アハ体験的な魅力があると思っています。というか、今回その魅力が自分の中で初めて言語化されました。

①についてだけでも、ドラクエを全力で楽しんでいるルイ姉の配信は全般的に面白い(ククール関連でしょっちょう絶命しかけてる切り抜きは、無表情で見るのが厳しいレベルなので外で見ないほうがいい。)のですが、ドラクエ8のエンディング配信は②の方の魅力が際立っていて最高でした。

具体的にはチャゴスへの対応が。
そう、あのチャゴスです。

今回の配信の何が良かったか

どちらもチャゴス関連ですが、2点、自分に刺さったところを語ります。

チャゴスへのスタンス

ドラクエ8をやった人なら誰でも知っている胸糞キャラ。
恐らく、製作者の意図としては、こいつにとにかくヘイトを溜めさせる狙いで作っているので、プレイ時の一般的なリアクションは、チャゴスに対するダメ出しになると思います。

しかし、ルイ姉は自分が見る限り、一度もチャゴスに対して強い否定の言葉を使いませんでした。せいぜい「ダメですよ~王子」くらいのものです。
ここが個人的には印象深かったのです。
端的に言えば、「できない」ことに寛大。

能力が低いのは本人のせいではないから、「裏切り」とか「悪意で人を傷つける」といった行為に比べて寛大なのだと思います(ちなみにキーファにはネット記事になるほどにキレ散らかしあそばされていたので、何にでも寛大というわけではありません。キーファは、能力も人格も信頼されていたのにそれを裏切ったのだから仕方がありませんね。)。

「できない」ことを責めない というのは簡単なようで難しいことです。
チャゴスの「自分の弱さを認められない」、「他者を一切慮ることができない」という能力の低さは、自身に更生の機会がなかったからといってスルーできるレベルのものではありません。
それでも、基本的にルイ姉のチャゴスへのスタンスは「親が悪い」(=本人を責めることはできない)というものでした。

「できない」ことを責めないスタンスについては、自分も仕事で、「そうありたいし、他者にもそうあってほしい」と思っています。
が、世の中なかなかそうはいきません。話が通じないことにいら立つ自分に気付くことはしょっちゅうですし、自分のうっかりミスがネチネチ責められることもあります。。
なので、このスタンスを地でいっているのは素直に尊敬できるなあと思いながら見ていました。営業一位は伊達じゃない。
初めてプレイしたときにはチャゴスに対して嫌悪の感情しか湧いていなかった自分も、大人になって見るとルイ姉のスタンスが理解できるようになっていて感慨深い思いもありました。

そして、「楽しんでプレイする」という最も大事なスタンスは貫いた上で、自分の感覚に素直にプレイするスタイルからは、仕事としてではなく1プレイヤーとしてドラクエの世界に入り込んでいることが見て取れて、ドラクエファンとしては嬉しいのです。

感情移入

感情移入の強さがチャゴスと結婚しなければいけないミーティアへのスタンスに現れていました。

エンディングの最終場面、チャゴスとの結婚をためらうミーティアを見て、通常「さっさと奪え主人公!」となりがちなところ、ルイ姉は最後まで結婚を台無しにすることを躊躇っていました。

これは、キャラへの感情移入がかなり高まっていないと出てこない反応です。
少なくとも私が初見プレイした際は、結婚を止めることについて問題意識を持っていませんでした。
しかし、冷静に考えると、軽率にミーティアとチャゴスの結婚を止めることは、単なる体裁以上の問題があることに気付きます。

ミーティアは、嫌だと思っている相手でも、国や父のため、結婚することを定めとして受け入れています。
本人の意向を除けば、結婚することが大多数にとって幸せであることを理解しているから。
ミーティアに近しい視点からすると破談させるのが当然と考えがちですが、双方の国が叶えようとしている3世代に渡る約束を破ることで喜ぶ者などごく少数です。
聡明なミーティアは、それを理解した上で、私情を抑えて結婚を受け入れると言っているのです。
本来、周囲がその覚悟をどうこう言える話ではありません。
「王族としての義務を果たします。」というのはその覚悟の表れ。
ミーティアが覚悟を決めているのに「やめよう」と言うのは、「私だって嫌なのになぜ止めるの」と苦しませるだけになりかねません。

ただ、通常、プレイしてその心情にまで至れることは少ないように思います。
その視点にたどり着かずに済むよう、製作者は丁寧に丁寧にチャゴスへのヘイトを溜めて視点を誘導しているのですから。
「あんな奴と結婚させない!」という感情が最も大きくなるのが一般的な感覚ではないでしょうか。

しかし、ルイ姉はミーティアに感情移入し、ミーティアの気持ちを理解した主人公になりきっているからこそ躊躇ったのだと思います。
(「ミーティアから言われなければ何もできない」というコメントもその表れ。)

私自身も、ミーティアとチャゴスの結婚を止めることを完全に諦めているルイ姉を見て最初は戸惑っていましたが、一兵卒に過ぎない主人公の立場としてはこれが自然なスタンスです。

仲間に背を押され、ミーティアにもトロデにも本心を聞かされて初めて式を壊す決断ができたルイ姉は、誰よりも物語に入り込んでいたのだと思います。
こんな風に考えてドラクエ8をプレイしたことがなかったので、新鮮な経験でした。
人の数だけ物語があるのがRPGということを改めて知ったように思います。
プレイヤーが感情移入しているほど、実況配信は面白い。

まさか、何度もクリアしたドラクエ8を、発売から20年近くたってから違った視点で再び楽しむことができるとは思いませんでした。
ありがとうございました。

余談

記事にしたのは、「自分に」特に刺さった部分で、鷹嶺ルイさんの配信の魅力はもちろんほかにもたくさんあります。

今回の配信だけでも、二日連続でククールに限界化したり、「大空に戦う」(ラスボスBGM)がラーミアアレンジであることにバトル中に気付いたりと、ドラクエ好きが見たときに100%楽しめるリアクションだらけです。

更に、ドラクエ実況のみならず、他のホロメンの魅力を引き出す企画力や分析力、オリジナル曲の再生数の多さが裏付ける、独特の声質が魅力の歌唱力など、ルイ姉には他にも魅力が盛りだくさんです!
という布教の言葉で記事の締めにしたいと思います。

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