息子から学ぶ作品への感性

家族旅行中、温泉での一幕。

入浴しながら見られる余興として上映された、影絵による短編劇。
小学生の息子と二人で、せっかくだし、と一番前で見ていた。

一人の優しい少年がいたずら好きの猫に導かれて温泉を見つける。
シンプルながらも心温まる物語。
温泉に浸かりながら見る風情たっぷりの演出が心地いい。

散る楓の演出で締めくくられた5分足らずの劇。
楓の最後の一葉が消えるまで微動だにせず見つめていた息子は、映像が消えるとともに立ち上がって大きな拍手を始めた。

周囲から見ればうちの子は少し変わり者だったかもしれない。
終わると同時に拍手する客は他にいなかったから。
でも、一つの作品をしっかり最後まで見終えてからその感動を素直に伝えるみずみずしい感性になんだか感動してしまった。

そうだね。見られて良かった。いい話だった。
一人で見ていたら、こんなに感動できなかった。
つられて拍手を始めたお客さんも同じ気持ちだったかもしれないね。
ありがとう。

自分はこれほど真摯に作品に没頭できているだろうかと、息子に我が身を振り返る機会を与えてもらえた貴重な経験でした。

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