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シタチノ第7回公演「タンピングランマー」の話

シタチノ第7回公演「タンピングランマー」を見に行ってきたよという話。
Twitter、いや、Xにあげようと思って書き綴ってたらものすごい長さになったので、ここにしました。ひとまずキャスト別に振り返る。最後の方はシタチノ愛が重い。ポスト用に買いてたので読みやすさには配慮していません。ごめんな。気が向いたら目次設定しとく。

大ちゃんのリアルさがすごいとカツロのときから思ってる。今、そこに、存在するの。役が憑依しているとかよく言うけど、そうじゃなくて、彼の人生を代わりに生きるために、きっちりと計算されつくされている感じ。開演前のあの瞬間から、そこに中野蒼介がいる。何回見ても、しっかりとブレず、作り込まれた中野蒼介。それがまた真面目すぎた中野の性格と重なって。台本に描かれた世界をしっかりと生きる姿がかっこよかったな。あ、バラエティADをやっていたときの、乾いた笑いが好きだったwカンペに「すすめて!」って書いてたの楽しかった。あってたかな。雑な文字で読めてないんだけどw
※憑依型という表現が私は嫌いです

森くん!本作ではじめましてでした。バチバチ感が犬でも猿でも際立ってバチバチで最高だった。ザ・アイドルな関ピッピなのはみんなが言う通りだし、AD木村もあんなに仕事ができる人だったら普通に好きになる。きちんと描かれてはいないけれど、関ピッピのどうすることもできない苦悩を表現するのがうまくて見ていてこっちも苦しかった。台本投げ飛ばして泣いてそれを清原さんに見られてしまって。甘えるわけにもいかないあの姿が、普段のイケメンな姿とのギャップが際立ってかっこよかった。ギャップといえば冒頭の菜々子ちゃんとのやり取りで普通にキュン死しました。ずるいよあんなの。ホストしかやっちゃいけないやつだよ。ドンペリあけちゃうよ。本に書いてないくせに青木くんにハートしてるし。千秋楽でハート増えてるし。なんなん。好き。青木くんにグーサインしてたのも好き。

安田くん!こちらもはじめましてでした。犬組を先に見たので、大ちゃんの中野と比較して、になってしまうのは許してほしいのですが、大ちゃんほどギラギラしてなくて、でも、人一倍真面目にコツコツ感が強いイメージ。大ちゃんの中野より、たぶん、繊細な人。関ピッピがメイン、自分はエキストラ、そのギャップに影でめちゃめちゃに悔しがってたんだろうなと思った。大ちゃんはその悔しさが半分怒りになっていそうだけれど、安田くんの中野は膝抱えて泣いていそうだもの。些細なことで動揺しがちで失敗ばかり。でも誰のせいにもせず、自己犠牲を重ねてそう。ユーチューバーになった姿が楽しそうで、なんか安心しちゃったもんな。養成所のマネージャー姿の方がなんか似合ってた気がする。安田くん本人の人柄が見えるようで、ニコニコしながら見られた中野でした。バラエティADのときはカンペに「まいて!」って書いてあった。たぶんこれは本当。

重くんもはじめまして。先にAD木村の話でごめんなんだけど、森くんのAD木村に比べるとバリバリ、という感じではなくて、シゴデキ、という感じ。立ち回りに華はないけど、着実にお仕事をこなす感じ。素の重くんがあんな感じなんじゃないのかな?とふと思ってしまった。関ピッピも、森くんよりおとなしめなアイドルで、歌って踊る、というより、楽器持ってバンド活動的な方向性を感じた。たぶんベース。「潤いたくて」を見たときに、関ピッピはキムタク的なスターアイドルをイメージしてたから、それゆえに、1回目見たときは、高階さんのいいなりになっている姿にどうも違和感があった。ただ、お話が進むにつれて、ドラマの撮影シーンとか本物の「芸能人」だったし、終わる頃には「やっぱかっこよ」と思わされてしまった。両方の組を見て、いっちーさんのイメージした「関ピッピ」はかわいい方面だったんだな、と理解。そして2回目を見た私の話は後述。

ななちゃん!はじめましてでした!やーもーなんてかわいいの〜!!ピュアッピュアのピュアガール菜々子ちゃんがハイパーかわいかったし、それと比べてAD近藤のドタバタ感と言ったら!ギャップがおかしすぎた!あんなにかわいい声で全然そこじゃないタイミングで「よーいハイ!」とか言っちゃうし、喫煙所で喋り倒して勝手に元気になってるし、つかみどころのないチャーミングな姿が最高に素敵だった!

こゆきちゃん!ポンコツヤサグレギャル!なんで似合うんだろう!ほんと最高!全力疾走はどうしちゃったの???あんなに走らなくていいよ???ラウンドガールこゆきもなぜかおもしろくて笑っちゃったしw菜々子ちゃんもAD近藤もすごく似合ってたな〜。近藤の喫煙所のシーンとか、素のこゆきちゃんがやさぐれたんじゃないかっていうくらい、あまりに似合ってて夢中になってしまったもの。最高だった。犬組の方で持ち道具さんやってたとき、端っこの方でクソだるくあくびとかしちゃってる姿もおもしろくておもしろくて。Q本さんもクソだる〜な姿で、猿組と全然違って、見つけたときには喜んじゃった。シタチノさんのイベントのときに、あいつまたやらかしたの〜?とか言っていたらしくて解釈一致すぎて。好き。2回目見るときオフ芝居見まくる人だから細かすぎて伝わらない選手権がいっぱい見えてすごく楽しかったんだよな〜。ゆういちくんの手を握っちゃう話とかね。関ぴっぴが端にいるときに不安で死にそうな顔しているのとかも本当に役の解釈が深いと思って感動した。舞台の端っこシリーズも感想たくさん書けそうだな。

あいりちゃんは最後に見たのなんだろう、点と面かな?フルフラールかな?田端さんが似合いすぎてた。似合いすぎてたのはQ本さんもだ。おふたりともあのキャラクター似合いすぎ。ダブルキャストで、他の役は全然違う!という感じがする中、このおふたりは醸し出す空気が同じなのよ。違うのは青木くんの対応の仕方。青木くんにしかわからない違いがあったんだろうな〜。あいりちゃんの方が気が強め。Q本さんはふわふわしてるのに怒らせたら怖そう。良いキャラクターしてたな〜。

似合うといえば綾津さんのヒステリックな役よ。最高にハマってたな〜。
長い夢のときにも思ったんだけど、あの上から目線でモノを言う感じ、本当にヤなやつ〜!!大っ嫌い!!!と思いました。本気で怖かった。本当に嫌い(すごく褒めてる)
平田に対してキレてるの、本当に理不尽すぎてこいつクソやん!と思った。でもあれ第三者で見てたから、鬼澤がクソに見えるんだけど、あのようなシーンでもあのプライドの高さがブレない鬼澤って、逆にものすごい鉄のメンタルの人なのでは?と思った。あれだけ言われたら何を言い返しても負け試合じゃない。それを演じた綾津さんのすごさよ。
次にお見かけするときは高圧的でもないしおせっかいでもないギャグ線高くないただただ優しいキャラクターで見てみたいです。

ヲサダさん!今回の役みたいなヲサダさんが一番好きだな〜。ごめん、スマートのときのヲサダさんの役が嫌いすぎて(アドリブ長いし良い意味でキモすぎた)、無駄に苦手意識持ってたんですけど、河川敷のときにアレルギーを脱しまして(すごく良いオッチャンだった)、そして今作でした。いや〜土田さん好きだったな〜。近藤に対して急にキレるところ、まーじーで怖かった。鬼澤に台本変更を言いにくるときの世間話アドリブが毎回好きだったんだけど、千秋楽のアドリブ雑談はギリ。あれ以上長かったら私はダメだ…!

ゆういちくんの話はいくらでも書けそうなんだけど、お芝居、上手くなったよね?「青木くん」のことをしっかり考えてお芝居してた感。そこに「青木くん」というキャラクターが成立していてブレなかったんだもの。「潤いたくて」のときから「ぴるぴる」はヤバいヤツだと思ってたけど、このヤバさはゆういちくんじゃないとできないと思う。台本読み直したけど、ゆういちくん以外に代わりが想像できないんだもの。というか、だいぶ台本と違うことやってるからね。本以上に「ぴるぴる」だったからね。私、推しを目の前にすると、何もしゃべれなくなる人だから、あんなに素直に大騒ぎできるの羨ましいな〜とか思いながら見ちゃったもん。出演待ちのときに田端さんや中野くんの手を握ってるのも芸が細かいな〜と思って見ていたし、関ピッピの演技を祈りながら見ているのもオタクってそういうところあるよね〜って共感してしまったし、細かいところがきちんと作り込まれてた。ひとりだけ汗だくなのも自然現象だとしても上手く役にあってた。でもちょっと痩せてくださいw

まっつんさん。今回すごく楽しそうだった。河川敷のときのエキセントリックな少年もそうだったけど、あんな風なぶっとんだ役やってるときが一番楽しそう。松岡くんがぶっ飛びすぎててやばかった。舞台出てくるなり「チースチース」だもん。松岡くんの帽子飛ばし何で始めたんだろ。本に書いてないのよ。菜々子ちゃんと出てくるところも。イベントで聞いた気がしたけど何だったかな…。あれをまっつんさんが持ち込みでやり始めてたとしてら、まっつんさんってそんなこともできるん???ってなるわ。あのぶっ飛び方に嫌な感じがしないのよな〜。なんであんなに馴染むかな。作品全体を通して良いガス抜きなのよ。すごく楽しかった。
その松岡くんからの平田よ。なんなん?あのギャップなんなん?舞台上で関くん中野くん清原さんとあんなにしんどいやり取りしてて、その裏できっちり気持ち作って出てくるわけですよ。あの涙に胸を打たれて息をのんだもの。あぁ、役者だ。この人すごい役者だ。好きになって良かったと心底思った。
この前フォロワさんとお話してて、自分の口から出て「それだ!」と思ったのが、外に出せない内に抱えた感情が大きければ大きいほど、まっつんさんは映える。抱えて抱えて抱えて、大爆発。抱えきれなくなって大爆発、ではなくて、もうわかってくれよ!というタイミングで叫ぶ。このギャップが毎回素晴らしい。怒りも、悲しみも、悔しさも、全部混ざった涙が美しいのなんの。この抱えている感情の量を、セリフが少なくても表現するのが群を抜いて上手い。カツロのときも、長い夢のときも、まっつんさんのかっこよさはそれだ、と急に解決した。完全にノーマークだったのに(ごめん)、カツロのときに一発で「かっこいい!!」と思ったのもこれだし、遡るとたぶんビヨンチェのときも琴線に触れたのはコレだったんだと思う。すごい渋い役が上手い人いるっていまだによく覚えているもの。
イベントのときにも本人に話したんだけど、まっつんさん少し明るくなったような気がする。いや、前から明るいネガティブなんだけど、明るさの部分が以前より輝き始めたような。お祭り始めて一皮むけた?すっっっごい寡黙なイメージだったから、こんなにしゃべる人だったっけ?って。単純に私がイベントに顔出しすぎてて話慣れたという説もあるけれど、お話しながらこんなにテンポよくお話できたの初めてのような気がする。私が伝えた感想がテンションおかしかった説もあるな。ごめん。

みんな大好き若松春奈。みんな書いてるのでn番煎じでしかないけれど、進藤先生のときのかっこいいい声よ。普段ではなかなか聞けないからすげ〜と思った。シンプルにかっこよ、と思った。素敵だった。
養成所のレッスンでひとり泣き出しちゃうのとか、まちょさんだから嫌な感じしないで見られた。中野に映画に誘われるシーンの目の焦点あってないのもまちょさんだから違和感がない。しかも清原さんだけ遅れて出てくるって本に書いてないじゃん。まちょさんが「代わりに」役の人生を「生きている」感がすごい。彼女だったらこうするかな、という役への理解の深さ。共感力。どんな役でも誰よりも繊細に役を作っていく。
「十二指腸潰瘍だって」って言ったときの表情。顔は笑ってるのに、今にも泣きそうな顔。まちょさんにしかできないよ。今にも壊れてしまいそうな儚さ。それをガサツなふりして振る舞って隠して。台本通りの清原さんには、この「繊細さ」がない。まちょさんだから、本が変わった。そんな感じがする。感情の移り変わりを描くのがとても上手い女優さんだし、元々意味わからんくらい気遣い上手でめちゃ優しい方だから、お稽古〜本番の間は気疲れがすごいだろうなといつも心配になっちゃうくらい。それすらも楽しんでいそうだけれど、おやすみ期間はゆっくりしてほしいな。本当に。

いっちーさんの作品、本当に好きだな、と改めて実感。言葉の選び方が丁寧。普通の日常が、そこにある。彼らの葛藤を、少ない言葉の数で、紡いでいく。演出も相まって、その行間が心地いい。台本読んで、想像していたよりト書きが少ないんだなと思って。ざっと本を読んだだけでは、あの作品は想像つかなかったの。いっちーさんの頭の中のイメージが板の上に落とされて、役者の個性という色が塗られ。あぁ、みんなで作っているんだな、なんて素敵なんだろう、と毎回思う。みんなで作っている感はシタチノならではのような気がするの。他の団体さんをあまり知らないから、井の中の蛙になっている感はあるけれど、そうだったとしても、演劇好きならきっとほっこりして帰れる作品を作ってると声を大にして宣伝できる。
清原さんがお腹痛くて薬飲むとき、中野が「お水!」って買いに走る描写好きだったな。あんな風なピュアシーンがあるのいいよね。いっちーさんらしいや。自販機の音がちゃんとガコンってするのも大好きだった。音といえば、音響たっきーさんがわざわざ仕込んだ喫煙所の音、最高。本当に喫煙所の位置から音がするんだもの。ゆるーっと作品が始まっていく演出も素敵だったなぁ。好きだったところは後で書き足せそうだな。増えてたら笑って。
いっちーさんが作りたかった世界は何だったんだろう、とどうしても思ってしまうのが市川作品なの何でだろうね。両方の組を見て、いっちーさんのイメージした「関ピッピ」はかわいい路線なんだなと理解して、2回目を見ると世界が変わった。喫煙所の組み立ても、犬猿で違うのも、役柄を踏まえるとそれしかないのよ、と理解できた。平田に泣けと書いてあるのは鬼かと思ったけど、たぶん譲れないところだったんだと思うし、それしかないと思うんだよ。演るのがまっつんさんならそう書くよ。きっとできるもの。

エンタメ全振りの劇団さんもあるし、もっとシリアスでしんどいお話をやる劇団さんもあるし、コメディしかやらないところも。たぶん、感情のアップダウンが激しくて、現実にはありえない設定があって、音照バチバチの華のある作品の方が世の中的には「ウケる」作品なんだと思う。「おもしろいから行こうよ!」って誘いやすいやつ。いっぱい泣けたり、いっぱい笑えたり、そういうの。いっちーさんのここまでの作品はそうじゃないから、一般的には「地味枠」なんだろうと思ってしまう。実際、過去の私がそうだったから。でも、ゆういちくんもポストしてたけど、スルメなのよね。スルメって、地味じゃない。すっごく地味じゃない。でも、はじめ固いけど、モグモグしてると美味しくなってくるじゃない。飲み込めるときには納得!ってなってるような、そんな作品なの。伝われ。初見、ほんと、地味、と思われると思う。でも、ひとつ、ふたつ、と気になるところが見つかってしまうと、ズブズブといくの。隅々まで見て、あぁ、いっちーさんの描きたかった世界はこれだ、という妙な納得感を得るまで通いたくなるのよ。たぶん、「舞台ファン」じゃなくて、「演劇ファン」ならきっと好きになる作品がここにあるって本当に思う。難しい考察がいらなくて、誰でもイメージできるもの。とある場所の、誰かの話。そんな感じなの。見終わって、ボロボロに泣けたりはしないけど、カーテンコールで「うわぁ、良い作品見たぁ」って毎回なる。どうすればこの気持ちを言葉にできるんだろう。語彙が足りん。不勉強がバレる。
何度でも言う。シタチノさんは、本多劇場が満席になるくらいの劇団にはなれると思ってる。でも、その規模感にしてしまったら、今の良さがなくなってしまいそうで。細かいところのこだわりが、よく見ているときっと気づくこの感じが大好きなのに、大きくなってしまったら変わってしまいそう。でももっとたくさんの人に知ってもらいたい、大好きでたまらない劇団さんです。

最後にお知らせ。
シタチノさんは2024年4月に次の本公演があります。
作・演が変わりまして、まっつんさんですね。
いっちーさんの作品は水彩画。まっつんさんの作品はクレヨン。そのまんまでいくと、たぶん楽しい仕上がりになっているんじゃなかろうか。過去最多の出演人数でちょっとひいてる。シタチノさん大丈夫か。というか、人見知り明るいネガティブガラスの喉のまっつんさんが大丈夫か。いろんな意味で楽しみすぎる。
詳細はシタチノさんのXをご参照くださいませ!
チケット一般発売は2月26日からー!

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