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令和時代の初期研修先の選び方

令和時代になって、正確にいうとコロナウイルス感染症が終わってから大きく時代の流れが変化してきました。これからもAIの急激な普及などで大きな変化が世界的に起こり、ますます変化の時代となります。世界では今の時代をVUCAと呼びます。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略です。医師の世界ももちろん例外ではありません。なかなか学生の方だと学校にいるとそんお時代の流れを感じられないかもしれないですが、おそらくは今まで30年近く日本が歩んできた道とは全く異なった道を我々は歩んで行く可能性が高いです。医学部で教えてもらっている先生たちと我々では、これからの医師として歩んでいく生き方は全く異なってくることが予想されます。そんなVUCA時代における初期研修先の選び方が今回のテーマです。皆さんの初期研修病院の選び方と少し違う部分があるかもしれません。ぜひ参考になれば嬉しいです。
本日のテーマはいかにVUCAについていける病院を選ぶかです。
つまり不確実で変動があって複雑な世の中にうまく適応していける初期研修病院を選ぼうというのを今回は扱っていきます。
具体的な病院名は今回は出しませんが、こういった基準で病院選びをした方がいいよということはしっかりとお伝えしていきます。

VUCA時代に何が必要になってくるからまずは考えていきましょう。
何が必要になってくると思いますか?

私は、「情報力」と「柔軟性」だと思います。
「情報力」というと自分に入ってくる情報量です。これには2つあって現実社会での情報網とSNSなどインターネットでの情報網があります。インターネットでの情報に関してはこのnoteにたどり着いている方は全く問題ない方ばかりかなと思いますので、みなさんに身につけてほしいのは現実社会での情報網の拡大です。
医学部での友人や先輩に加えて、初期研修先の先輩や同期などの情報網を追加してどんどんとそのネットワークを拡大していてほしいのです。
では情報は基本的にどこに集まるでしょうか?
もちろん都市部が多いです
元々都心部には情報感度が高い人が集まってきますし、都心部の方がそもそも医学部の数も多く、そこで研修している人も多いので情報が自然と入ってきやすい環境にあります。例えば美容外科の情報だとかシーリングの情報は地方だと入ってくるでしょうか?SNSをすごい頑張っていない限りはなかなか入ってこないと思います。地方の医学部は県に1つくらいしかなく、出身大学の人がそのまま残っていることが多いためになかなか閉鎖的な環境で、現実社会での情報の差は都心部と比べて大きな差があると思います。

なのでまず1つ目としては研修先は都市圏にしましょう!
都市圏というと、札幌、仙台、首都圏、名古屋、大阪、福岡を指します。
ぜひこのあたりで研修をすることをおすすめします。上であげた都市は後期研修でもシーリングがあることが多いので初期研修のうちからこの辺りの都市にいることはその面でも重要かもしれません。

では同期の数はどうでしょうか?どちらがいいかは明らかですね。
同期の数が多い方が入ってくる情報は多くなります。
同期の多い研修病院を選びましょう!市中病院だと10-20名くらいの規模の病院か大学病院も悪くないと思います。ただし注意点がありまして、同じ出身大学の人ばかりの病院は避けましょう。いろいろな出身大学の人が集まる病院を選びましょう。当然ながらいろいろな出身大学の人が集まる研修病院の方が当然情報も多く入ってきやすいからです。

ちょうど大学と市中病院の話題が出てきたのでどっちがいいのかという永遠の議論があると思います。少し脇道に逸れますが私論を話していこうと思います。

大学病院か市中病院かという観点は議論が分かれるところがあります、
現時点でメジャー科に行くことが決まっているならば市中病院で研修すべきだと思います。やはり経験できる症例数、手技の量が変わってきますし、そこを経験しないで内科や外科に安易に進むのは個人的にはリスキーだと思うからです。あとは基本的には内科や外科の場合は、初期研修が終わってそのまま研修病院に残って研修を行う方が人間関係も含めて余分なストレスがなくうまく研修できる可能性が上がるのでその方が個人的にはいいと思います。
一方、マイナー科志望の場合は、大学での研修でも市中病院での研修でもどちらでも大丈夫です。ただ都心部の場合はシーリングがあるので何かしら大学で研修をしていた方がその辺りの情報に多く接することができると思います。
また診療科が決まっていない人の場合は大学病院だとリハビリ科、形成外科、放射線治療など一般病院ではなかなか研修できない科を回ってからしっかりと診療科を選べるのでおすすめです。
メジャー科の場合は研修プログラムがちゃんとあって、3年目が残れる市中病院がおすすめで、マイナー科志望あるいは診療科が決まっていない人の場合は大学病院かたすきがけ(市中病院1年と大学病院1年)がおすすめです。(もちろん市中病院の研修でも全然いいと思います。)

脇道にそれましたがこの話題はここまでにしておこうかなと思います。

ここまでは「情報力」についてお話ししてきました。

ここからは、「柔軟性」についてです。
どうしたらキャリアや進路について柔軟な考え方ができるかです。
初期研修は2年しかありません。転科をしない限りは今後一生やっていく科をこの2年のうちに決めないといけません。最近だとシーリングがあるので人気の診療科だと5月、6月には締め切られています。それまでにできるだけ多くの情報を集めることの大切さは先程書きましたが、今度は「柔軟性」についてです。
たくさん情報を集めたとして、肝心の自分が頭が固いままであったら折角の情報も宝の持ち腐れです
ここでは「柔軟性」について自分の経験を含めて説明していこうかなと思います。
私は地方の大学を卒業して出身県に初期研修で戻ってきました。元々マイナー科を志望していたこともあって、大学のたすきがけプログラムを選択しました。
1年目が市中病院で2年目が大学病院でした。1年目の市中病院は同期の数は多いですが、いわゆるブランド病院のハイパー病院でした。それはそれでいい経験になったのですが、周りがほぼ全員メジャー科志望であったのでマイナー科を志望したり、自由診療に行く人はひとりもいませんでした。美容外科の「び」の字も出たことがないくらいです。笑 当然の如く医局に入り、医局で部長などのポジションを得ていくのが幸せみたいな人ばかりでした。入局しないと研修プログラムに入ることができずに、そこはどの診療科もとある帝大のプログラムがほとんどでした。ほぼ全員が入局してその研修病院に残って研修を行なっていました。
お金に関しても無頓着な人が多かったので、お恥ずかしながら1年目にはふるさと納税も積立NISAもほぼ知りませんでした。
1年くらいいるとメジャー科を目指そうというくらいに志望が変わってきたくらいのその病院の雰囲気というものに染まっていました。笑
そんな感じで2年目になって大学病院に行きました。正直な感想を言うとびっくりしましたね。うちの大学病院はほぼ1年目は市中病院で研修をして、2年目は全員大学病院に戻ってきます。
研修医の同期に関しては40人近くいて、私のように人数多めのハイパー病院からハイポ高給病院にいた人まで幅広い人がいました。市中病院で研修中断をして2年目から研修プログラムに入ってきた人もいたので本当にバリュエーションに富んでいました。1年目の研修病院での研修医としてのレベルの差も感じましたが、それ以上に志望科や進路がバラエティーに富んでいて面白かったです。流石に私の時代はいきなり美容外科に行く人は少数だったのでそれはいなかったのですが、精神科はもちろんのこと、放射線、総合診療、病理、リハビリ、救急志望がいて本当に幅がありました。1年目の研修病院にいた時には想像もできなかった進路に行く人達が実在していたんだなと思いました。そういう人たちと接すると医療への考え方も人によって異なっていてそれはそれで面白かったです。
またお金についても詳しい人がたくさんいてそこでイデコ,NISA,ふるさと納税を教えてもらいました。1年目の時はそんな話をしたことがなかったのでとても新鮮だったことを覚えています。
大学病院の研修医の中でもちろんメジャー科に行く人たちも多くいましたが、1年目からは想像もできない人達や、その人達の考え方に触れることで視野が広がった気がします。1年目の病院だとマイナー科=悪みたいな考えが浸透していて、そのままいたらとても進路選択の候補にもあがってきませんでした。2年目の経験で視野が広がって、結果として放射線科や精神科などが進む候補として選べるようになりました。またお金のことについても詳しくなることの重要性を学んだ原点でもありました。
柔軟性を身につけるにはいろいろな多様性がある人たちに触れていくのが大事かなと思います。初期研修のことに限ると、前述の「情報力」と重複するところがありますが、多くの大学から集まってきて、同期の数が多いのがまず重要かと思います。
そこに加えて進路の多様性に注目して選んでください。
一個上の先輩や見学に行った時の先輩がどんな進路を進んでいるのか注目してみるといいでしょう。ほぼ全員その病院に残っている病院は注意が必要です。
全く残らない病院もそれはそれで問題を抱えている可能性が高い(プログラムが整備されていなくて残りたくても残れない可能性がある)可能性があるので3割〜5割くらいの人が残る病院がいいと思います。そういった病院だといろいろなバライティーに富んだ人が集まってくる傾向があります。進路も多様で他の病院の研修プログラムに行く人もいれば、美容外科に行ったり、検診や訪問診療に行く人がいると思います。
先輩や同期達がそういったバライティーに富んでいる人がいれば自然と考え方が柔軟になってきます。また大学病院もそういった面ではおすすめです。様々な出身大学から集まっている大学病院では多様な思考を持った人が集まってくるので、いい刺激がもらえる可能性が高いです。ただし昨今の流れもある通り、市中病院の方が基本的な手技や救急の対応などは市中病院の方が充実している施設は多いです。メジャー科で大学病院を考える方がいるならばたすきがけか研修予定の大学病院がしっかりと救急や手技ができるか確認した方がいいと思います。

柔軟性という観点ではある程度女子が多い研修病院がおすすめです。男性ばかりの病院だと選考や研修に偏りが存在している可能性が高いです。働き方や研修にある程度女性に配慮がある病院の方が男性も含めてフラットな研修ができると思います。またこれは余談ですが、初期研修医の間に結婚相手が見つかる可能性が一般的に高いです。女性の研修医が一定数いる病院は結婚に関しても有利であります。

長くなりましたが、まとめます。

完全に個人の私見に基づいた令和時代の初期研修病院の選び方としては

◾️都心部(札幌、仙台、首都圏、名古屋、大阪、福岡)の研修病院を選ぶ。
◾️同期の数が多い病院を選ぶ。
◾️出身大学の偏りのない病院を選ぶ。
◾️初期研修からそのまま残る割合が3〜5割程度の病院を選ぶ。
◾️女性の研修医がある程度いる病院を選ぶ
◾️とにかく多様な人に接して進路の参考にする。たすきがけプログラムもあり。

結果的には今人気がある研修病院はこの特徴に合致している病院が多い気がします。皆さんなんとなく直感的に感じ取られているからかもしれません。
ぜひ研修病院選びの参考にしてもらって病院見学をたくさんしていろいろな病院を比較してみてください。
最後に初期研修医中の給料は個人的にはそこまで気にする必要はないと思います。
2年程度の給料の差はなんとでもなります。
それよりも今後の進路をしっかりと決める方が大事だからです。

時代の変化は今後も激しくなってくると思います。
ここ数年で研修医上がりに美容外科に進む研修医が急増したり今までにない変化が起きています。皆さんもいろいろな情報を集めながら自分の進路に柔軟に選んで欲しいです。
ぜひ自分に合った病院をぜひ探してみてください。

今回はここまでとします。

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