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地域×訪問診療のススメ
こんにちわ。ずぴです。
以前のブログにて外来診療は全国的に需要が減少していることをお話ししました。
![](https://assets.st-note.com/img/1723382000389-dV43T0OV7Y.jpg?width=1200)
上記の図のように外来診療(下の図)ではほぼ赤(2015年以前が需要の最大)です。一部の都市部を除けば外来はすでにピークアウトしています。
一方入院需要は多くの県で薄い青色から濃い青色(2035年から2040年以降に需要が最大)です。入院需要は後20年近くは需要が増え続けます。
外来需要と入院需要はラグが20年くらいあるのです。訪問診療はどちらかというと入院需要に近いです。なのでしばらくは需要が伸び続けることが予想されます。
もしこれから開業しようと考えている人に一度地方×訪問診療はおすすめだよということをお伝えしたく記事を書きました。
先ほどの図をグラフに変えると下記の通りとなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1723382178170-3ogcwfcodN.jpg?width=1200)
外来需要の下がり方と対照的に入院医療需要は右肩上がりで増えていってます。2025年を過ぎてから多死の時代に入ってくるため、病院需要が上がっているためです。外来需要は年々減少していき、入院・訪問需要は上昇していき年々需要は大きく差が生じてきます。
そして保険診療の点数もあえて訪問診療は高く設定されています。
特に加算がない場合で居宅の場合だと1件で月5−6万円になります。さらに看取りや在宅酸素などをやっていたりすると加算がつきます。
外来診療と比べて明らかに点数の差をつけています。
それはなぜでしょうか?
先ほどにもあったように多死の時代に備えた国の政策によるものです。
国としては病院に入院する患者を減らして在宅に移行を促していきたいという考えです。入院はみなさんが思っているより多額の医療費がかかるため多少の在宅診療に高めの保険点数をつけても入院患者が減るならばむしろ安いのです。
そのため在宅診療はこれからも需要も伸び続け、全国的に入院需要が減ってくる2040年までは安泰であると予想されます。つまりあと15年程は安泰であると考えられます。それ以降も急激に需要はなくならないので多少診療報酬が悪くなれどそれなりの需要の高さを維持します。
これからみなさんが開業を考えていく場合に65歳くらいで引退を考えると専門医を取得してからおおよそ30年近くあります。外来メインのクリニックか在宅診療メインのクリニックかどちらで開業した方がいいかは上の図を見れば明らかでしょう。需要伸びており国が推進している在宅診療のクリニックを開業した方がいいのは明らかです。
そして地方で開業することを強くお勧めします。地方というのは東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市圏以外の地域です。
なぜかというと最近財務省が出した資料があるためです。
![](https://assets.st-note.com/img/1723382405377-dWNGYdvAmy.jpg?width=1200)
上記の資料では診療所が過剰な地域(大都市圏)で診療報酬である点数を引き下げ、不足地域の点数を引き上げることによって診療所の地域偏在を解決していこうというものです。まずは診療所過剰地域の点数を引き下げようというものです。保険診療の点数など最終的な決定は財務省ではなく、厚生労働省が決めます。ただし昨今の診療報酬改定を見ているとかなり財務省の影響を感じます。いずれこの資料にあったような流れになっていく可能性も考慮に入れて開業するに越したことはないと思います。なので今後も診療報酬点数が減らされない(あるいは増える)地方での開業を勧めます。特に訪問診療の場合は地方でも需要が増えており、今参入すればある一定のポジションを得ることができます。保険診療の場合でも先行者利益はあります。訪問診療の案件の獲得が安定して得られるポジションになれば安泰であります。さらに財務省は下の図にあるように都心部の開業規制まで考えています。(開業規制があるならば都心部のクリニックを規制が始まる前に持っているのも悪くないかもしれません笑)
開業規制までして、診療所を都心部に作らせようとしないのが国の流れならば大人しく従っておいた方が得られるメリットが大きいと思います。
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診療報酬は下がる、テナント料は高くてインフレの影響でさらに上昇する可能性がある都心部で開業するよりかは、テナント料が安くおそらく都心部より優遇される可能性が高い地方部で開業した方が長期的に見ると有利になる可能性が高いです。そしてほんのわずかな地域を除いて地方では外来需要はすでに減少しており、訪問診療がこれから需要が増えて主流となってきます。訪問診療を国が推進しているのは明らかであり、そちらの時流に乗っておくに越したことはないのです。
また訪問診療は特措法とも非常に相性がいいです。
これは以前の記事も参考にしていただければと思います。
https://note.com/kazupi_doctor/n/n610fd85a3a6c
ビジネスのタイプにはフロー型とストック型に分けられます。一般的な外来はフロー型です。フロー型とは流動性があって、集客に波があるタイプのことです。飲食店などはフロー型のビジネスです。一方、訪問診療はストック型のビジネスです。ストック型は基本的に一度顧客になってしまえば、顧客として継続されるビジネスモデルです。会員やサブスクなどはストック型のビジネスモデルです。
訪問診療は医療では珍しくストック型のビジネスモデルです。訪問診療が開始になれば入院やお亡くなりにならない限りは継続となります。
ストック型のメリットは収益の予測とコントロールがしやすいことです。つまり上限が決まっている特措法開業との相性はとてもいいです。
また経費も抑えようと思ったら必要最低限で済みます。車とマンションの一室とパソコン一台あれば開業できます。
特措法は基本的に使用経費を最低限にしないとメリットを享受することができません。なので車とマンションの1室で開業できる訪問診療はまさに相性が抜群なのです。精神科のクリニックよりも相性がいいと思います。
そして地方だと医師も高齢化で減少しており、まさにブルーオーシャンです。
自分の開業予定地ではすでに開業前なのに月10件以上は安定して紹介できるとのことでした。ぜひ若い先生で大学院や研究に興味がないならば必要な手技や知識を身につけてなるべく早く開業することをお勧めします。
早くその地域で開業して、紹介してもらえるようなルートを構築すればあとは自然に立ち上がってくると思います。
2040年代に入ると需要がひと段落してしまうので悠長に専門医とってそれから大学院行ってなどしているとただの機会損失だと思います。
2040年まであと15年しかありません。開業志望の人であればこの15年をいかに有効に活用していくかがそれ以降のクリニック経営に直結するといっても過言ではありません。外来診療が需要が減れば減るほど訪問診療に参入するクリニックの数は今後さらに多くなってくるでしょう。
訪問診療のクリニックがまだ足りていない今のうちに開業するのがお勧めです。
また実際に案件がどのように取っていったらいいかのノウハウ的なところはまたnoteにしようと思っています。
確かに専門医があった方がいいかもしれませんしあった方が絶対いいと思います。ただ医師の多くの皆さんには時間の概念が大きく抜け落ちています。
日本の人口が右肩上がりであった1950-2010年代までは入局してしっかりと経験を積んで、博士号を取得して箔をつけて満を持って開業したとしても、医師不足でかつ医療需要が伸び続けている時代であったので、十分な時間的な余裕がありました。いい時代だったと言えますね。ところがこれからの日本は人口が減り続けます。すでに外来の需要は減り続け、病院の需要も2040年がピークです。医師の数も年々増加しています。今までの中堅以上の人達が歩んできた人生と同じ人生を歩むことが正解とは言えない時代となってきています。時代背景が全く違うからです。
我々若い医師、医学生の人は1番の律速段階は何より時間になってくると思います。需要をどれだけ早く安定して掴めるクリニックを作っていくか。そのためには先行者利益を取っていく必要があります。
今の研修医制度だと手技も含めて十分な教育ができていないことが多いので、3年目でいきなり開業は流石に勧めませんが、ぜひ早い段階での開業を検討してみてください。
今回はここまでとします。また定期的に訪問診療のことについては発信していこうと思います。
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