高くなればなるほどに
落ちた時の崩れ方は酷く
心の不安は踏み出す事を恐れ
後戻りするには時が足りないと嘆く
そろりそろりと足を出し
両の手を盲目のように差し出して
わずかでも進もうとするが
何もないのにつまずく
高くなくて良かったと
安堵するが
すぐに情けなさに打ちのめされる軟弱なる心
もう何度となく繰り返してきた
馬鹿の一つ覚え
転換期は思いもよらない人からの
心の中への唄声によるひと刺しに
砕けた
彼は苦しみや悲しみ
楽しさや喜び
ありとあらゆる言葉を搾り出し
歌っていた
不安による恐れは
初体験への期待感に変わり
高みへと昇る心の高揚は
落下する事さえ歓喜に身震いさせた
大股で一歩を踏み出す
両の手は大きく足に合わせ振り
胸を張り顔を上げ眼光は強く
歩き出す
見えてくる道端に座り込む人々
立ち止まり
満面の笑みと共に手を差し出す
きっと大丈夫だと胸熱くなる
ひとり
またひとりと共に歩き出す
小川の流れは広く深く
空は青く高く
やがて辿り着くであろう
生きた証へと
さあ歩けよ己と共に
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