
ハヤカワ五味氏「医学論文は公開しない」は正しい
ハヤカワ五味氏の経営する会社「株式会社ILLUMINATE」が薬機法違反広告を打っていた。既にたくさんの人が言及しているので、この記事では広告の違法性について詳細には触れない。
私も、株式会社ILLUMINATEには消滅してほしいと思っている。株式会社ILLUMINATEは、薬機法違反の広告を打って儲けた。その裏では、適法な広告を志向し、その結果商品が売れず、人知れず消えていった会社がたくさんあるはずだからだ。
法律を守る会社が消え、守らない会社が儲かる。この状況には強い憤りを感じる。
株式会社ILLUMINATEは、違法行為をして儲けることができる、ということを社会に示してしまった。ハヤカワ五味氏は、その不名誉を受け入れても、この会社を存続させるのだろうか。
この会社が大きくなっても、「違法行為で稼いだカネを元手に大きくなった会社」だと言われ続けるだろう。
見たところ、株式会社ILLUMINATEは社員3名の小さな会社のようだ。まだ簡単に廃業できる規模だ。
出資も受けているようだが、それらの出資者の人に遠慮する必要もない。出資者は、会社の不手際をすべて受け入れるリスクを負うからこそ大きなリターンを得る権利を持つのだ。
そして後述するが、それらの出資者こそが最もEvilな存在だ、と私は感じる。それらの人との縁を切るためにも、株式会社ILLUMINATEを消滅させたほうが良いのではないか、と私は考える。
「医学論文は公開しない」は正しい
ハヤカワ五味氏に向けられる批判は多数あるが、その中に「『医学論文を公開する』と言ったのに公開しなかった」というものがある。
ハヤカワ五味氏は、弁明で「論文掲載こそ薬機法違反になってしまう」と書いていた。
浅田さんには9月にも個別で論文送ったじゃないですか〜😂そして論文掲載こそ薬機法違反になってしまうので結局できないのですが、できませんでした!とお伝えしたほうがよかったですか?
— ハヤカワ五味 (@hayakawagomi) November 22, 2020
このハヤカワ五味氏の認識は正しい。
医学論文に言及しつつサプリメントを販売すると、多くの場合、薬機法違反になる。
ハヤカワ五味氏は、遅まきながら、それを理解したのだろう。遅きに失したが、この対応は正しい。
論文言及が薬機法違反になるロジック
薬機法の基本の話だが、知らない人にとっては重要な論点になるだろうから一応書いておく。
サプリメントの広告では、「病気が治る」とか「症状が改善する」といった表現をすると薬機法の判断として違法表現になる。
そして、化学成分に関する「医学論文」には、大抵の場合、人体に対する効果が記載されている。その効果が人間にとって良い効果であるならば、その医学論文を広告の中に使ったら薬機法違反となる。
サプリメントの広告では典型的な壁だ。なにかの論文を元に「xxという成分は病気に効くらしい」と考える。そしてそのサプリメントを売るときになってから、「この論文は広告に使えない」ということに気付く。
論文一本で健康を論ずる危うさ
薬機法はそういう法律だ。サプリメント事業者が可哀想だ、と感じる人もいるかもしれない。
しかしそもそも、論文一本で健康を論ずることは非常に問題のある行為だ。
医学論文に限らず学術論文全般に言えることだが、ひとつの論文は、ひとつの実験結果や研究結果に過ぎない。同じ実験をしても違う実験結果になることもある。実験の条件も、特殊な前提に立脚していることがほとんどだ。
だから、論文一本で健康を論ずることは意味がない。
本当に効果があるなら「機能性表示食品」で売れる
また、本当に人間に対して良い効果があるサプリメントであれば、「機能性表示食品」として販売することも可能だ。
「機能性表示食品」は、平成27年から始まった制度だ。メーカー側が、販売する食品やサプリメント等について、「人間に対してこのような効果がある」ということを証明し、行政へ手続きをすれば、効能を主張して販売することができる。
「機能性表示食品」への参入企業は700社、商品点数(受理累計数)は2500品目にも及ぶ。
※出典:健康産業新聞 2020年3月17日
「機能性表示食品」は、行政が空けてくれた穴だ。本来であれば医薬品として臨床実験しなければ不可能だった広告表現について、緩和してくれたのだ。
本当に効果があるなら、株式会社ILLUMINATEはこれらのサプリメントを「機能性表示食品」として販売することもできたはずだ。しかし、株式会社ILLUMINATEはそれすらもせず、ただ漫然と違法広告を打った。
もちろん、薬機法を知らなかったのだから、その制度自体も知らなかったのだろう。そういう行動になってしまう必然性は理解できる。
インフルエンサーに群がるEvilな大人たち
ハヤカワ五味氏はインフルエンサーとしての立ち振舞いを期待されることが多いのではないかと思う。その意味では、ハヤカワ五味氏自身も被害者だ。
明らかに違法な商売であるのに、そこへ出資する大人がいる。インフルエンサーを矢面に立たせ、違法な商売をさせ、その利益を受け取る。
その大人たちについては、「DJ AsadaAkira」氏が下記記事で言及している。【4.ベンチャーキャピタルと「リメンバーWELQ」】の部分に記述があるのでご一読をおすすめする。
インフルエンサーはEvilな大人たちの食い物にされているように見える。インフルエンサーが紹介している美容・サプリ系の商品やサービスは違法なものばかりだ。適法な商品を見つけるのが難しいくらいに、違法な広告が氾濫している。
インフルエンサーも、もちろん悪いだろう。しかし、インフルエンサーをそそのかして金を稼ぐ大人の方が、ずっとEvilなのではないだろうか。
以上
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