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Metaは詐欺広告でいくら稼いだ?

Metaによる詐欺広告の表示が続いている。一時期よりは少なくなった印象だが、現在も消えてはいないようだ。

この記事では、Metaが詐欺広告でいくら稼いだかを、簡単な計算で推測する。また、Metaが以前から抱えている別の問題にも触れ、先行きが暗いことも示す。


Facebookの詐欺広告

Metaが運営するFacebookには、2023年6月頃から2024年4月頃まで、詐欺広告が大量に表示されていた。また、Facebookはそれらに十分な対処をせず、多くの被害が発生した。

Metaは、詐欺師から広告料を受け取り、収入を得ていた。

SNS型投資詐欺 警視庁の資料

SNS型投資詐欺については、警視庁が資料を作成している。

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和5年)
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和6年1月〜3月)

この資料の数値をもとに、いくつかの仮定を置いて、Metaが詐欺師から受け取った収入を推計する。

投資詐欺の被害総額

前述の警視庁資料には、SNS型投資詐欺の被害額が月ごとに記載されている。2023年4月から2024年3月までについて計算すると、1年間の被害額は468.1億円だ。

警視庁 SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和6年1月〜3月) より抜粋

投資詐欺 Meta社のシェア

上記の資料には、投資詐欺の被害額が、いくつかの属性とともに記載されている。

投資詐欺の被害者のうち、男性は56.9%、女性は43.1%だ。

詐欺師が最初に接触したSNSも明かされている。

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和5年)を元に筆者作成

男性の場合、Facebookが22.1%、instagramが17.9%だ。
女性の場合、Facebookが10.7%、instagramが31.5%だ。

この数字から、SNS投資詐欺の接触ツールのうち、MetaのSNSが占める割合は41.0%と算出できる。

Meta社を経由した被害額

詐欺の被害総額と、Meta社のシェアが計算できた。それらの数値から、Meta社を経由した被害額は、

468.1億円 * 41.0% = 191.9億円

となる。

Metaは詐欺広告でいくら稼いだ?

詐欺師は、Metaに広告費を払い、詐欺を行って、191.9億円を得た。この詐欺師の収入から、詐欺広告によるMetaの収入を推測したい。

現在の相場感としては、ネット広告で集客する場合、売上の50%を広告費として投下するのが一般的だ。ネット広告を得意とする上場企業でも、概ね、この50%に近い数字になっている。

この比率を今回の詐欺師の例に適用する。詐欺師は、191.9億円を得ているので、その50%にあたる91.0億円をMetaに支払った、と推測できる。

つまり、筆者の推測としては、Metaが詐欺広告で稼いだ金額は、91.0億円だ。

なお、この金額は、前述した警視庁の資料を元にして算出したものだ。まだ明るみになっていない被害も多数あるだろう。上記の191.9億円がどの程度まで増えるか、注視しておきたい。

Metaのポエム

Metaには、ポエムを書く癖がある。

Metaは4月16日に、詐欺広告に関して声明を発表した。これには謝罪などが無く、「社会全体でのアプローチが必要」との記述もあった。

責任から逃げている、と捉える人が多かったようだ。筆者もその印象に同意する。この声明は具体性に乏しく、ポエムのようだ。

Metaのポエム 2019年

Metaがポエムを発表するのは、初めてのことではない。

今から6年前、2018年にも、著名人の画像を盗用した広告が大量に出稿されていた。2019年1月22日には、NHKクローズアップ現代がこの問題を取り上げた。

引用元:2019年1月22日 NHKクローズアップ現代

このときにも、Facebookの執行役員が番組にVTR出演をし、コメントを出している。

フェイク広告問題についてコメントするFacebookJapan執行役員
引用元:2019年1月22日 NHKクローズアップ現代

このときのコメントはこうだ。

(インタビュアーの質問「全て事前に審査しているのに、フェイク広告が掲載されてしまうのはなぜか。」への回答)

「フェイク広告について大変残念に思いますし、あってはならないことかなと思います。弊社の創業者でありますマーク・ザッカーバーグも、ここ数年で安心・安全を最も重要な課題として明確に言っておりますので、メディアですとか、広告のあり方そのものを変えようとしている。取り組みを進めているところです。」

フェイク広告問題に対するFacebookJapan執行役員のコメント
引用元:2019年1月22日 NHKクローズアップ現代

このときのインタビュアーの質問は「フェイク広告が掲載されてしまうのはなぜか」だ。このコメントには、それに対する回答が無く、会話が成り立っていない。ポエムだと言えるだろう。

詐欺広告が消えたあとを埋めるのは

詐欺広告が消えても、Facebook広告は見ないほうが良い。詐欺的な定期通販の広告が表示されるからだ。

SNSの広告には詐欺的なものが多い。この点については、2017年頃から、多数の注意喚起が行われてきた。

たとえば、国民生活センターは活発な発信を行っている。

国民生活センター「発表情報」の一つから引用

注意喚起は、内閣府の政府広報からも行われている。

政府広報オンライン ネット通販での「定期購入トラブル」 契約時に確認すべきポイントは? から引用

Facebookの広告は、以前から、詐欺的な定期通販の広告が表示されている。いま、話題の中心は詐欺広告だが、それ以前から、長年にわたり大きな問題を抱えていた。

詐欺広告は、いずれ消えるかもしれない。しかしその時、代わりに表示されるのは、詐欺的な定期通販の広告だろう。

身動きが取れないユーザ

Metaの広告品質は劣悪だ。また、明確な対策を打ててもいない。

Facebookは危険が多い。しかし、Facebookに代わるようなSNSは存在しないようにも思う。Facebookにアカウントを持つ人たちは、不安や苛立ちを抱えつつも、身動きが取れない。

Facebookは、勝ち取った高いシェアにあぐらをかき、ユーザに詐欺広告を見せ、詐欺師に生贄を送り、代金を受け取っている。ポエムを作れば時間を稼げることも、彼らは知っている。

ユーザにとっては、解決策がない。Facebookとinstagramを使い続ける限り、苦しみは続く。

以上

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kazuo dobashi
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