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11月24日 「金ちゃんの紙芝居」まで あと5日 ~今回は3つのテーマが合体!!

飯田橋の風俗資料館で、午後1時から開かれる「金ちゃんの紙芝居」。
いったいどんな内容なのか、金ちゃんに聞いてみた。



最もディープな紙芝居⁉


━━ 今回の紙芝居は新作という感じなんでしょうか?
 
金ちゃん)  三つの話を一つにしています。
 
━━ というと?
 
金ちゃん) 『ハニーさんの一日』と『お気狂っあん(おきっあん)』と『ハウスボーイ』。

こう聞いて、「おっ」と思う方がいれば、その方は相当の『金ちゃんの紙芝居』フリーク!

二階の屋根の物干し場に赤や緋、桃色の腰巻がはためけば、 そこは看板なぞ無くても、パンパン屋!!
お気狂っあん。朝霞に来る前は、玉ノ井の女郎だったという。朝霞では夫と暮らしていたが、東上線金井窪駅近くの BARのマダムに入れ揚げ出奔。お気狂っあんは、朝霞の街角に立つパンパンになった。
「ハウスボーイ」とは、米軍基地で働く人たちの家で働く男性のこと。女性兵士らの相手を務める日本人男性もいた。求められるのはただ一つ、UTAMARO!!

━━ かなりディープな感じがしますね。
 
金ちゃん)  うん、だから逆に、さらっとやろうかと思って…

━━ なるほど。差し支えない範囲で、具体的な内容をお話しいただけますか?

金ちゃん) もちろん、話の中心はハニーさんです。

━━ はい。

金ちゃん) そして、他所から来てハニーさんを相手に商売をする・・・要するにハニーさんに物を売りつけに来る男の話を入れています。
 

━━ それはあれですか? 例えば布団屋さんとかそういうことですか?
 

布団屋というのは、下の、朝霞駅のホームの絵で、唐草模様の風呂敷を背負っている男性(泥棒ではない)。ハニーさん(=パンパンガール)、それもオンリーさん(特定の恋人がいて、豊かな暮らしを送ることができた)相手に、一週間、あるいは、ひと月単位で布団を貸していたという。

でも、今回の紙芝居で紹介するのは、布団屋ではないという。

朝霞駅のホーム。塵取りと箒を持っているのは駅長。金ちゃんによると、とてもまじめな人で、朝霞の後は、池袋・浅草の駅長を歴任したという。

金ちゃん)  じゃなくて、化粧品を売りに来る人がいたんですよ。この前、西荻で紙芝居をやらせて頂いた時に、指輪を売りに来る男の話を紹介しましたよね。今度は、その話の中に化粧品を売りに来た男の話が入ってきます。
 
━━ 指輪を売ると同時に、化粧品を売る男がいるわけですか?
 
金ちゃん) いえ、指輪を売る男はまた別にいて、化粧品を売りに来る男がいたんです(笑)。
 
━━ なるほど!

これが、その化粧品を売っていたという男性だろうか?
金ちゃんが、今回の紙芝居のために新たに描き下ろしたという絵。
どんな話が飛び出すか、楽しみでならない!!

なぜ、『ハニーさんの一日』、『お気狂っあん』と『ハウスボーイ』を合わせてやろうと思ったのか?


━━ 今回、『ハニーさんの一日』、『お気狂っあん』、『ハウスボーイ』。この三つを合わせる形でやろうと思ったのは、どういう思いからでしょうか?

金ちゃん)  そうですね・・・それがなんかいちばん、言いたいところが言えるかなと思ったんですよ、うん。
 
━━ 言いたいところと言いますと?
 
金ちゃん ) 言いたいところというのは、まあハニーさんのことなんですけど、ハニーさんのなんだろう? 喜び、悲しみ・・・うん、その辺かな。

ハニーさんは口には出さないけど・・・いろんな苦労があって悩みがあって、考えるところがあった・・・

子どもの時は分かんなかったですけどね・・・

今になって考えると、そうだったんじゃないかなと思ってね、うん…。

そして、そんなハニーさんの弱いところを突いて、う~ん・・・お金儲けをする人たちもいた・・・っていうところが言えるかなと思って・・・。
 
━━ なるほど。

なかでも、『お気狂っあん』をやろうと思った理由(わけ)


 ━━ 『お気狂っあん』は久しぶりのような・・・僕は久しぶりなんですけど、今回、『お気狂っあん』をやろうと思った理由っていうのはどんなことでしょうか?
 
金ちゃん ) ハニーさんたちは、戦後、朝霞にやってきて…、それまでは、ごく普通のお姉さんや学生だった。

━━ ああ

『お気狂っあん』は、そういうお姉さん方の、言ってみれば先輩になるんですよね。大先輩ですよね。
 
━━ うんうん。
 
金ちゃん) お気狂っあんは朝霞に来た時には普通の家のおかみさんになっていたんだけども、旦那さんに逃げられて捨てられて、「することがない」って時に、まあ・・・昔に戻っちゃったってことですね。アメリカ兵相手の…要するに、自分もパンパンと言われるおばさんになっちゃったっていう・・・。
 
━━ なるほどね、そっかそっか。いったん、いわば足を洗って、朝霞に来たんだけれども、きっかけがあって元の道に戻ってしまったと?
 
金ちゃん ) う~ん、まあ、そうですね。ただ、おばさんにしてみれば、戻ってしまったというよりも・・・、戻ることは別になんだろう・・・当たり前だったというか・・・
 
━━ ほう!?
 
金ちゃん) うん、だから、あの朝霞にいた他のお姉さん方も、世間に言われるほど、なんていうかな、「自分たちは・・・悪く言われるようなことをしてるわけではない」っていうのが・・・あったんですよね。
 
━━ ああ…
 
金ちゃん) だからパンパンガールと言われても、別に本人たちは気にしてないです。「だって私はパンパンだもの」って、自分たちが言いますもんね。
 
━━ う~ん、
 

こういう発言を紹介すると、「女性たちの苦しみがわかっていない」と反発を覚える方もいるかもしれない。

僕は、こう思う。

金ちゃんは、彼女たちの苦しみも十二分にわかった上で(この連載でも、金ちゃんが見つめた、女性たちの哀しい物語はいくつも紹介してきた)、ハニーさんたちが持ち合わせていた心性・・・「誇り」とか「矜持」とか、言い換えてもいいかもしれない・・・それについて語っているのだと ━━━━

この話、もう少し続けたい。




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