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“パンパンガール”を語る「金ちゃんの紙芝居」1~【プロローグ】
はじめに ~「金ちゃんの紙芝居」とは?
朝霞の米軍基地に集まった、「パンパン」と呼ばれた女性たち
戦争に敗れた日本。戦後、埼玉・朝霞に米軍基地が置かれた。
周辺には、米兵を相手にする女性たちが集まった。
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”金ちゃん”こと田中利夫さんは振り返る「みんな優しかった」
「パンパンガール」とか単に「パンパン」、あるいは「パン助」などと呼ばれ、世間からは蔑まされることの多かった彼女たちを、「みんな優しかった」と振り返るのは田中利夫さん、82歳。愛称は「金ちゃん」。
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実家は『貸席』
昭和16(1941)年生まれ。実家は朝霞駅前で、『貸席』(=時間貸しの宿、今で言えばラブホテルのような存在)を営んでおり、パンパンたちが商売の場として使っていた。
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客の奪い合いやリンチも
日々の糧を得るために、体を売らざるを得なかった女性たち。
客を奪い合うことも珍しくなかった。
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縄張り争いから、凄惨なリンチ事件も起きた。
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しかし、そんな生活の中でも、底抜けに楽しいこともあれば…、
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恋にときめくことも
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まだ幼かった金ちゃんは、彼女たちにかわいがられ、時には抱っこされ、甘い香りに包まれながら育った。
クリスマス・プレゼントをもらうこともあった。
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自ら描いた絵で紙芝居
女性たちの泣き笑いの日々をつぶさに見ていた金ちゃんは、2016年ぐらいから、当時の思い出を絵に描いている。その数は、すでに800枚を超えた。
それらを基に、哀惜の念を込めて語るのが「金ちゃんの紙芝居」だ。
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シリーズ「金ちゃんの紙芝居」に込めた思い ~【なかったことにさせない】
このほど、金ちゃんからご了解をいただき、一枚一枚を随時、このnoteなどで紹介させていただくことになりました。
想いは、ただ一つです。
【なかったことにさせない】
金ちゃんは、パンパンなどと呼ばれた女性たちのことを「ハニーさん」とも呼びます。米兵たちが、街に立つ彼女たちに “Hi,Honey!“ と、明るく呼びかけていたのが印象に残っているからです。
金ちゃんは言います。
「ハニーさんは、世間から冷たい目で見られていて…。でも、その割に、世間はハニーさんを利用してたんですよね」
「そういうことを今、口つぐんじゃってね、ハニーさんを悪く言うというのは、どうも我慢ならないところがあって」
「一生懸命に生きてたんですよ。一生懸命すぎるぐらい、一生懸命、生きてたんじゃないですかね・・・。どこへ行っちゃったんですかね、みんなね…。会いたいですよ」
*世間がハニーさんを利用していた、というのはどういうことか?
*一生懸命に生きてた、とは具体的にどういうことなのか?
このnoteでは、それらを、追々、明らかにできればと考えています。
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戦後78年。
海の向こうでは今、この瞬間にも、多くの人々が惨たらしく命を奪われたり、飢えに苦しんだりしています。
そんな場所では、かつての日本のように、体と金を引き換えに、毎日を食いつないでいる女性(男性も)が、大勢いるに違いありません。
そして、長らく太平安楽を貪ってきた日本も、いつ戦争に巻き込まれても不思議ではない状況に陥っています。
「新しい戦前」と、いみじくもタモリが喝破した「2023年」という現在。東京・新宿では、立ちんぼの女性が急増しているといいます。嫌でも、あの頃を連想してしまいます。
極限状態に置かれたとき、人は、どう振舞うのか?
欲と欲がぶつかる世界。
「金ちゃんの紙芝居」に描かれた“事実”を知ることは、未来を知ることでもあるのです。
ぜひ、ご覧いただき、感想などをお寄せいただければ嬉しいです。
予め、お断りを。
*今後、追って紹介する金ちゃんの絵や、それに関する文章には、今日においては「差別的」と受け取られかねない表現があるかもしれません。
*しかし、当時、どんな生活で、人々が何を考えていたかを知るために、あえて、その表現を残したり、使ったりすることがあります。
*扱うテーマの性質上、性的な絵や文章も多くなると思います。これも上と同じ理由で、オブラートに包まず、なるたけそのまま載せたいと考えています。
以上、ご理解・ご賢察の上、ご容赦賜れれば幸いです。