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【しくじり】#2 シンガポール空港で捕まりそうになった話

海外旅行に行くとき、皆さんはスーツケースに何を詰めますか?服?お土産?それとも…ちょっとした“大人の嗜み”?

今回は、シンガポールに渡航した際、空港の抜き打ち検査で尋問を受けたという、恥ずかしくも涙なしには話せない体験をお話ししたいと思います。


長期出張でシンガポールに行くことになった俺は、テンションMAXでスーツケースを詰めていました。衣類やガジェット、お土産と並んで、スーツケースの片隅に忍ばせたのは、DVD10枚を入れたCDケース。

なぜそんなものを持っていったのか?それは「シンガポールで一人の夜を満喫するため」――ではなく、友人からの頼まれものだったのだ!「大人の動画DVD持ってきて」と同僚に言われ、何の気なしに快諾した俺。しかし、この決断が後の地獄の90分を生むことになるとは、このとき知る由もありませんでした。

(想像してたやつ)

シンガポール・チャンギ空港に到着し、入国審査を無事通過。「ああ、シンガポールにまた戻ってきた」なんて感慨にふけっていたその時。

”Sir, can you step aside?(ちょっとこちらへ)”

突如として中華系シンガポール人の空港職員が俺を指名。まさかの抜き打ち検査に当たってしまったのだ。

あ、大丈夫っしょ。何も怪しいものは入ってないし

そう思っていた俺は、スーツケースをX線検査装置に流した。普段とは異なり何か疑わしいものが写った様で、促されるようにスーツケースを開けた。が、その笑みは10秒で凍りつくことになる。CDケースを発見する職員。何だ?との質問に”Movie”と返答する俺。「開けてくれ」、その指示に”Off course”と返す俺。

CDケースを開けて中身を見せながらやばいことに気づく俺。もう遅い。1枚目の表紙には中華圏で絶大な人気を誇るCangjing Kong、そう誰もが知る女神蒼井様が写っていたのだ。

職員の顔がみるみる険しくなる。CDケースには女神!

蒼井空老師 控え目イメージ

”Oh… What’s this?” 絶対知ってるや~つだっ(😓)
…え、えーと、それはですね…(😰)


”Please follow me.(こちらへ)”

職員の案内で、空港の奥へと連行された。待っていたのは、警察官のいる小部屋。空港職員と警察らしき男が話し込んでいる。その間にこの状況の対処法をiPhoneで調べる俺。やばいっ、シンガポールではこういった卑猥なDVDは問題らしい。さらにある海外ニュースサイトによると、イギリス人の男が300枚のDVDをシンガポールに持ち込んで、3週間拘束されたとの記事が……

まじでか、俺捕まるの!?!?!(🥵)

職員に部屋の中の椅子に座るように言われる俺。
これは~…そう、まさかの尋問である。

空港警官は腕を組み、俺をじっと見つめながら質問を投げかける。

"Why did you bring this?" (なぜこれを持ち込んだ?)
… only for my self-purpose(ただ自分のために)

"Is this yours?” (これは君のものか?)
… Yes but only for my pleasure(ただ自分で楽しむために)

"You don't know the regulation?" (シンガポールの法律を知らないか?)
… No this is no problem in Japan(日本では大丈夫なんだ)

そう、シンガポールではポルノの持ち込みは厳しく規制されているのだ。俺はそんな法律があることを完全に忘れていた(というか、そもそも知らなかった)。焦る俺。「自分で見て楽しむだけです!」と説明するも、警官の表情は変わらない。

"Are you selling DVDs?" (これは売るつもりだったのか?」

…違います!そんなつもりは!まさかの「密売業者疑惑」をかけられ、俺の額には大粒の汗が浮かぶ。

しかし、ここでふと冷静になる。よく考えたら、これはめちゃくちゃ恥ずかしい状況ではないか。空港の警察官と、蒼井様のDVDを自分の娯楽のためだと真剣に話し続ける日本人の男。


尋問が続くこと90分。あまりにもしつこく否定し続けた僕に対し、ついに警察官はため息をついて言った。

「これで解放してやる。後日処分の結果を郵送する。ただし、DVDは没収だ。」

…マジすか!ありがとうございます!!!

DVD10本は没収されたものの、最悪の事態(罰金や強制送還)には至らず、俺はようやく解放された。しかし、事件はこれで終わりではなかったのだ。


長期出張から帰国し、ほっと一息ついていた俺。そんなある日、家に一通の手紙が届いた。

「シンガポール警察より通知」

「え?なにこれ?」と開封した瞬間、血の気が引いた。

NOTICE OF WARNING
NAME OF DEFENDANT    : Xorz Orzorz
PASSPORT NO.    :Txorzorzx
OFFENCE    : Possession of obscene films under Section 30(1) of the Films Act Chapter 107
… 
2.    … a stern warming would be administered to you in lieu of prosecution.
3.    You are hereby warmed to …

Singapore Police

「記載の件について、起訴に代わって厳重注意処分とする。ただし、今後違反を繰り返した場合は厳しく処罰する」

母:「ねえ、シンガポールで何したの?」
俺:「(死んだ魚のような目)」

まさかの「実家バレ」。


この事件以来、俺は海外旅行の際に荷物の中身を何度もチェックするようになった。もう二度とこんな辱めは受けたくない。そして、一つ学んだことがある。

「海外には変なDVDを持ち込んではいけない」(超重要!)

依頼された友人にはこの話をしたら、爆笑された挙げ句、「マジか、悪かったなw」と軽く謝られただけだった。いや、もっと謝れ!!!

ともあれ、皆さんも海外旅行の際は「現地の法律」をしっかり確認しよう。さもないと、俺のように「異国の地でポルノ密輸疑惑」をかけられる羽目になるかもしれない。

皆さん、どうかお気をつけて……。

俺みたいになるなよ


「しくじり先生俺みたいになるな!!」司会の若林さんのエッセイ『ナナメの夕暮れ』は、「東大生に聞いた人生が変わった1冊」として1位に選ばれたそうです。思春期の葛藤について30代になってもまだ悩んで、自分なりの答えを導き出す過程が描かれており、とても面白かったです。社会に違和感を感じているあなたに超オススメの本!俺も学生のとき読んでいたら、ナナメに悩まなくて済んだのかなぁ。

noteのマガジンが”無地”ノートというのも、また憎い。

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数ノコ屋
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