どこかのだれかの日々の記 崇垂サク 編 その1

エッセイ

随筆。自由な形式で書かれた、試作性をもつ散文

広辞苑 - 第七版


2041年9月1日

夏休み最後の日曜日だった。課題や予習はもうとっくに終わらせていた。暇だった。



2041年9月2日

始業式。ジュウジロウに会えた。同じ学校の同じクラスだから当たり前だが。考査を受けたが、嫌味ではなく余裕だった。ジュウジロウは頭を悩ませていた。少し笑ってしまった。



2041年9月3日

考査2日目。余裕だった。通常授業も始まったが、予習は完璧だったから安心して授業を受けられた。



2041年9月4日

近くの空き地で工事が始まっていた。朝にはまだ始まっていなかったから、きっと学校にいる間に始まったんだろう。まだ何が出来るかは全く分からないが、好みの店だと嬉しい。



2041年9月5日

ジュウジロウが眠そうだった。訳を聞くとどうやら徹夜でゲームをしていたみたいだ。もうすぐ受験なんだから勉強しろ、と言ったが、そういうバカみたいな所も良いと思っている。



2041年9月6日

なんというか、改めて考えると本当にジュウジロウの事を好きになっているんだな。恥ずかしすぎて消したいが、戒めとして残しておく。



2041年9月7日

委員会の仕事をやっていると、ジュウジロウが手伝ってくれた。大昔のベタなシチュエーションで、目が合ってしまった。顔が熱くなって、赤くなっていたと思うが、夕陽のせいにした。普段なら見向きもしないベタなシチュエーション、ベタは強い。



2041年9月8日

そろそろ覚悟を決める時が来たのかもしれない。



2041年9月9日

告白をした。ジュウジロウは真剣に受け止めて、笑顔で肯定してくれた。嬉しい。今もずっと嬉しい。好きだ、と初めて誰かに言った。あの奥底から一気に襲ってくる怖さは全身を凍らせる。それを温めてくれるジュウジロウで、良かったと思う。自分の心に、間違いは無かった。ありがとう。恥ずかしいから誰にも、ジュウジロウにだって見せないし言わない。ジュウジロウがどう思っているのか知りたいが、知りたくない。実のところどっちでもいいのかもしれない。ただ、これからジュウジロウと一緒にいられる事だけで良いのかもしれない。我ながらくだらないほどピュアな事を言っている気がする。消したい。いや、消すのは本当にダメな時にしよう。


※この文章はフィクションです。実在の人物・団体・名称なぞとは一切関係ありません。

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