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第6回/日本のゲームからビジュアル系バンドの男らしさまで/Leila Rouatbiさん

こんにちは!
第6回の今回は、私の大学時代の友人であるレイラさんです。
自分よりも日本の文化芸能に詳しかったり、先住民族からビジュアル系バンドまで興味関心が幅広かったりとても素敵な方です。

Leila Rouatbiさん
スウェーデン ストックホルム出身。1991年生まれ。ストックホルム大学-ストックホルム大学院-英語塾スタッフ。




ーーーレイラさんはどんな子ども時代を過ごしましたか?

けっこう静かな子どもでした。子どもよりも大人と一緒にいることを好んでいて、友達と遊ぶよりもおばあちゃんの家に行くことが多かったです。子どもといるよりも、大人と一緒にいることが楽しいと思っていました。また、人がたくさんいる場所があまり好きでなくて、一人でいることが多かったです。テレビゲームを一人でやっていることも多かったです。

ちなみに、初めてやったゲームはスーパーマリオで、よく遊んでいました。やっている途中で、このゲームをつくった国である日本に興味を持つようになりました。

ーーーそれで日本語の勉強を始めたんですか?

まずは、ゲームが好きだったので、高校生の時に3Dグラフィックの勉強を始めました。日本のようなゲーム作品を生み出そうと思ったのです。日本語は1年だけ勉強しましたが、難しくて無理だと思って辞めてしまいました。だけど、3Dグラフィックもとても難しかったし、スウェーデンではあまり自分が関心のある分野のゲーム産業が盛んではなかったので、進路として考えることは断念しました。また、グラフィックデザインの勉強もしていましたが、その分野の大学に進学しようとしたもののうまくいきませんでした。そして、大学ではもう一度日本語の勉強に挑戦しようと思い、ストックホルム大学へと進学しました。

ーーー日本には大学時代に留学されたんですよね?

以前に2度観光客として訪問したことはありましたが、一度留学して日本で生活してみたいと思い、大学3年生(スウェーデンの最終学年)の時に中央大学へ半年間交換留学をしました。当時、音楽グループのライブなど個人的な興味が多く、単独行動をすることが多かったです。それはそれで楽しかったのですが、サークル活動などにはあまり参加しなかったので、友達があまりできなかったのは残念でした。ちなみに、来日する前は日本の学校はとても厳しいイメージを持っていたので、授業中に寝ている学生をみて衝撃を受けました。日本語に自信がなかったので、授業がわからないと怒られるかと思っていたのですが、中央大学の先生はとてもやさしくて、もっと勉強しようという気持ちになりました。

ーーー交換留学後はどうされたのですか?

帰国後は1年間をかけて卒業論文を仕上げました。研究テーマはジェンダーで、特に男性学に注目していました。ビジュアル系バンドの男性の男らしさに着目して論文を書きました。ビジュアル系バンドの男性のことをよく理解していない人からは、「女々しい」と考えられることが多いが、ファンにとっては新しい「男らしさ」として捉えられていると感じました。また、国によっても「男らしさ」のイメージが変わるし、海外から日本の男性をみた時の「男らしさ」のイメージも興味深いものでした。多くの人が「男らしさ」が国際的に共通だと思っているようなのですが、そうではないという点に気づきました。

研究をすすめる中で、日本の男性学において有名な先生が大阪大学にいることを知り、ストックホルム大学の大学院時代に、今度は大阪大学へと半年間留学することにしました。

ーーー大阪での生活はどうでしたか?

授業はとても興味深いものが多かったので、キャパを超えて授業に参加したり勉強したりして、最後には勉強がしんどくなってしまうほどでした。そのせいで、帰国してしばらくは勉強をする気持ちが起きませんでした(笑)

修士論文では、引き続き男性学を取り上げました。日本の研究者が、「男らしさ」についてどういうように話しているかをテーマにしました。バブル経済崩壊前の「男らしさ」がその後、時代によってどう変遷してきたかを分析しました。

ーーー現在は大阪の英語塾のスタッフとして働いていると思いますが、どういったきっかけでしたか?

大阪大学時代に知り合った方が、英語塾を経営していたんです。大学院を卒業したらすぐに日本に戻る予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でなかなか戻れませんでした。やっと一時的に落ち着いて入国できるタイミングに、ワーキングホリデーで来日して、その英語塾のスタッフとして働き始めました。現在は、ワーキングホリデーからフルタイムのスタッフとなり働いています。3歳から60歳まで多世代の生徒さんに英語を教えたり、塾の総務担当スタッフとしての仕事をしたりしています。

ーーー学生として、社会人として日本で生活してきて、苦労したこととか乗り越えたこととかありますか?

自分は恵まれていたので、大きな苦労とかはありませんでした。ですが、生活が長くなる上で、スウェーデンでは税金さえ払っておけば安心だったが、日本人は税金に加えて自ら保険などに入っていることを最近知り、驚きました。いままで大事になってなかったから良かったけど、早く知っておきたかったと思います。

また、スウェーデンの役所は基本デジタル化されていてとても便利でスムーズなのですが、日本の役所は対面で実物の書類を提出しなければならないものが多くて不便さを感じています。また住んでいる地域が関係しているのかもしれませんが、まだまだ私のような外国人が珍しいみたいで、最近も「はじめて外国人と話しました」と言われて驚きました。自分は慣れているけども、人によっては失礼に感じると思います。また、目上の人を敬うことは大切だと思うのですが、年下は意見を言ってはいけないという風潮には違和感を抱いています。尊敬することと意見をいうことは別なのではないかと思います。

ーーーこれから将来に向けてやっていきたいことはありますか?

なかなか講師としての仕事は難しいですね。うまくいく時もあれば、全然子どもたちの反応が良くない時もあります。教材作りや総務としての仕事はとてもやりがいを感じますし、好きな仕事だとも思っています。

また、英語塾の来ている子どもたち以外にも、英語の勉強をしたいけどできていない子どもたちがいるのではないかと感じています。そういった子どもたちに英語を学ぶ機会を届けられたらとも思っています。まだ模索中ですけどね。

これからのことはまだ決まっていないです。自分がまさか人に何かを教える立場になるとも思っていませんでしたし。日本でいまの仕事を続けるかもしれないし、スウェーデンに戻って自分の海外経験や英語塾の講師経験をいかして仕事をするかもしれないです。

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