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人間として付き合う覚悟はあるのか

少しの沈黙の後、私は口を開いた。

「私はよくお節介だ、鬱陶しいやつだ、と言われてきました。一時的なサークルでの関係、アルバイトでの関係、インタビューでの関係なんだから、どうしてまだ関わろうとしてくるのかと。それ以上の関係を望まない人ばかりでした。だから、あなたの発言は嬉しかった。」

そう。私はよくおせっかいだとか、鬱陶しいやつだと言われる。
一時的な関係は楽なのだ。表面的で綺麗な部分だけの関わりでいい。必要な時だけで後腐れもなく、効率的でもある。

一方、深く関わることは面倒なことだ。価値観の違いが表面化してトラブルになることもあるだろう。面倒なお願いをされたり、迷惑をかけてしまったりするかもしれない。

それでも、その先にある価値を私は信じてきた。

あなたの発言は嬉しかった、という私の答えに彼はきょとんとした表情をした。

そして、「あ、そうか、、」とぼそっと言うと、残っていたビールを飲み干してどこかへ行ってしまった。
期待とは違う返答がきて、居た堪れなくなってしまったのだろか。

後日、別のイベントで彼とばったり再会したことがあった。
とてもフレンドリーな雰囲気だったので、思い切ってこの時のことを聞いてみた。
だが、酔っ払っていて何も覚えていないと言っていた。

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アイヌ感謝祭の懇親会(二次会)たしかにみんな酔っ払っていた。(筆者撮影。写真はぼかしています)


だが、たとえ彼が覚えていなかったとしても、私にとっては大きな出来事であったことには変わりはない。
私は彼の心の叫びを聞いて、この人たちと一生をかけて関係を築いていくことを決意したのだった。


※カバー写真「朝霞市の蓮祭りで輪踊りをする様子」(イベント主催者提供)

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