
Dual Residence: サくら&りんゴ#11
都庁が遠くにそびえ、坂を下ると神田川。
水平線から朝日が昇り、窓辺で水鳥の飛来を眺めるシムコー湖畔。
そんな東京とカナダ・オンタリオの二重生活を綴ります。
杉並のサくら、Innisfilのりんゴ、つたない言葉で。
ポーチドアップルとフィドルヘッド
PCR検査再び。
予約のというより指定の時間きっかりにオーディオビデオにログインしたら
と出てくるではないか。53人待ち!?
ひと月ほど前にカナダ入国を果たした友人が、このDAY8のPCR検査で9時間待ったというからこれは覚悟である。なんせ救急外来で7時間待った経験があるこの地の医療システムである。
それにだいたいこのshortlyと言う単語、いまだもって私にはどれくらいの時間を表しているのかがわからない。夫が入院していた病院でナースさんがcoming shortlyと言って、10分やそこいらで来たためしはない。また、電話でコールバックしますshortlyと言われてスマホをそばに置いて待つも、その日にかかってきたためしはない。日本人のわたし的には、いくら何でも30分以内だろうと思っていたがそうではないらしい。
検査時間ひとり10分としても530分とぞっとしていたら、なぜか5分もしないうちにつながった。検査も手際よくあっという間に終わる。ただサンプルを取るのに、スワッブを鼻に突っ込むとくしゃみが止まらなくなった。
画面の向こうでナースさんが
Bless youと言って笑いながらも、
では試験管にスワブを入れて
先を折って
蓋をして
バイオハザードの袋に入れて
しっかり封をします
と順序を説明してくれる。
最後はすでに配送ラベルがついている袋に入れ、
その外側をアルコールで消毒する。
おそろしい病原菌が入っていそうである。(いるかもしれない)
パッケージのピックアップ日時と置いておく場所を指定して終了。
私自身はもちろん郵便局に行くことはできないし、配送の人に手渡すこともできない。
そんなわけで人と無接触食料宅配第二弾である。
今回はご近所の友人Ritaが教えてくれたローカル農産品。ウェッブには地元の農家を応援しましょうとある。
バスケットに入っている野菜と果物は週によって決まっているが、要らない物があると取り換えることもできる。卵やパンとスイーツのバスケットもある。
そして玄関先に運ばれてきたのは
バッグの中は
今週の野菜にFiddleheadと見つけて、これは逃してはならないと即オーダーしたのだ。
日本でもほんの一時期にしかお目にかかれない。
以前Erikが、子供と一緒にfiddleheadを取りに行ったと言うのを聞いて、
バイオリンの頭って何?
と思ったものだ。
娘がバイオリン習っていたのかと思う。
しかしこの形を見れば納得の命名である。
大体、全く知らない英単語ならともかく、意味を知っている単語でその使われ方をしていないものにはてこずる。自分が知っている意味だと思い込んで話を聞いてしまうので、途中からちんぷんかんぷんになるのだ。
銀行でWaterhouseと言われ、水道料金のつもりでいたら全く意味が分からなくなった。のちにその銀行の投資部門の名前だとわかる。
届けられたリンゴはゴールドスミスさんちのリンゴ園とあった。小ぶりのリンゴたちのその赤と黄色のコントラストがかわいい
硬めで酸味のある北米のリンゴを私は日本のリンゴとは別物だと思っている。甘くて柔らかい日本のリンゴでは、アップルパイが上手く作れない。しかしそのままかじるにはミツがたっぷりのフジほどおいしい物はない。
バンクーバーでホテル滞在中 私は新しいリンゴレシピと出くわした。
Poached appleである。
ポーチドエッグは食べるけれど ポーチドアップルって何?
ホテルのランチメニューにあったのは
Poached apple & pear salad
リンゴをかじると、ほのかなワインの香りが口の中に広がった。私はたちまちpoached appleのとりことなった。
ゴールドスミスさんちでとれたこのリンゴで作ってみようと計画している。
この地では今もなお、毎日毎日新しいこととの出会いである。どんな小さなことでもそれを発見した時は心が躍る。
私がここを離れたくない理由のひとつである。
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