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Dual Residence: サくら&りんゴ#6

都庁が遠くにそびえ、坂を下ると神田川。
水平線から朝日が昇り、窓辺で水鳥の飛来を眺めるシムコー湖畔。
そんな東京とカナダ・オンタリオの二重生活を綴ります。
東京のサくら、Innisfilのりんゴ、つたない言語で。

Back to Canada 1 成田空港   May 12  2021  

とりあえず出国することができた、日本を。
今、成田空港でカナダ・バンクーバー行きの搭乗待ちである。

準備がとにかく大変だった。
感染防止のための規制が厳しい時にわざわざとは思ったが、やはりカナダに戻らなくてはならない。

最初に予約していたフライトはキャンセルとなった。コロナ感染が始まってからキャンセルや時間変更は常であるのでこれはむしろ予想どおりである。
しかし今回はカナダに着いたら三日間のホテル隔離があるので、フライトに合わせてホテルを予約しておかなければならない。政府指定のホテルで三食付き、自腹である。
フライトは変更になったが、到着は同日でホテル予約はそのまま。
なんせno refundとあるので絶対キャンセルしたくないではないか。三泊四日で10万円はかかるのだから。

しかしここで安心したのが甘かった。
国際便 成田→バンクーバー
乗り継ぎ国内便 バンクーバー→トロント
のフライトを取っていたのだが

政府の要請による三日間の隔離は最初の到着地となりますのでバンクーバー→トロント便を3日後に変更する必要があります

というメールが来た。
ダメダメ、もうホテルをトロントに予約しているんだから、no refundの。

その旨返信しても

しかし、政府の規定により・・・

とそっけない返事。

確かに国際便で到着したあと、乗り継ぎ便では他の国からや国内の旅行者もいるわけで、隔離はバンクーバーでというのは理にかなっている。

Canada.caのウェブサイトを再度検索。目を通して注意事項を確かめたつもりだったのに。なんせ馴染みない単語を確認しつつ、“詳細”リンクに次々飛んでいるうち 元の場所に戻れなくなったりしている。

GAA つまりGovernment authorized accommodationの項目では
You must ensure that you have a confirmed booking at a government-authorized hotel before boarding a flight coming to Canada. Book your hotel in the same city as the airport of your initial arrival into Canada.

とあるのを見つける。すっかり見過ごしてしまっている“ぬかりあり”の私であった。

予約していたトロントのホテルに国際電話で問い合わせる。キャンセルできないのならせめてバンクーバーで同系グループのホテルに移行できないかと。
するとすんなりメールでキャンセルの旨を送ってくれと言われる。
ほっとしていると
メールアドレスを今から言うというので、私の顔にはザザッと三本線が入った。電話でメールアドレスを聞くことほど嫌いなものはない。とにかく早口でE as….、.R as …とか言われてもうまく聞き取れないのだ。なんですって?と聞き返すうちこんがらがって、悲惨な状況となる。
つまり
B as Bob 
D as Dog ですか?
No, no. B
D?
てなわけである。

ようやく終わると受話器の向こうからふーっという音が聞こえてきた。気持ちはわかるがむっとする。そっちの訛りが音を分かりにくくしている!と言いたくなるのと自己嫌悪と。

しかしそれは聞き覚えのあるため息でもあった。以前夫の病院からの搬送で業者とやり合ったことが思い出される。
変わらず進歩のない私である。

国際電話を切って 即メールを送る。とりあえず送信できたので聞き取りに間違いはなかったようだ。

と思っていたら1日半も経ってから

Delivery incomplete

と戻って来た。アドレスを書いたメモの紙も見つからないし、再度電話をしてため息を聞くのも気が引けて もうあきらめようかと思ったとき@のあとのmarriottはtが二つであることに気づく。
またぬかってしまった。電話口ではそこの部分はさっと流されてしまったのだ。ホテルマリオット。もちろんスペルは知っているでしょうとばかりに。庶民の私にはなじみのあるスペルでありませんから!と叫びたい。

そんなこんなでメールはとにかく送信され、追って経理に回すのでフライト変更の証明を送ってくれとくる。変更のお願いメールを証明として添付する。そんな証明でいいのか?と思いながら。
それと同時に次はバンクーバーのホテル探しである。搭乗にはホテル予約が必ずなければならない。
バンクーバーはレイオーバーで2,3回来たことがあるだけで、全く街の様子を知らない。いくつか探しているうちに空港直結のホテルを見つける。トロントのホテル以上に高い!でも三日後の乗り継ぎ便で空港からのシャトルバスの所要時間を考えなくて済むので予約する。予約番号をプリントアウト。
フライトも3日遅らせてくれと連絡を入れる。

フライトと宿泊の予約が落ち着いたら次はPCR検査である。搭乗72時間前以内に実施しなければならない。時間もタイトであるが、その検査方法が色々あって国ごとに厳しく決められている。アメリカから帰国の日本人が、その陰性証明書が適正でないとアメリカに送り返された例がYoutubeに上がっているのだ。これは注意して調べなければいけない。
ところがカナダ入国に当たり許可されているテストの方法が
These tests are considered acceptable molecular tests:
• PCR - Polymerase chain reaction
• RT-PCR – reverse transcription real time PCR
• Quantitative PCR (qPCR)
• Nucleic acid test (NAT) or Nucleic acid amplification test (NAATs)
• Reverse transcription loop-mediated isothermal amplification (RT-LAMP)
• Isothermal amplification
• Droplet digital PCR or digital droplet PCR (ddPCR)
• Transcription-mediated amplification (TMA)
• RNA (Ribonucleic acid)
• Ct (cycle threshold)
• CRISPR
• Sequencing
• Next generational sequencing (NGS) or whole genome sequencing (WGS)
• Oxford Nanopore sequencing (LamPORE)
• Detection of the N gene
• Detection of Orf1a/b
• Detection of the S gene
• Detection of the E gene
• Detection of the RdRp gene

とあるではないか。私の理解範囲を超えている。

友人がカナダ帰国の際に問題なかったというクリニックを紹介してくれる。オンライン診察の予約を入れる。選択する時間帯が二つしかない。しかしよく考えたら、出発の72時間以内でなければならないし 診療時間は決められているし、結果を搭乗に間に合わせなければいけないしで 診察はかなりピンポイントの時間帯である。


でもそこは日本。診察予約の18:00きっかりにコールがあり、問診の後採取した唾液を指定通り送る。次の日には受領したとのメールが来て、そしてその数時間後には、陰性結果の知らせが来る。英文での陰性証明書がPDFで添付されている。なんてきっちりと予定通り物事が進むのだろう。

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やれやれ出国の書類がそろった。

と思っていた。


フライト時間24時間前にオンラインチェックイン可能の知らせが来る。運営する英会話教室の準備に追われている真っ最中だった。もうそんな時間かと、仕事をキリのいいところでいったん終了し チェックイン作業に入る。
するとチェックインの前に身体症状に関する質問の他、到着空港でのPCRテストの予約、到着時に必要なアプリArriveCANに登録することとある。ArriveCANは前回にも登録したが何も聞かれずそれっきりになっていた。
ホテルの予約コードに加えて
ArriveCANの今回分の登録番号
PCRテストのためのresistration IDを取って控えておく。

前後左右が空いているシートを選びなおし 無事チェックイン終了。
と思っていたら、
次に来るメールでボーディングパスにアクセスできるはずが


無効と印字された搭乗券である。カウンターで手続きをとある。

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確かに陰性証明ありますとオンラインでチェックを入れるだけで済むということはないのであろう。しかし今までと様子が違うと不安になる。かなり不安になる。果たして出国できるのかしら。

手元にある陰性証明書は診察時に、カナダへの渡航であることと、フライトの時間を確認したので有効のはず。永住権があるのでカナダへの帰国は何の問題もないはず。

そう思いながら、渡航前にナーバスになりすぎて疲れ切ってしまった。カナダに着いても入国できず強制送還となったらたまったものじゃない。

もうこれ以降はひとつもぬかりがあってはならない。

出発前の三日間はこんな風に怒涛のごとく過ぎた。そして成田に到着。
チェックインカウンターでは思ったよりスムーズに物事が運ぶ。23kgより300gほどオーバーしてるかもしれないチェックイン用スーツケースは無事するすると運ばれて姿を消し ボーディングチケットは問題なく発行され、懸念のあった陰性証明書もオッケーである。

とりあえず日本側では。

こんな風に第一段階クリア。バンクーバー便の搭乗待ちである。

ちょっと安心してセキュリティを通る前に お寿司を食べに行くことにする
羽田でもここ成田でも、お寿司を食べて出国することにしている。

カナダでは見かけないエンガワや赤貝をにぎってもらう。アジとそしてトロトロウニも。最後には優しい甘さのぎょく。

しばらく日本とお別れである。


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ながつきかず
日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。