サくら&りんゴ #32 だから、そこには居ないって言ってるんですけど…。
海外に住むということ
カナダと日本、両方あるある
旅行と違って海外で暮らすということは、日本で面倒だと思っている例えば納税など、避けて通れない事務処理がその地でも同じ様にあるということである。
もともと英単語を聞いてもわかりづらい分野なのに、人々は単語を省略して使うものだから余計意味が分からない。会計士にCRAのことでとか、銀行マンにCPPはとか、弁護士にRRSPと言われても
ハ?今なんておっしゃいました?
おまけにやたらRやらPやらが入っていて一度聞いても、CRAって納税のこと?CPP年金の事?どっちがどっちかと混乱する。受け取った書類もしばらくは何の事だかわからない場合が多い。
カナダの永住権カードを手にしたときは、ああココの住人になったと嬉しかった。
でもそれよりも前に、もう旅行者ではないと実感したとき、それは銀行口座を作ったときである。
そしてその口座から決済する自分の名前入りの小切手を手にしたときは、なんだか子供が大人になった気分であった。
日本で小切手を切ることなどなかったから、夫がビジネス用の分厚い、弾力のある、やたら高級感のある表紙の小切手用チェックブックを開いて、さらさらとペンで金額を記入している様子はちょっとした憧れであったのだ。
ところがいざ自分が小切手を切るとなると、アルファベットで書く数字のスペリングにあたふたする。たとえば $ 2300 のチェックを切るならTwo thousand and three hundred dollars と記入しなくてはいけない。人前だと余計緊張してスペリングに気を取られているうち書くスペースが無くなり、最後のdollarsが読み取り不能な字になってしまう。
カナダだけでなくアメリカなどでの初心者あるあるだと思う。
しかし今はもうオンラインでの送金やカード決済が一般化され、小切手を切ったり受け取ったりする事が少なくなった。
特に感染症が広まったあとは、手渡しと言う行為を避けるため小切手も写真を撮って銀行アプリから送れば入金できるシステムが導入された。まだ使ったことなく個人的には小切手の写真ってそれでいいの?と言う思いである。
銀行口座のオンライン利用は便利だが時折融通のつかない規則にぶち当たる。
これは日本の銀行でのことである。カナダにいても、例えば東京で運営する教室の講師たちへの支払いもオンライン使用。便利だ。
しかし送金や振り込みが自由にできると思っていたら落とし穴にはまった。
国をまたいだ銀行口座への送金の場合である。
本人確認とやらがやたらうるさい。
何億もの円をクリックひとつでカナダに送金しマネーロンダリングを企てている者には(笑)やっかいである。
弱小庶民の私はわずかな生活費を日本の銀行口座からカナダの銀行口座にオンラインで振り込もうとしただけなのにストップがかかってしまった。日本にいる間に海外送金可能な手続きをし、為替レートとにらめっこして自分なりにいい時期に円からカナダドルへ変換しておいたもので、それはそれは万全を期したつもりでいたのに。
オンラインの場合の本人確認。それが必要なことはよくわかる。が、確認のためのトークンとやらを東京の自宅に送りますって…意味ないし。。。
やっとつながった国際電話で優しい日本女性の声が回答する。
申し訳ありませんが。。。
フリーダイヤルは海外にいると使えないので、銀行のホームページを探して小さく書かれている海外からの場合の電話番号をやっと見つけ、シムカードがカナダの通信会社のせいか、あるいはタイムラグがあるせいか、自動音声案内に口座番号を入力してもうまく感知してくれない中、やっとつながったと思ったら、結局現時点では送金の手段がないと電話の向こうからの結論、
やばい。
こんなこともあった。
以前東京での納税で、滞納金があることが分かり税務署に国際電話でオンラインでクレジット払いなどができないかと聞いた。するとその人はぼんくら(笑、失礼!)で、クレジット支払い申込書を東京の自宅に送ると言った。だから、私は東京に居ないのでと、(東京に居たら滞納なくとっくにコンビニで支払ってこんな電話はしていません!と言うのは呑み込んで)再度説明しその申込用紙をカナダまで送ってもらうことになった。
あーカナダの住所をアルファベットで一文字一文字、それもタイムラグのある国際電話の通話で伝えることのストレスと言ったら!おまけに電話の向こうにいる人がDをデーと発音する人だったりしたら!
(Dをどう発音するかで年齢が分かるらしい。)
Adams roadアダムスロード。まずエィ(A)
イ~?
いいえ エー(Aをエイと言ってはわかりづらくなることが判明)
次がディー(この間にタイムラグで音声が重なる)
イ~?
いいえ、
エービーシーの次のディーです
あーデーね。
やっとAdamsの5文字が伝えられアダムスファミリーのアダムスですと言うと意外にあ~と言う返答。
私も救急車を呼ぶときにAdamsの英語発音に苦労したが、こちらはそれ以上であった。
しかしどんな不便なルールがあるにしても、日本の税務署や銀行の人はきちんと丁寧に対応してくれる。税務署からの書類もちゃんとAdams roadの自宅に届いた。そして私は彼らがする業務をとりあえず信頼している。
しかしカナダは違う!
書類のサインが必要になって銀行に出向くこと3回。それでも手続きができていないという通知を郵便で受け取る。それを持参すると当の銀行マンは意味が分からないと首をかしげる。もちろん私もわけがわからない。調べて連絡すると言って結局連絡がこない。私からメールするも返信がない。再度銀行に出向くと担当者は違う支店に移ったという。再度書類にサインする。もう銀行には任せておけないので、手続きをした後にその手順を踏むべき部門の番号を調べて電話を入れる。書類は受け取っていないと言うので再び最初に戻って送り先を確認する。数日かかると言うので待って、再び手順を踏む部門に電話を入れる。何月何日にどこそこから私のサイン入りの書類がスキャンドキュメントで送られているはずだから調べてくれと伝える。そしてやっと私のサイン入りの書類の確認が出来て手続きが進められることとなった。最初に申請して1年あまり。1年!私が直接会ったりかかわった銀行員が計7人。銀行内で進められるべき業務を私がわざわざ追跡して確認しなければ進まないってどゆこと?である。
母が亡くなったあと、日本での銀行手続きが面倒だと思っていたが、とりあえず書類を提出するとあとは銀行が処理をしてくれて予定通りに終了。たとえば二週間後に書類が返送されると言うときっかり二週間後に受け取ることができる。夢のようである。
しかし、あー日本の銀行口座からカナダへの送金。
やれやれ違う手段を考えなければいけない。
でもとりあえずは裏庭の野菜たちがいるので食うには困らない、か。
トップの写真は左から黄色のサマースクワッシュ、枝豆、ロメインレタス、グリーンビーンズ ディルとシラントロ。右はつるりとしたマーニーととげとげのあるブラックスパインのキュウリ二種。上に見えるのはとっくに食べ飽きたズッキーニ。ご近所にひと通り配ってもまだまだ収穫。
去年、大胆な水着で感心した多分70代のアイリーンにビーチで再会。彼女もズッキーニを植えていて今度ズッキーニパンのレシピを教えてくれるという。楽しみである。
日本ではお盆休みがそろそろ終わる頃であろうか。ここ湖畔では少し気温がひんやりするが、人々は短い夏をまだまだ楽しんでいる。
日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。