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【5】未来から風は吹いてくる

スペインから帰国。その後はすぐに、屋久島→鹿児島→東京→那覇→名護→与論島→石垣島→黒島。(2014.5.27~6.14)

3日ほど大阪の家に居て、すぐに札幌→紋別→興部町→富良野。(2014.6.18~6.26)

どんだけ元気なんだ。

旅の前半、私はやたらと「島らっきょう」を夫に送り付けていたらしい。どういう心境だったのだろう。謎だ。

屋久島や沖縄、北海道で、空を見ることを覚えた。移動は今見ると確かに激しいけれど、基本は安宿でゴロゴロしていた。

屋久島に行っても屋久杉も見ず、有名な場所にも行かず、宿で仲良くなったカナダ人の女の子と干潮の時にだけ現れる海辺の温泉に入ったり、ウミガメの産卵を見たりしていた。

途中、用事があって東京に行って、あまりの世界の違いにくらくらした。

世論島でもひたすら原付で島を回って劇的に美しい海を眺め、黒島でもひたすら自転車で島を回って、海を見て牛を見てヤギを見てぼーっとして、夜は「ゆんたく」と呼ばれる酒盛りに参加して、酒飲んで海見て、こんな人生もあったのか、と6月なのに強烈な日差しに焼かれながら最高だな、と思った。

そして北海道。皮膚が完全に南国仕様になっていたので寒さに驚いた。日本って本当に広い。気温が低く湿度も低いので全てが美しい。梅雨の時期なのに冷蔵庫の中のようなクリーンな感じ。南国ではどんなに毎日掃除しても翌朝には自転車に元気いっぱい蜘蛛の巣が張る。生命力が漲る南国の魅力。それとは違う魅力がこちらも全開で最高であった。

最高なんだけど、この先どうなるのか、ただただ先が見えなさすぎて、不安と焦りでいっぱいだった。

まさかその数年後、年に8回も札幌に出張する仕事を始めるとはこの時点では知る由もない。だけど未来の私は知っている。

だから余計な思考はいったん置いといて、私が決めた、私が選んだ「いま」を、瞬間瞬間を、思いっきり集中して堪能するだけで、楽しむだけでよかったのだ。結局、何も問題など無かったではないか。過去も未来も捨ててしまえ。「いま」だけでOK。不安も焦りもただの邪念にすぎない。真実ではない。どう転んでも楽しむと決める、ただそれだけのことだったのだ。

2021年の私のことも、もっと先の未来の私が優しく温かく見守ってくれているのだろう。そして同じことを言うのだろう。

未来から風は吹いてくる。この感覚。この体感。

神様って、未来の自分だったんだね。


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辻 和美
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