日常と非日常のバランス2
深圳は、香港の北にある、面積も人口も東京都と同じくらいの巨大な市です。私が参加したのは、その深圳市を西の端から東の端へ駆け抜けるUTSZ(Ultra Trail Shenzhen)という大会でした。
あの時、日本国内で通訳の仕事をしなかったロシア語通訳者は、私だけだったんじゃないでしょうか? 通訳仲間には、「おいおい、この大事な時に海外へ? それも走りに?」と驚き呆れられました。
日露の歴史的転換点になるかもしれない重要なタイミングに、仕事を断ってまで、初めての海外レース、それも100マイルという距離にワクワクしながら、中国へと旅立った私。なぜあの時そういう決断をしたのかは、説明すると長くなるので、またの機会に。
結局、プーチン大統領は、日本には来たものの、北方領土問題にはなんの進展も見られず。その後もプーチン政権、領土問題に関して全く譲歩するつもりはなさそうです。
一方、深圳で100マイルレースに出た私は、なんと女子でただ1人、おまけに第二回大会にして初めてそのレースを完走してしまいました。残念ながらゴールの制限時間の40時間には17分間に合いませんでしたが、中国人の大会スタッフさんたちに、親切すぎるほど親切にしてもらい、素晴らしい非日常を味わうことができました。
誤解なきよう断っておきますが、私は決して速いランナーではなく、コースの途中やゴールに設定された制限時間の関門をギリギリですり抜ける、のんびりランナーです。この大会で唯一の女性完走者になれたのは、単に、このレースが当時は無名で参加者がとても少なかったからです。
この大会には、翌年も参加して、今度はなんとか制限時間内完走を果たし、お世話になったレース・ディレクターやスタッフさんたちに恩返しをすることができました。
その後、国内外のトレイルランニングのレースをいろいろ走りました。100マイルはもちろん、200マイル(338km)、昨年(2023年)には300マイル(510km)も完走。今では、私は完全に「通訳もするランナー」と化しています。
通訳翻訳の仕事と走ること。二つの非日常にこんなにもどっぷりと浸かることができる自分の人生って、結構面白いなと思います。
日常と非日常のバランスも、非日常の中のバランスも、時とともに変わりました。今後どうなるのか、楽しみです。
みなさんはどうですか?
(写真は2017年12月に2度目のUTSZ(深圳100マイルレース)を時間内完走した通訳翻訳者@ゴール)
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