価値の低い機能の廃止にこだわる3つの理由(プロダクトオーナー祭り 2018 Summer 登壇レポート)
この記事は、2018-07-10に他ブログで書かれた記事の転載です
こんにちは、デザイナー兼プロダクトオーナーの上田です。もうすぐクラウドワークスのプロダクトチームがフルリモート・フルフレックスになるんですよ。平日の日中に副業でお手伝いしてる会社に出社して対面でミーティングもできそうなので、働き方の選択肢が広がるなと今から楽しみです。
さて、この4月からデザイナー兼プロダクトオーナーとして働いているのですが、ご縁あって プロダクトオーナー祭り 2018 Summer というイベントでLTさせていただきました。今回はそちらの記事を書かせていただければと思います。
機能の追加ではなく、機能を減らすことの価値について
今回のLTは「価値の低い機能の廃止にこだわる3つの理由」というタイトルでお話しました。
今年の4月に、業績とユーザビリティ改善の両立をミッションに活動するカイゼンチームという集団を立ち上げまして(チーム立ち上げの背景はこちら)、ユーザビリティを向上する一つの取り組みとして「価値の低い機能を処す*」ことを重視してチームを運営しています。
*クラウドワークスでは機能を減らすことを「処す」と呼んだりしてます笑
以前ツイッターにも投稿して少しだけ反応をいただいたのですが、プロダクトオーナーになって初めて機能を廃止する変更の要件を整理してる。利益も産んでるし一部利用して下さってるユーザーの方もいるけど、全体の使い勝手を上げるためには大事なこと。一歩一歩だなぁ。
しっかりプロダクト文化が根付いてるところではメンテナンスの仕組みが整ってそうだなと感じている一方で、クラウドワークスはリリースから約6年間プロダクトを運営する中で必要な機能の棚卸しはできておらず、そういった現状にメスを入れるためにも取り組み始めました。
価値が低い、とはどういうことか?
そもそも、「価値が低い」とはどういうことでしょうか?
もちろん、闇雲に「処そう!」と気持ちを押し付けている訳ではありません。個人的には、以下のようなケースを「価値が低い」と考え、価値を精査した上で機能やコンテンツの廃止の意思決定をしています。
・利用率やリピーターが著しく低い
・メンテナンスできてない古い情報を放置してしまっている
・一定の利用率はある一方で、体験を複雑にしている
・特に意味もなく、ただそこに存在している
4月から、細かな導線の削除も含め10ヶ以上の機能を棚卸しするためのmini spec*を書いたかなと思います。正直、まだまだ書き足りないくらいですね。
*クラウドワークスでは施策の要件を定義するドキュメントをmini specと呼んでいます
なぜ、処すのか?
今回の発表を機に、自分なりに理由をいくつか整理してみました。これらがそのまま、価値の低い機能の廃止にこだわる理由につながります。
理由1. ユーザーがコア体験に集中できる
Google Analytics などで定量的にデータをみれば一発でわかるのですが、どんなに価値が低いページでも、画面にリンクがあれば一部のユーザーは興味を持ってアクセスしてしまいます。ユーザーの時間は有限ですし、ユーザーが最短距離でコアな体験をできるよう、できる限り画面を洗練する必要があります。
理由2. 古い情報の放置はサービスのブランドを毀損する
サイトを見渡した時に、最終更新が何年も前になってしまっているページはありませんか?
せっかく積極的にサービス改善をしても、一部の古い情報が原因で、ブランドのイメージの低下につながってしまうことがあります。古い情報の放置はマイナスに働いてもプラスに働くことはないので、サイトは常に最新の状態に保つ必要があります。
理由3. 開発スピードが落ちる
この観点は意外と、ビジネス的にはインパクトが大きい気がします。機能やページが多ければ多いほどサービス改善の際の考慮ポイントが増えますし、特定の機能が思わぬ機能に依存していて、機能開発の妨げになることにも少なくありません。
ということで、一部のユーザーは利用しているから、 とケチって残しても1mmもいいことないのです。
処す時のコツ
機能やコンテンツの廃止を進める中で、振り返ってみて大事だなと思ったのは以下の3つでした。
・楽しく処す
・処す目的や背景を機能やページごとに言語化する
・ステークホルダーとはユーザー目線で話す
直接的に利益を稼いでいる機能の廃止の提案をした時は、短期的な利益を毀損するということもあり反対意見も出ると思ったのですが、意外と組織として前向きな状態です。目的や背景の言語化や、自分ありきの話ではなくしっかりとユーザーの目線に立って話すことがスムーズに話を進めるコツだったのかなと思います。
当日のLT資料はこちらです。もしご興味ある方はぜひご覧ください。
よりよいプロダクトを目指して
クラウドワークスは短期の上場など急成長のフェーズをくぐり抜けてきた歴史もあり、UIやコードの負債が積もってしまってしまい、些細なサービス改善もハードルが高くなってしまってる状況があります。
こうした状況に向き合い始めた当初は、途方もない道のりに気が遠くなってしまう部分もあったのですが、今回の価値の低い機能の廃止の活動もそうですし、デザインシステムの設計や導入もそうですし、少しずつ光が見え始めているので、この調子で健全なプロダクトづくりの環境とよりよいプロダクトへの改善を進めていきたいなと思ってます。
そんなクラウドワークスのデザイン組織にご興味ある方、いくつかのポジションで採用をしているので、是非ご連絡お待ちしてます!
それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました。