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6000円払って台湾の女の子と飲んだ話。

お酒も少し入っていた。

夜市で美味しい料理をたらふく食べ、気分が良くなった私と友人は台湾の女の子と飲める店を探しに中山へ向かった。

事前に調べ事はしていなかったが、中山には日本人が作った歓楽街があると噂は聞いていた。せっかく台湾に来たのだし、現地の女の子とお酒を飲むくらいバチは当たらないだろう。

地下鉄で中山駅に着き、外へ出てみると少し驚く。まるで銀座のような街並みだ。輝くネオンに建ち並ぶ高級店。銀座っぽいか?いやいや、御堂筋じゃないか?とくだらない話をして森林公園方面に向かう。

公園の角を曲がりしばらく歩いていると可愛い台湾メイドと遭遇した。チラシを配っていたので受け取ると「girl’s show club」と書いてあった。メイド服でショーとはあまり想像がつかないが、女の子たちが直接呼び込みをしているくらいなので怪しくはなさそうだ。ただもう少し街を歩いて物色したかったため、ひとまずまた街を歩き始める。

すぐに1人のおばちゃんが我々に流暢な日本語で話しかけて来た。
「今日ドコ行く?飲む?触るトコ?連れテ帰る?」
おそらく私がメイドからチラシを受け取っていた姿を見ていたのだろう。なんとも怪しい誘い方だ。

「飲むだけ。自分たちで探すから大丈夫。」
私はイヤらしいお店に行く気はさらさらないので(友人はどうだか知らないが。)きっぱりと断った。が相手もなかなか引き下がらない。面倒なのでコンビニに逃げ込んだが中まで追ってきた。
「女の子ト飲む、1時間1500元(約6000円)。今日ドコ行く?おススメプリンセス。イッパイ女の子いる。」
「高いよ。自分たちで探すから、大丈夫。」
何回このやり取りをしただろうか、ようやくおばちゃんが引き下がってくれたところで今度は別のおばちゃんに話しかけられる。
「今日ドコ行く?飲む?触るトコ?連れテ帰る?」
面倒なので小走りで裏路地に逃げ込む。すると、なんとも如何わしいお店が並んでいるではないか。

60分1000〜1500元。これがここの相場のようだ。今回の台湾の旅の資金は4000元(1万6千円くらい)。これは普通に観光していては使いきれない金額。いかに1500元がこの台湾という国で高額か。(ちなみに私が宿泊しているホテルは一泊380元なので4泊分相当である。)日本人が作った街、日本人価格であることは致し方ないが私の手持ちは1400元しかなく、明らかに予算オーバーであった。

もう帰ろうか。そう思ったが、懲りずにもう少し手頃で飲める店はないか探してみることにした。すると男性が声をかけてくる。
「日本人ですか?今日はどこか行くあてあります?」
少し驚いた。いままでおばちゃんのキャッチに3回ほど絡まれていたが、はじめての男性キャッチだった。

彼の名前はヒロさん。自称、台湾史上初で唯一の日本人キャッチ。この街で9年間を過ごしている手練れらしい。怪しさ満点だが、悪い人ではなさそうだ。ヒロさんからはこの街がどのような場所か、歴史も踏まえて色々な話を聞くことができた。

彼曰く、この街には日本でいうガールズバーやキャバクラはないらしい。この街で女性と1万円以内で飲める店はお持ち帰りを前提としたシステムということだ。本当かどうかは知らないが、我々の目的を達成できるお店はここには無いようだ。仕方なく帰ろうとすると彼がボソリと呟いた。「お持ち帰りの店行って飲むだけ飲んで、持ち帰らないのもありですよ。マストじゃないんで。」成る程それはそうだ。
ヒロさんは他の日本人を捕まえてどこかへ消え去ってしまった。

我々は、男というのは全員そうだろうが、本当にしょうもない生き物だ。自分自身に失望する部分もあるが、とりあえず飲めると分かるとすぐにお金を下ろし、店を探し始めた。最初にチラシを貰ったメイドのショーを見に行こうと思ったがそこはさらに予算オーバーだった。ヒロさんにお店を聞こうとしたが見当たらない。歩き周っていたら最初に声をかけてきたおばちゃんがいたため、仕方なく話しかけた。
「飲めるとこ案内して下さい。予算は1500元。飲むだけのお店ね。」
案内されたお店はプリンセス。「おいばばあ、最初に女の子連れて帰れるって紹介した店じゃねーか!」と心の中で全力で突っ込んだが、まぁ飲むだけ飲もうとその店に入ることにした。

店に入ると助平そうな日本人がたくさんいた。日本人しかいない。自分もこの中の1人なんだと客観視していると少し虚しい気分になった。


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