Aconcagua 4日目 ニドデコンドレス(5400m)へ
【4日目ミッション/ Aconcagua day 4】
①ハイキャンプに持っていく荷物とBCに置いていく荷物の仕分け
②キャンプカナダで荷揚げしておいた荷物をピックアップ
③キャンプニド(5400m)に向かう
④キャンプ地で水の確保
2019年12月27日(金)
6時起床。毎日恒例の深呼吸タイム。就寝中は呼吸が浅くなるので深呼吸で脳に空気を送る。30分の深呼吸後、血中酸素濃度を測る。濃度90、脈拍78。素晴らしい数値だ。もはやBCは地上と同じ状態まで持ってくることができた。
今日はキャンプニド(5400m)まで移動する。現在地よりも更に1100m高度を上げるので油断は禁物だ。荷物もBCに置いていく物と、ニドに上げる必要がある物に分けるため、起きてからはパッキングに時間を費やした。なんとか50ℓのバックに荷物を収めることができたが、パンパンである。先のキャンプ地、カナダに置いてある荷物をピックアップすると確実にオーバーするため何か対策を考える必要がありそうだ。
一通りの準備を終え、BCに置いていく荷物をINKAのスタッフに預ける。
9時20分、マサシさんとBCを出発し先ずはカナダを目指す。昨日は登り始めてからすぐに息を切らしていたが、今日は呼吸がかなり軽い。重い荷物を担いでいるが、ペースは落ちない。お腹の調子も良い。人間の体はこうも早く環境に順応出来るものなのかと感心する。
結局昨日よりも5分早い2時間10分でカナダに到着。丁度昼時なのでバーナーを取り出してお湯を注ぐだけのパスタを作る。昨日はカナダに着いてもお腹が空かなかった。面倒をかけてまで昼飯を食おうとするのは好調の証だ。
休憩中にタマキさん、リョウタサさん、キムラさん、ユウキさんもカナダに合流。ユウキさんを除く3人はそのままニドまで荷揚げに向かった。1時間半ほど休憩したのち僕とマサシさんもニドに向け出発。昨日荷揚げしておいた荷物はテントのロープを使って無理矢理バックに括り付けた。こういう時ロープワークはボーイスカウトの知識が役に立つ。うまいものだなぁと、マサシさんも関心していた。
気合を入れて登ろうと思ったが、荷物が肩にめり込む。重いなんてもんじゃない。平坦な道でさえこの荷物を持って10分歩けるか自信がない。カナダの標高は4900m。ニドは5400m。500mも高度を上げるなんて不可能だと弱気になる。
しかし、周りを見渡すと明かに自分より荷物を持っている輩がいる。おそらくポーターだ。皆んな笑顔だ。なんでこの人たちはこんなに余裕なのだろう。そういえばキリマンジャロに登った時も自分は良い靴履いてへばってたのに、ポーターはサンダルで余裕綽々だった。奴等は同じ人間だ。奴等が出来るなら僕も出来るはずだ。負けず嫌いな性格のおかげで、折れかけた心が強い芯に変わった。
カナダからニドまでの坂道は先程よりも少し緩やかに思えた。歩き始めると意外と進める。止まっている方が荷物の負担を感じる。進んでいればそのうち着くので、足を休めず兎に角前に進んだ。1時間程歩くと1つの山を超えた。おそらく中間地点だ。
前から先に出発していたキムラさんが降りてくる。高山病の症状が出たため、降りると言う。キムラさん曰く、ここからは直登コースと迂回コースに別れるらしく、リョウタさんとタマキさんは直登コースを進んだらしい。直登コースは見た感じそこまで急な登りも無さそうな事から、僕らも直登コースを選択した。
これが中々歩きやすい道で、最初のうちはグイグイ進めた。
しかししだいに、未体験の高度のためか、息が急に上がり始めた。思うように進めなくなる。意地でも進もうとする僕にマサシさんが後ろから一言。
「休憩しよう。」
丁度いいサイズの岩に腰掛ける。荷物は下ろすと二度と持ち上げられそうにないので、そのまま座る。呼吸をしっかり整える。体力的には問題なかったが、空気を上手く吸い込めていなかったのでこの休憩はものすごく助かった。ふと上を見上げると旗が見えた。おそらくキャンプニドの旗だ。ここからそう遠くはない。目的地が見えた事によって気力も復活する。
カナダ出発から2時間15分、遂に今日の目的地、キャンプニド(5400m)に到着した。
ニドでは先に荷揚げしていたタマキさんとリョウタさんが出迎えてくれた。ついでにコンドルも空を舞っている。アンデスに舞うコンドルは実に優雅だ。お前らこんな高度の高い所で飯に有り付けるのかと要らない心配をした。
キャンプニドはかなり広い。疲れて果てて奥に行くのが面倒だったので一番手前にテントを張ることにした。隣にエスパースのテントがあったのでもしやと思い話しかけたら、やっぱり日本人だった。皆んな同じようなテント使ってるので分かり易い。日本人だらけだ、この山は。
テント設営後は死んだように寝た。が、1時間で無理矢理身体を起こした。眠ると呼吸が浅くなり、高山病になり易いからだ。血中酸素濃度を測ると濃度67の脈拍91だった。降りる程ではないがギリギリの数値だ。起きてから30分深呼吸をして水を取りに行く。
キャンプ地の下の方に池があったのでそこから汲もうとしたら、ボトルを抱えた外人がもっと奥に向かっていくのが見えた。付いていくと綺麗な氷溶水を汲める場所に着いた。ここの水なら誰かの小便が混ざる心配もないので、煮沸せずとも安心して飲めそうだ。4ℓたっぷり水を汲んでテントに戻る。10分程坂を登るので、息も上がるし一手間だが、順応するには丁度良い運動だった。
飯を食って床に着こうとすると、えらく外が眩しいため外を覗いてみると丁度綺麗なサンセットが見えた。寒いからか誰も外に居らず、サンセットを一人占めした気分になった。
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