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自閉症の概念の誕生!カナー症候群について

カナー症候群とは?自閉症の歴史とその意義を学ぶ

こんにちは、小野です。今回は少し古い本を読んでいた際に興味を持った「カナー症候群」についてお話ししたいと思います。この言葉を初めて聞いた方も多いかもしれません。この記事では、カナー症候群がどのように提唱され、自閉症の理解にどのような影響を与えたのかについて詳しく解説します。

▼ 参考資料


自閉症の概念の誕生:レオ・カナーの功績

自閉症という言葉が初めて提唱されたのは1943年、アメリカの児童精神科医レオ・カナーによるものでした。彼は「情緒的接触の自閉的障害」という報告書を発表し、翌年には「早期幼児自閉症」という名称を用いて、この症状群を明確化しました。この研究は自閉症という概念の出発点となり、長らく英語圏では自閉症と言えばカナーの提唱したものを指していました。

しかし、2013年に発表されたDSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)では、これらの症状が「自閉スペクトラム症(ASD)」に統合され、現在ではカナー症候群という診断名は使用されていません。


カナー症候群の診断基準

カナーとその後継者であるアイゼンバーグは1956年、カナー症候群の診断基準として以下の5項目を提唱しました:

  1. 他者との情緒的接触の重篤な欠如
    人との感情的なつながりを形成することが困難である点が特徴的です。

  2. 物事をいつも同じままにしておこうとする強い欲求
    環境の変化や予測できない事態を嫌い、ルーティンを重視します。

  3. 物への強い関心と器用さ
    特定の物や活動への集中が見られ、その扱いにおいて非凡な器用さを示します。

  4. コミュニケーションに役立たない独特な言葉の使用
    言葉を話さない場合や、オウム返し、他者には理解しづらい独自の言葉を使う傾向があります。

  5. 特殊な能力の発揮
    知的な外見や、カレンダー計算など特定分野での卓越した能力が特徴として挙げられます。


カナー症候群とアスペルガー症候群の違い

カナー症候群は、アスペルガー症候群が広まる前の時代、自閉症の代表的な概念として使われていました。そのため、カナーの記述した自閉症を特に「古典的自閉症」または「カナー症候群」と呼ぶことがあります。

また、カナー症候群とアスペルガー症候群の違いを表現するために、「カナータイプ」や「アスペルガータイプ」と分類されることもあります。


まとめ

カナー症候群は、自閉症という概念の出発点として歴史的に重要な位置を占めています。カナーの研究は、後の研究や支援の基盤を築き、現代のASDの概念形成にも寄与しました。古い用語や診断基準を学ぶことで、現在の支援や診断がどのように進化してきたのかを知るきっかけになります。

今回の内容が、自閉症やアスペルガー症候群に興味を持つ方にとって新たな学びとなれば幸いです。ありがとうございました。

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小野 / かんたん発達サポート
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