高機能自閉症とあわせて出やすい症状
高機能自閉症における随伴症状について
高機能自閉症は、一般的にはIQ70以上の知能を持つ自閉症スペクトラム障害(ASD)の一部を指します。知的障害がない状態を特徴とするため、社会生活における困難が表面化しにくい一方で、独特の随伴症状が現れることが多いと言われています。この記事では、高機能自閉症と関連してよく見られる随伴症状について解説します。
▼ 参考資料
1. 感覚異常
高機能自閉症の人々は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚が過敏または鈍感であることが多いです。この感覚異常が日常生活に影響を及ぼすことがあります。
視覚過敏: 強い光や色彩のコントラストに反応しやすい。例えば、特定のパターンや動きが気になり、視線を逸らせないことがあります。
聴覚過敏: 特定の音が苦手で、人の大声や騒音に強いストレスを感じる場合があります。
味覚異常: 極端な偏食や特定の食感が苦手になることがあります。固い食べ物を避けるなどの行動が見られる場合もあります。
鈍感さへの注意: 感覚の鈍感さにより、虫歯や中耳炎といった体の異常に気づくのが遅れることもあります。
2. 運動の異常
運動スキルにおいても、ぎこちなさや不器用さが特徴的です。
運動協調性の欠如: 歩き方や走り方がぎこちなく見えることがあります。ボール遊びなどのスポーツが苦手な場合もあります。
微細運動の困難: 箸の使用や字を書くことが難しい場合があります。特に手先の動作が不器用であることが課題となりやすいです。
チック症: 身体の一部を無意識に動かす癖(首を振る、肩を上げるなど)や、汚い言葉を繰り返すといった音声のチックが見られる場合もあります。これがトゥレット症候群に発展することもあります。
3. 多動(ADHD傾向)
高機能自閉症と併発しやすい症状の一つに多動があります。じっとしていられない、常に動いているといった特徴が見られます。また、注意欠陥や衝動性も併発する場合があります。
4. 精神的な症状
精神的な障害や症状も高機能自閉症に随伴しやすい傾向があります。代表的な例として以下が挙げられます。
睡眠障害: 入眠困難や中途覚醒が見られることが多いです。
不安障害・うつ病: 社会的な困難や孤独感から、精神的な負担が増加します。
強迫性障害(OCD): 特定の行動や思考に囚われやすいです。
場面緘黙(かんもく): 特定の場所や状況で話すことができなくなる症状もあります。
5. てんかんのリスク
高機能自閉症の人は、一般的な人口よりもてんかんを発症する確率が高いとされています。特に知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害の場合、そのリスクはさらに増加しますが、高機能自閉症でも例外ではありません。
症状: 大発作(全身けいれん)だけでなく、精神運動発作(意識変化や行動の変化)が見られる場合があります。
診断と治療: 早期に脳波検査を受けることで発作のリスクを把握し、適切な薬物療法を行うことが重要です。
終わりに
高機能自閉症の人々は、知的能力の高さから日常生活では表面的に問題が見えにくいことがありますが、感覚異常や運動機能の問題、精神的な症状などが随伴している場合があります。これらを早期に発見し、必要なサポートを提供することが大切です。適切な診断と支援により、本人の生活の質を向上させることが可能です。
これからも引き続き、高機能自閉症や自閉症スペクトラムに関する情報を発信していきますので、ぜひ参考にしてください。