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デジタルマーケティングを推進するための意識改革から文化づくりまで
小木曽です。今はマーケですが、キャリアとしてはクラウドサーカスという会社のカスタマーサクセス(以下CS)として、BtoB企業を中心にWeb制作後の活用支援や、デジタルマーケティングのコンサルティングを長くやってきました。
今回はタイトルのとおり、デジタルマーケティングを推進していくための意識改革から文化づくりまでの流れについて書いてまいります。
事例インタビュー整理で気がついたこと
実は先日、マーケ業務の一環でWeb制作の事例インタビューを項目ごとに整理していたところ、「社内の意識が変わった」という声を多くいただいていることに気がつきました。単にWebサイトからの成果が上がっただけではなく、他部署にも影響を与えられているのはシンプルに嬉しいことです。
一部抜粋するとこんな感じです。
営業がクライアントへの提案時に、Webサイトを使ってくれるようになりました。
「サイトリニューアルを話題のひとつにもできる、リニューアルしてくれてありがとう」という声もあり、うれしく思っています。
全社では各事業部長が期初に事業部方針発表をしており、私はデジタルマーケティングの効果について報告しています。他の事業部でもデジタルマーケティングに取り組みたいという意識が芽生え、我々の事業部に相談が来るようになりました。
実は2021年4月には、お客様から掲載依頼のあった資料を載せて、コンテンツを大幅改定しました。それも営業がお客様の声を拾ってきて、「こんなことできる?」という話からスタートしたんです。そういう風に他部署と連携できるようになったのも、サイトをリニューアルしてからなんですよね。
※その他にもWebリニューアル事例をみたい方はこちらも合わせてご参照ください。
デジタルマーケティングの成果だけを考えた場合、Webサイトのリニューアルが最優先施策でないこともしばしばあります。大きくデザインを変えずとも、既存のサイト改修で十分成果に繋がることも多いからです。
ただWebリニューアルには、単なる定量的な成果以外にも、社内の意識を変えるカンフル剤として効果があったりもします。人は合理的な話だけでは動かないので、時には目に見える施策も必要です。そのあたりがうまく働いている事例が多いな、と自社の事例ながら考えておりました。
ところで、「社内の意識が変わった」と聞いてわたしが想起したのが、下記の有名な言葉です。
心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
色んな方が引用&改変して使っているので出典元を調べてみたんですが、詳細はわからないとのこと(参照:レファレンス共同データベース)。松井秀喜さんの座右の銘でもあるみたいですね。いずれにせよ、近しいフレーズを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。私もどこかで聞いたことがあり、記憶の奥底に眠っておりました。
で、改めてこの言葉を見ると、人に限らず組織を変えていく上でも同じようなことが言えるんですよね。未来の変化を起こすにはまず、組織の意識改革が必要で、そこからそれぞれの行動を変え、習慣を変えていく必要があります。その結果として、組織の運命を大きく変えていく。
具体的には先ほどの言葉は、
意識(心)が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば文化(人格)が変わる。
文化(人格)が変われば運命が変わる。
みたいに置き換えられるわけです。
先ほどご紹介した事例インタビューの企業様も、多くの場合でこういった流れを踏んでいるように感じます。
まずはデジタルマーケティングやWebサイトに対する意識から始まり、誰かしらが行動を起こす。また、その行動をきっかけに習慣が変わっていき、組織文化が作られていく。そして、その文化が根付くことが、結果的に組織の生産性を底上げしていき、運命を大きく変えていく。こんな感じでステップアップしていくのかと。
とはいえ、言うは易く行うは難しです。そんな簡単に言ったら苦労しないんすよね。私もこれまでCSとして支援してきた立場なので、痛いほどよくわかります。でも、本当に自社がやるべきことならば、困難だとしてもやるしかないのです。運命を変えるには、まずは意識と行動の変革から取り組む必要があります。
そこで今回、具体的にどんなステップで変えていけばいいのかを私なりに整理してみました。これまで私がCSをしてきた「デジタルマーケティング」や「Webマーケティング」を軸に、一般的な流れとしてまとめています。特に、”自社を変えたいのに、変わらなくて困っている方”にこそ、参考にして頂けると嬉しいです。
意識と行動を変えるには何が必要なのか
大前提として、デジタルマーケティングで成果を出すには、社内のメンバーの意識をちゃんとデジタルに向ける必要があります。また、特定のメンバーが胸の中で思っているだけでも変化は起こせません。意識から行動を変えるためには、まずは行動を起こし、最終的には社内の重要人物を巻き込んでいく必要があります。
では重要人物とは具体的には誰を指すのでしょうか。それは社内で実質的に推進力がある人、多くの場合は経営者や営業部長などです。
※ちなみにこの章を書いているときに、はじめは「決裁者」と書いていたのですが、訂正をしています。もちろん最終的な予算を獲得するには決裁者の理解も不可欠なのですが、その前にまず推進力のある人を巻き込んでおかないと、思わぬところでストップがかかることもある、と考えたからです。仮に決裁者=推進力がある人であれば、イコールで考えていただいて構いません。
流石にこのご時世、ほとんどの企業が何かしらのデジタル領域には関心を持っていますが、マーケティングやセールス分野の優先度がそれほど高くないケースはまだまだ存在します。
ですが、そういった企業内でも危機感を持っている社員はどこかしらにいるはずです。それはもしかしたら一般社員かもしれないし、課長クラスかもしれないし、役員クラスかもしれない。そういった意識の持ち主が中心となって、社内啓蒙をしていく必要があります。もしこの記事を読んでいる方がそうなのであれば、行動を起こすのはあなたです。
ただ、この啓蒙活動がめちゃくちゃ大変なんです。めっちゃ時間がかかるし、部門間の調整もたくさん必要になります。重要人物から遠ければ遠いほど、長い道のりになりますし、途中で断念してしまうこともザラにあることでしょう。
ちなみに、稀に一瞬でこの啓蒙活動が終わるイベントが発生します。経営者の交代です。実際これまで支援した中で、デジタルに意欲的な2代目3代目経営者に変わった途端に、信じられない速度でデジタルマーケティングが推進されていった事例をいくつか見てきました。こういったケースは既に意識が変わるどころか行動にまで移せているので、もろもろの道のりをショートカットして進めることが可能です。
とはいえ、あくまでこれは稀なケースで、運の要素が大きくなってしまいます。現実的には、やはり少しずつ啓蒙活動を実施していく必要があります。
その啓蒙活動において特に必要になるものが、数値的な根拠(データ)と事例です。その取り組みによってどれくらいのヒットがあるのか。またどれくらいの企業が取り組んでいて、どんなことをしているのかなど、最低限データと共に明示する必要があります。
でも悲しいことに、そこまでやっても人はなかなか動きません。めんどくさいことを避ける生き物だからです。現状維持で行けるならそうしたいと思うのが本能でしょう。ちょっとやそっと提示しただけでは、なかなか動いてはくれないかもしれない。よそはよそ、うちはうちの精神が出てしまい、結局何も変わらない。
だから真正面から玉砕するのではなく、社内で少しずつ味方を増やしていく必要があります。データと事例をもとに、目の前の説得したい人にとってどれだけメリットがあることなのかを伝えることが重要です。推進力の高い人をまずは巻き込めれば、気持ち的にも楽になります。そうして外堀を固めていって、最終的に推進力のある人を味方につけていきましょう。
またその時に、第三者に頼るのも1つの手段としてはおすすめです。弊社のような支援会社でも、社内での関係者を説得するために一緒に作戦会議をしたり、資料の作成を手伝ったりすることが多々あります。
特にデータや事例に関しては、専門家の立場から事実を伝えた方が納得度が高いこともあるので、積極的に協力をしているところです。またどんなデータを揃えるべきか、そもそも今後どのようなWeb戦略をとっていくべきか、などもよくご提案しているところです。
また、支援の際に「DPOメソッド」というロードマップを活用しているのですが、こういったツールも社内を巻き込む際にはお役に立てているようです。
また、弊社のようにWebサイトの管理をする人数が少ない場合では、社内メンバーを巻き込んでいくときにも役立つなと感じています。Web担当者だけがWebサイトに関わっていて、社内の人になかなか理解してもらえないとき、「DPOメソッド」のような客観的なものがあるのはいいですね。
私自身は経営者の立場でWebサイトを見ていますが、他の会社のWeb担当者の方だと次に何をしないといけないかということを上司に伝える際にも役立つのではないかと思います。
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さらに、一気に意識を変える手段として、冒頭でもお話しした”Webサイトのリニューアル”が効くことがあります。(まずリニューアルにたどり着くまでが長い道のりになることもありますが、、、)。
目に見えた変化はメンバーに本気度が伝わりますし、そもそもデザインの評判がよくなれば社員も積極的に紹介してくれるようになります。
例えば先ほど引用した、
営業がクライアントへの提案時に、Webサイトを使ってくれるようになりました。
「サイトリニューアルを話題のひとつにもできる、リニューアルしてくれてありがとう」という声もあり、うれしく思っています。
こちらの声のように、メンバーがWebに触れる機会が増えることで、デジタルへの抵抗が少しずつ減っていき、意識も向いていくはずです。
そうやって少しずつ社内の意識を変えていけば、何かしら具体的な行動が起こっていきます。マーケだけが単独で動くのではなく、部門を跨いだ動きが少しずつ発生するのです。
例えば資料をダウンロードした人に対してセールスからアプローチしてもらうとか、MAツールの中の情報をもとに営業の仕方を変えてもらうとか、過去の受注データに基づいた営業アプローチを実施するとか。既存のやり方しかしてこなかった営業が、デジタルを活用した行動を起こしてくれるようになります。こういった小さな積み重ねが、習慣へと繋がっていくのです。
習慣を変えるには何が必要なのか
小さな行動から習慣を変えるまでいくにはまだもう少しポイントがあります。
特に大切なのは、早い段階で小さな成功体験(以下:クイックウィン)を積んでいけるような設計にすることです。我々も生き物なので、行動に対して何かしらの報酬を得られると、その行動が強化されます。逆に行動を起こしてるのに全く手応えがない状態が続くと、だんだんとその行動がとられなくなってしまうのです。
行動を定着させる手段として、指示通り動かなかった時に罰則を与える方法もあります。Webサイトの更新をサボったら評価を下げる、SFAの記入を怠ったらリードを割り振りしないなど、罰を与えることで行動を強化していく手段もあります。ただしこれはモチベーションの低下にもつながりかねないので、できればクイックウィンを積んでメンバーが行動したいと思わせる設計を組むのが良いかと思います。
例えば、過去にWebサイトから資料をダウンロードされた人にメールを配信して、アポイントを供給することかもしれません。展示会名刺を集めてメルマガを配信し、フォローアップにつなげることかもしれません。Webサイトに訪れた企業のリストを営業にシェアして、そこから商談につなげることかもしれません。
とにかくまずは、「これを続けたら得をしそう」とメンバーに思ってもらうことが重要になります。でないと途中で頓挫してしまったり、そもそも計画段階で断念してしまう可能性があるからです。関係者が「これをやるといいことがある」とシンプルに感じてもらえるような、そんなクイックウィンを目指しましょう。
幸い、昨今のITツールベンダーも「Time to Value」といって、ツール導入後に価値を感じるタイミングを重要視しています。早い段階で成果が見えないと解約になってしまうので、できる限りクイックウィンが生まれやすいような支援をしてくれるはずです。
行動を習慣化させるためにも、こういったサポートも積極的に頼りながら早めに成果を作っていくと良いと思います。
文化を変えるには何が必要なのか
最後に文化を変える方法です。これは一朝一夕で変わるものではないので、根気強く続けていく必要があります。具体的には、一部で習慣化されていることを社内で広げていき、当たり前化していくことが重要です。
手段の例としてまず挙げられるのが、デジタルを活用した成功体験を社内でシェアすることです。
デジタルマーケティングでどれだけの案件が創出されているのか。データを活用した営業でどれだけ成果が上がっているのか。そういった情報をシェアすることで、多くの社員が成果を自覚し、デジタルを使うのが当たり前になっていきます。全社の注目が集まる業績発表や、社員総会においてシェアすれば、マーケティングや営業に限らず、さまざまな部署の目に触れることになります。この打ち出し方が大きければ大きいほど、文化として定着する速度も速くなる傾向があります。
文化には1人1人の行動が反映されるのは事実ですし、行動を変えてそれを習慣化されていくことが必須条件なようにも感じますので、方向性としては間違っていないと考えています。。
まずは一歩目の勇気と小さな成果
名言に沿ってつらつらと書いて参りました。すごくまとめやすかったので、やはり名言には名言たる所以があるなと感じました。抽象化して転用しやすいからこそ、引用する人も多いのだと思います。
さて、ここまで偉そうに書いてきたものの、そう簡単にいくものではないのはわかっています。だからこそ私も、CSにやりがいを感じていましたし、実際にクライアントの社内が変わっていくことにとても喜びを感じていました。
やはり、デジタルマーケティングは1人で頑張っていても本質的な成果にはつながりません。特にBtoB企業であれば、最終的なゴールは受注になるので、インサイドセールスやフィールドセールスの協力は不可欠です。そのためには少なくとも習慣化、できれば文化づくりまでを実行していかねばならぬのです。逆にいえば、難しいからこそ、しっかりと文化を作れてしまえばそれが大きな競争優位へとつながるかもしれません。
その道のりは長いかもしれませんが、間違いなく今後対応していく必要があることなので、折れずに頑張っていって欲しいなと思います。
無料から使えるマーケティングツール
最後にちょっとPRでございます。弊社では無料で使えるマーケティングツールをいくつか提供しておりまして、これらもクイックウィンを生み出すきっかけとして活用して頂けたらと考えています。
例えばその1つがMAツールと呼ばれるもので、メールを配信したり、Webサイトに訪れてきた企業名がわかったり、誰がどこを見たかを把握たり、みたいなことが無料でできます。
メール機能については今期のバージョンアップで新たにつきました。
MAツールについても、社内の意識が変わった声をちょくちょくいただいております。こういった声はすごく励みになります。
「これから営業に力を入れていこう」と、営業に対する意識が高まりました。これが一番大きな変化だと思います。
実際に使ってみて感じたのが、BowNowは、社内の意識を変えていくのに当たり、手軽に始められるツールです。マーケティングやMAに関する知識があまりない状態でも使いやすいシンプルなツールで、社外から自社がどのように見られているのかを数値で把握することができます。
もちろんWebサイト制作につきましても、ありがたいことにたくさんご依頼をいただいています。つくって終わりにしないのが弊社の特徴なので、よかったらこちらのページも参考にしていってください!
リニューアルが全てではないにしても、しっかりとした運用基盤がなければ中長期での施策は難しいので、まずは最低限のチェックも兼ねて相談いただけますと幸いです。あとは繰り返しになりますが、社内の意識を変えるカンフル剤としても有効です。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。この記事が何かのお役に立てていたら幸いでございます。
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