死ぬくらい嫌いな食べ物

俺はバーカウンターの片隅に腰掛け、口の中で煙草の味を思い出しながら、グラスの中のジンジャーエールを見つめていた。隣の酔っ払いが「人生ってのは、結局フリだよな」とか何とか、耳障りな音楽みたいに呟いてる。フリ?俺の人生そのものだろうが。大酒飲みのフリ、ハードボイルドのフリ、愛想のいいオジサンのフリ。おまけに笑顔の裏じゃ、吐き気がするほどむかつく食べ物が頭をぐるぐるしてる。

さて、今回は俺が大真面目にぶちまけてやる。むかつく食べ物ランキングだ。こいつらを口にするくらいなら、火傷する方がまだマシだって思わせる代物ばかりだ。行くぜ、ベイビー。

5位:イカの塩辛
塩辛ってのはよ、「俺たち発酵しましたけど、なんか文句でも?」みたいな顔してるのがムカつく。居酒屋で出された瞬間、あの粘っこい見た目にまずやられる。舌に乗せれば、なんだこれは。海の腐った部分だけ抽出して混ぜました、みたいな味だ。
で、隣のヤツは決まって「いや~日本酒に合うんだよね」とか言いやがる。嘘つけ。お前だって本当はキツいんだろ。でも周りが食べてるから一緒にやってるだけだろ。俺はその手には乗らないぜ。

4位:レバー
なんで好き好んで内臓なんか食うんだ。人間の胃袋に内臓を入れるってのは、お互いがやっちゃいけない約束を破ってる感じがして不快極まりない。
さらに焼肉の席でレバーを頼むヤツに限って、「レバーって栄養あるんだよ」とか言いやがる。誰がそんなことを聞いた?お前の健康アピールのために俺の食欲が犠牲になるなんてまっぴらごめんだ。俺は健康とか栄養とか無縁のハードボイルドなんだよ。お前も黙って脂っこいカルビでも食っとけ。

3位:ウニ
ウニが「高級食材」なんて話はどこから出てきたんだ? あんなの、磯の生ゴミじゃねえか。しかも「とろける~」とか言われるたびに、俺は胃の中の何かが逆流しそうになる。口の中でとろけるもんが美味いなら、溶けたチョコレートの方が一億倍マシだ。
でも周りのヤツらは「ウニ苦手なの?可哀想~」とか同情の目を向けてくるんだ。俺の舌は大丈夫だ。むしろそっちが可哀想だろ、そんなもん美味いと思い込まされて。俺は遠慮なく言う。ウニは味覚の洗脳兵器だ。

2位:カラシ蓮根
あれを初めて口にした時の話をしよう。蓮根にカラシを詰めるって発想自体がまず狂ってるけど、なんでこんなもんを九州の誇りとか言い張るんだ?(俺は九州人)一口食べた瞬間、口の中が爆発した。辛いどころじゃない。あれは痛いんだ。人間の食べ物に痛みが伴うのはおかしいだろ。
しかも、周りはそれを見て笑う。笑うなよ、俺の苦しみをエンタメにするな。あの夜はカラシ蓮根のせいで3杯分のジンジャーエールをおかわりする羽目になったんだ。二度と食べない。飲み込めない。

1位:霜降り高級和牛
これが俺を最もむかつかせるヤツだ。霜降り?何が霜降りだ。脂が白い線状に入り込んでるだけで、なんでこんなに高いんだ?一口食べるたびに口の中が油田だ、脂が舌の上で暴れ回って、次の瞬間には気持ち悪くなる。
しかもだ、「やっぱり霜降りは美味しいよね~」とか「とろける〜」とか言うヤツの幸せそうな顔が余計にムカつくんだよ。脂っこい肉を食べて幸せになれるなら、俺は断固として不幸を選ぶ。頼むから焼肉屋では赤身だけ頼ませてくれ。

というわけで、俺のむかつく食べ物ランキングは以上だ。これを読んで「わかる~」って共感してくれなくてもいい。ただ、俺にこれらの食べ物を勧めるヤツとは、次の瞬間から縁を切ると思ってくれ。俺の舌は俺のもの、他人のフリに合わせてたまるか。

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