#3 「カッコいい場所」と「カッコいいメディア」について
僕は何かと「カッコいい」ことが重要である、と主張してきました。また同時に「カッコいい」とは何か?とも考えてきました。今日はひとつ、ある例を紹介します。この例から「日本のスポーツはどうしてカッコよくなれないのか?」の根本的な原因がわかります。
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つい先ほど公開されたInstagramの投稿で「カッコいい」ものを見つけました。ちなみに先行公開していたのは以下の2つのサッカーメディアです。
2つとも世界的にクールなコミュニティなので、サッカーのビジュアルトレンドを知るためには追い掛けておくべきです。
それはさておき、ドルトムントに所属するジェイドン・サンチョ(Jadon Sancho)選手とNIKEが共同で行ったプロジェクトによって、この街を本拠地にする「Lambeth Tigers」というクラブの6歳から18歳までの子供たちが使っていく新しいグラウンドが南ロンドンにつくられました。VERSUSの投稿によると、Lambeth Tigersは地域に住む子供たちがサッカーにアクセス出来るように、コーチングやワークショップ、トレーニングを通じて、300人以上の子どもたちに定期的な機会を提供しているそうです。
以前僕が「カッコいい」の定義としての別の記事で定義をしたことがあります。簡単に言うと、『視覚』『機能』『哲学』という3つの要素において、全てがクールで、尚且つ一貫性があること、というものでした。
このプロジェクトには、この3つの要素が全て揃っていることがわかります。よく日本でありがちなのが、例えばプロ選手でも誰でもいいのですが、何かしらに関連するプロジェクトを実施したとします。そのプロジェクトには選手の思いや意図(哲学)があり、誰かが有意義に活用できる環境(機能)を提供しています。
だけど、ビジュアル(視覚)に拘らないんですね。
あらゆる日本のスポーツ界隈(スポーツに問わずかもしれません)が行うプロジェクトは「カッコいい」をつくる最も重要な「視覚」が欠けています。
例えばこういったプロジェクトにおいて「視覚的にダサい」ことによる弊害は多々あります。持続可能なマネタイズにも関わってきますし、使う人に与える影響にも関連しています。
では何故「日本のスポーツはカッコよく出来ないのか?」という疑問が生まれます。その理由をあげたら2時間くらい話せるのでやめますが、根本的な原因は2つあると思っています。
1.カッコいい「メディア」がない
2.カッコいい「場所」がない
それがこの2つです。つまり「カッコいい」必要性のあるプラットフォームが存在しないからですね。
例えば本来バラバラであるはずの人々のセンスや感性を統一するのが「メディア」というものの役割です。これは今も昔も、ファッションやエンタメ、アートの世界を中心に変わりません。もちろんスポーツもそうですね。だから「かっこいい世界」にムーブメントやトレンド(流れ)をつくるためにメディアは必須なわけです。トレンドを作らないと、マネタイズも出来ません。
仮に日本で本当にカッコいい何かを創造したとしても、それをカッコよく取り上げることが出来るメディアが日本のスポーツ界には存在しないので、必要性に欠けるわけですね。日本のサッカー界(スポーツ界)にも上に紹介したような「VERSUS」や「SOCCERBIBLE」などの、人々のセンスを統一するクールなメディアが必要になります。つまり「プラットフォームがカッコいいことによるコンテンツがカッコいい必要性」をつくりだすということですね。
※現在のサッカー界には、クールなメディア(つまりクールなものをまとめる・ストーリーテリングするコミュニティ)がうじゃうじゃあります。それが現代サッカーが異常にクールでファッショナブルなひとつの理由です。
じゃあ何故やらないの?と言われると、複雑な分析が必要になりますが、ひとつは結局日本という環境にいる場合、例えばファッションやその他のカルチャーの世界で生きてきたような人が「よし、スポーツメディアやろう」とは思わない(思うはずがない)ということが大きな原因です。
海外のように「もともとサッカーをやってたような(好きだったような)センスのある他業界の人」こそが、必要な人材です。それがスポーツ界に入ってこない根っこの原因は何か?と考えると「学校教育」に行きつくわけですが、先述したように長くなるので、また別の機会に。
また、仮にメディアがクールだったとしても「場所」がないとダメなんですね。つまり日本のスポーツ施設は基本的にクールじゃないので、箱がダメだと視覚的なクールをつくりだすことができません。これは説明しなくてもわかります。
カッコいい場所がなければ、カッコいい人も必要ありませんし、カッコいい人は、カッコいい場所にしか現れません。
卵が先か、鶏が先か。
写真は全て https://www.instagram.com/versus/?hl=ja より
僕もlove.fútbol Japanというコミュニティで「場所」に関連した活動をしています。メンバーの一人として、love.fútbol Japanで『視覚』『機能』『哲学』が揃った、かっこいいサッカーグラウンドを日本につくるのが、ひとつの夢です。
何はともあれ、僕は「サッカーはカッコよくなければいけない」と信じていて、その理由もあらゆる角度から説明できるようになってきました。その上で「日本サッカーがかっこよくなれない原因」も多視点で見えてきたので、あとはやるだけです。実現していく世界が、楽しみです。
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日々サッカー、またはサッカー以外の分野から何を学んでいて、何に気付いて、何に疑問をもち、どんな風に思考を巡らせているのか、そして、そのプロセスにおいてどのような知識や仕組みが必要だったのか…などが書いているマガジン『蹴球症候群』。月額300円で、このように殴り書きで頭の中を晒していきます。
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河内一馬
1992年生まれ(27歳)東京都出身 / アルゼンチン在住 / サッカーを"非"科学的視点から思考する『芸術としてのサッカー論』筆者 / 監督養成学校在籍中(南米サッカー協会 Bライセンス保持) / NPO法人 love.fútbol Japan 理事
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