【記録.6】腰を据えたときに見える小手先の技術と知識
鎌倉の街に引っ越して来てから早くも1年の月日が経ち、鎌倉インターナショナルFCでの仕事は2シーズン目を迎えています。街に対する愛着と、クラブに対する愛情は日に日に増すばかりで、世界情勢がカオスなことも手伝い、自分の人生がいかに幸せなものなのか、日々噛み締めて生活をしています。
学生生活が終わってから今まで、何をするにしても「海外でサッカーを学ぶ」ことがスタートラインとなっていたものですから、何かの組織に属すとき、あるいは何かの活動を始めるときは、決まって「期間限定」の意識がありました。学生の時も然り、物心がちゃんとついてからは「3年間」の期間限定だという意識があったことを考えると、生まれて初めて「腰を据えて」いる感覚があります。
サッカーの監督として対価をもらっている以上は、実力がなけれはどうなっても仕方がない世界ですから、果たして「腰を据える」という言葉が正しいのかは分かりませんが、今はなにか「時間」という概念とは無関係に「腰を据えている」意識を持って仕事をしています。
意識として「腰を据えて」いなければ、今自分が属している組織の10年後や20年後を考えることなどないかと思いますが、そればかり考えていることを考慮すると、やはり私は生まれて初めて「腰を据えている」のだと思います。
(意識として)腰を据えていない時、(意識として)腰を据えている時、どちらが良い・悪いはないと思っています。でも明らかに異なるのは、学びの種類でしょうか。意識が違いますから、当然吸収する情報やアウトプットが変わってきて、学べる事柄が微妙に変わってくるのだと思います。うまく言葉にはできませんが。
相変わらず私の実力は理想とはほど遠く、経験も不十分で、日々周りの人、起きた事象からスポンジのように学んでいます。人が自らの成長を実感するときに幸福を感じるのだとすれば、私は今、日々自分の成長を感じていて、すごく幸せに思います。
己の役割
Photo: Kazuki Okamoto
肩書きで言えば、クラブでの私は「監督」であり「ブランディング責任者」であります。そのどちらにも共通している「やらなければならないこと」の本質は、「組織に属している個人が幸せな状態・環境をつくる」ことなのかもしれません。「幸せな状態・環境」とは、内的でもあり外的でもあります。その組織に属している自分を誇りに思うか、かっこいいと思えるか、そういったことの責任を担っているのがこの仕事であり、同時に、それは私一人では一切成し遂げられないというパラドックスがあります。
私は予々、小手先の技術や知識で生きてきた節があります。全部、小手先なのです。本質的な実力がなければ、腰を据えて「組織に属している個人が幸せな状態・環境をつくる」ことなど到底できないなと、身をもって痛感しているところであります。学んで、経験して、成長するしかありません。
サッカーをしていると、「やっぱりチームはいいな」としみじみ思うことがあります。
Photo: Kazuki Okamoto
本当の意味で“チームになる”ことは、決して簡単なことではなく、成果や結果と違って目に見えづらいものです。その目に見えづらいものと向き合うのが監督でありブランディングであるのかもしれません。心の底から「チームはいいな」と思うことは、なかなかできないのです。嘘っぱちならいくらでもできますが。
チームの中で、監督という役割は一体何をすることなのか、何に集中するべきなのか、ブランディングをすることとは一体何か、私は何をするべきなのか、そういったことを今一度問い直す日々です。小手先の技術や知識で生きていきた人生から、実力のある人間になるためには、どうすればいいのか。実力をつけていくことが、ちゃんと自分の幸せと組織の幸せに繋がっているか。
クラブ、組織、コミュニティ、チーム、グループ、ペア…
Photo: Kazuki Okamoto
サッカークラブは、組織、コミュニティ、チーム、グループ、ペア、なんでもいいですが、そういった“個人ではない何か”で出来ているのだと、改めて感じている日々です。その中にいる自分とは何なのか、役割は何なのか。そういったことを考えて行動に移すことが、組織に属す個人としてあるべき姿だと思います。その中でも、特に私は責任のある立場を与えられている身として、自分の実力のなさと対峙し、引き続きベストを尽くしていきたいです。
鎌倉インターナショナルFCは、未熟ながら、新しい境地にみんなで到達しようとしています。今年も『CLUB WITOUT BORDERS』に向かって、ピッチ内外もがいています。いいクラブ、いいチームになりたいです。
さあ、今年もプロセスが始まった、ぞ。
…
現在クラブではブランディング領域のインターンを募集しています。業務は主に私のサポートとなります。小手先のかっこよさではなく、「サッカークラブをブランディングすることとは一体何なのか?」から一緒に考え直していきたいです。
詳細・応募はこちらから
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