【コロナ奮闘記①】発症から確定まで
【10/25(日)6:30】起床と共に頭痛
前日は流しで終電まで歌っていた。お酒もたくさん頂き、いつものようにお客さんと盛り上がっていた。
自宅に戻り、手洗いうがいは当然のこと、いつもと変わらず寝る前の準備を終え寝床についた。
が、翌日には激しい頭痛に見舞われた。
初めてこの記事を読まれる方のために、簡単に自己紹介をさせて頂きたい。
私は稲田一馬と言いまして、音楽で生計を立てています。活動の主軸は『流し』といって、居酒屋やBARへギター片手に歌いに行くというもの。リクエストに応じて皆さんの知ってる曲を歌い巡業するという職業です。
『流し』の翌朝はほぼ必ず朝練に行く。飲みすぎないようにブレーキをかけるための自分への対策でもあるからだ。しかしこの日はあまりに頭痛がひどく、とても練習できる状態ではなかった。
熱を測ってみた。すると39.1度。これはどうしようもないと、音楽スタジオに連絡し、この日はキャンセルさせてもらった。
「今日はダメだ。1日休もう。」
他にも仕事が残っていたが、あまりに頭痛がひどく、この日はすべての作業の手を止めて休むことに専念した。
ただ食欲はあった。頭痛と発熱以外は特に痛みがなかったので(喉も問題なし)、しっかりと食事をとって睡眠をとってこの日は終わった。
【10/26(月)6:30】頭痛は引いたけど、高熱が治らない
翌朝。6:30起床。生活のリズムが確立してるのか、私はどうしても6:30に起きてしまう。
頭痛はだいぶ治まっていた。だけど身体が重い。体温を測ってみた。38.2度。全然治まっていない。
この日はダンスレッスンだった。が、もちろんキャンセル。とても踊れる状態ではなかった。メンバーには謝罪。
食欲はあった。食べれるものをしっかり食べた。また頭痛が抑えられ、変わらず喉の痛みも咳もなかったので、睡眠はわりと取れたほうだと思う。
ただ高熱が2日続いてるのもあり、さすがにまずいと病院へ行った。
診断結果、よくわからない(原因不明)とのことでとりあえず明日もっかい来てくださいと、カロナール(解熱剤)だけもらってその日は終わった。こんなことあるのか。
感触としては従来の風邪とも違った。インフルエンザでもなさそう。コロナかどうかなんて判別もつかなかった。
とりあえず先々の予定もあるし、考えてもしょうがないので一刻も早く回復へと私は再び寝床についた。
【10/27(火)6:30】全然熱が下がらず、ついには味覚異常
翌朝、同じく6:30起床。全体的に身体が重い。熱を測れば38.2度。昨日と何も変わってない。
これ本当に風邪なのか。疑いを持ち始めた。そして唾液の味に違和感を感じ始めた。今までにない奇妙な味があるのだ。喩えようのない独特の味。
お茶が飲めなくなった。まずすぎる。食欲も一気に落ちた。何も食べたくない。私は無類の米好きだが、口に入れたくないほどだ。バナナやみかんがやっとだ。
これはあまりにもおかしいと、病院の時間を待った。
【10/27(火)13:30】コロナ確定
13:00、病院到着。昨日までの状態、そして今日の状況についてすべて話した。
その後先生は、念のためインフルエンザとコロナの検査をしようと鼻の粘膜を取った。細長い棒で鼻の奥の奥を突っ込まれたから、涙が出るほど痛かった。
「ああ、コロナだね。」
結果はあまりにも一瞬だった。事実を受け止めきれなかった。そう私は、新型コロナウィルスに感染していたのだった。
どこで感染したのか。どうして感染したのか。何が原因だったのか。これからどうするのか。みんなになんて伝えればいいのか。
いろんなことが頭の中を走り回っていたが、とりあえずは先生の次の言葉を聞いた。
「保健所には連絡しとくので、今後は保健所とのやりとりになります。そこで色々と質問されたり、今後について指示があるからそれにしたがってください。」
首を縦に振り、私は病院を後にした。
私はコロナにかかってしまった。
ある程度覚悟はしていた。職業柄、避けては通れないと。
だけどいざ現実となれば重さが全然違った。どうしよう。かなりまずい。私はもう音楽活動なんてできないんじゃないか。批判も避けては通れない。
だけど隠すわけにはいかない。真実を隠そうものならこれまでの信頼が大暴落だ。地獄の底まで落ちてしまう。
嘘はいけない。だけどすぐには判断できない。でも引き延ばす暇もない。引き延ばせば引き延ばすほど悪い方向に転がることは経験上わかる。
どこかで覚悟を決めよう。これも試練。これも人生。
ここから私のコロナとの闘いが幕を開けた。
続く。