2,000円だから絵が売れた。100円だったら売れなかった。
字を書くのは得意ですが、絵はあまり得意ではありません。
ましてや自分の書いた絵を買ってもらうなんて、想像するだけで膝が震えます。
だけど今回、私は「仏像作品展で自分の絵を売る」という大挑戦をしました。
しかも価格は2,000円です。絵は一点のみ。
角度を変えれば、音楽に携わってもいない人が、1からオリジナル曲を作って1曲だけのCDを2,000円で売るようなものです。
正気の沙汰ではありません。
だけどこれはやるって決めました。それが『仏像作品展4』開催2ヶ月前の話です。
そして結論、絵は売れました。もう嬉しくて嬉しくて。何度も何度も感謝を伝えました。
しかも100円とかじゃない。2,000円です。完全強気の2,000円。
本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
因みにその作品がこちらです。
そもそもどうして絵を売ろうと思ったのか
結論から申しますと、どっちに転んでも(売れても売れなくても)おもしろいと思ったからです。
売れたら一生の思い出になるし、買ってくれた人のことは絶対忘れない。売れなかったらやっぱり無理だったかと、ブログに書いて笑い飛ばせばいい。
あと元々絵を書く人(宇野一成氏)がいるから、相対的におもしろいってのも大きかったですね。宇野さんの作品は本当にすごい。
会場の黒板に、1時間ぐらいでサラッと書いてましたぞ
どうして値段を100円とかにしなかったのか
絵を売ることがそもそも初めてだから、まずは100円ぐらいからスタートという手段もありました。
だけど私は最初から2,000円と決めていました。
理由は、100円だとどっちに転んでもあんまりおもしろくないと思ったんです。それに100円に設定すれば、100円分の価値しか絵を書かないと思いました。
なのでこれはおそらくですが、100円だったらたぶん売れなかったです。
どうせ100円だし誰か買ってくれるだろうとか、そんな思考でいい作品なんて生まれるわけがありません。価値を甘く見てはいけない。
しかし2,000円となれば話は違います。なぜなら、2,000円分の価値を作らなければならないからです。
絵なんて書いたこともないのに、腕一本だけで2,000円の価値がある絵を書く。2,000円ですよ。昼ご飯だったらかなりいいものが食べれます。
こうして私の画家人生、その名も画家ずまが始まりました。
2,000円の絵が全然想像できない
2,000円の絵を売ることは決めました。しかし何を書けばいいのか。どっから手を出せばいいのか。どうやって価値を作ればいいのか。
何にもわからないし考えても何も思い浮かばないので、とりあえず書きました。書かないとそもそも何も始まらん。
見覚えのある方もいるかもしれません。
そう、SNSでいきなり絵を配信し始めたのもそういうことです。すべてはあの日のために。
とりあえず何か書く。書きながら考える。100円とか200円じゃない。2,000円の絵。2,000円の絵ってなんだ。
SNSに配信した絵でありがたいコメントもたくさん頂きましたが、それは無料だからであって2,000円で売るとならば話が変わってくる。
難しすぎる。全然わからん。どうしよう。時間は過ぎてゆくばかりでした。
先人を知恵を戴きに美術館へ
想像だけでは無理だ。学ぼう。先人の絵を見たら何か感じるもの、そしてヒントがあるはずだ。
というわけで成り行きのついでですが、私は美術館へ行きました。
コピーではありますが、そこには世界の名だたる絵が時代とともに何千枚と展示されていました。コピーなので写真撮影もOKです。
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(3枚目)や、ムンクの「叫び」(最後)は、見たことある人も多いかと思います。
昼ごはん食べるのも忘れて、4時間休み無しでずっと絵を見ていました。
わかる。今だからわかる。体験したからわかる。1枚に捧げた熱量や魂、時間や労力がどれだけのものか。また裏側に見える覚悟だったり汗だったりの人間模様。
中でも一番惹かれたのがこちらです。
な、なんだこれは。凄すぎる。
古代の絵画。まだ技術も何も進歩していない時代。
もはや執念しか無いと感じました。
これだ。これを書こう。
あと数週間で技術など手に入れられるはずもない。この絵を参考に、一生懸命書こう。
家に戻っては再び筆を取り、書き始めました。
下書きだけでもどえらい時間がかかりました。こっからボールペン。そして色。
何日も何日もかけ、本番3日前。ついに完成。
執念は伝わる
2,000円分の価値があったかどうかは今でもわからない。だけど、全部出し切ったとは胸を張って言えます。
辛かった。けどものすごい楽しかったし、挑戦して本当によかったと思いました。
そしてひとつ学びがありました。
それは、執念は伝わるということ。
技術に走ってしまえば楽なのは間違いない。だけど作品を人に伝えるってそういうことじゃない。その心を忘れてはいけない、
今回初めて絵を売り、また初めてステージでダンスをやったことで、今まで以上により強く思いました。踏ん反り返ったらおしまい。
改めて私の絵をおもしろがって頂き、さらにはご購入頂き本当に本当にありがとうございました。これからも、もっとおもしろい作品を作りますね。
コロナで家にいる時間も増えたし、次の執念へと向かいます。