日本ダービー レース回顧
前回の予想noteで推奨した伏兵ハーツコンチェルトが3着激走。そして、唯一ソールオリエンスに逆転できる馬として推奨したタスティエーラが見事優勝を果たした。それでも大本命ソールオリエンスが負けるとは思いもしなかったので驚いた。
今回は日本ダービーのレース回顧と、ソールオリエンスの今後についてまとめていこうと思う。
レース回顧に入る前に
坂井騎手の落馬から始まり、圧倒的人気のソールオリエンスの敗北、ここに並列すべきではないですがスキルヴィングのアクシデント。短時間でいろんなことが起き過ぎて漠然とするしかなかった日本ダービーでした。
何よりスキルヴィングの急死は残念でなりません。全人馬無事でレースを終えられることがどれだけありがたい事なのかを痛感しました。今はただ天国では幸せに過ごしてほしいと祈ることしかできません。生産者の皆様、育成に携わった皆様の愛情と、出資者の皆様そしてファンの方々の応援がスキルヴィングに届いていたらいいなと願うばかりです。スキルヴィング号、みんなのために走ってくれてありがとう。スキルヴィング号のご冥福をお祈りいたします。
日本ダービー レース回顧
まずはレースラップ。
残り800mになるまで超スローペース。パクスオトマニカが単騎先頭だったので、引き離された二番手以降の馬群はこのレースラップの数値以上に緩いペースで走っている。特にバックストレッチ区間がかなり緩んでいて、二番手ホウオウビスケッツがおよそ1F=13.0のペース。馬場差を考慮してもここ40年で最も遅い。ホウオウ丸田Jからすれば馬の力量的にしてやったりの好騎乗だったと思う。
そしてこの区間では、もう一組ハーツコンチェルト松山Jの好判断が光る。この超スローペースで序盤の位置取りのままだったら間違いなくノーチャンスだった。バックストレッチを利用して早々に距離ロスなく押し上げる神騎乗。松山Jは青葉賞の感覚から後半のスタミナ戦にそれなりの自信があったと思うし、それに応えたハーツコンチェルトも素晴らしかった。それに対して、動かなかった・動けなかった馬群後方待機の馬はこの時点で勝負ありだった。
後半戦
いくら道中が超スローペースでも東京競馬場が舞台の日本ダービー。ゴールまで脚を余すような単なるスローからのヨーイドン決着とは違い、ラスト800mからのロングスパート戦となり、ラスト1Fは各馬それなりに脚が上がった。11.9-11.6-11.9-11.8。
前回の予想noteで各馬個別ラップ分析より推奨した、ロングスパート戦に強い馬=「11秒台を持続する力があり尚且つラスト1Fの減速率が少ない馬」がそのまま好走できた。*タスティエーラ1着、ハーツコンチェルト3着。
今年のダービーは例年と違って、高速馬場ながら超スローペースで流れた特殊なケースのダービーだった。
ソールオリエンスの今後の可能性
軽い馬場のロングスパート戦は苦手なのか、タフな馬場の方が得意なのは間違いなさそうだ。稍重、重の馬場状態で開催された皐月賞勝ち馬のダービー成績は以下の通りなのだが、ソール自身も一番ハマる適正は他にあって能力だけで今回好走してきたという見方もありそうだ。
ダービーは全て良馬場開催。ダービーを勝ち二冠目を制したのはコントレイルのみ。その他の馬はダービー惜敗後、下記のデータが示す通りスタミナやパワーが求められる舞台で好走する傾向にある。
さらにダービータイム差なしの2着馬は全頭が後にG1を制しているので、きっとソールオリエンスもどこか大きいところを獲ってくれるはずだ。
ソールオリエンスはこれでまだ4戦目。鞍上の武史Jも『完成はまだ先』と話すように伸び代は十分。同じキタサンブラック産駒のイクイノックスがそうであったように、夏を越えてさらに強くなったソールオリエンスに期待したい。
まとめ
今年のダービーは4頭が一斉に入線するまさに大接戦のダービーだった。タスティエーラは入線直後、隣のソールとハーツにすぐに交わされていた事から推測するに、綺麗に脚を使い切ったところがゴールだったと考えられる。それだけレーンJの配分が神がかっていた。裏を返せば、もう少し流れていたら飲み込まれた可能性もあるということ。もちろん流れたとしてもさらに粘りこむ可能性だって大いにある。いずれにせよ、上位馬の着順は大きく崩れることはないだろうが展開一つで結果が変わっていた可能性はあった。そういう意味では『ダービーは最も運のある馬が勝つ』という格言通りの結果だったのかもしれない。改めてレーンJの卓越した、前目先行で折り合いをつけゴールの瞬間に脚を使い切るその技術の高さに脱帽。それに応えたタスティエーラも天晴れであった。
2着のソールオリエンス&武史Jに関して。ダービーはこのコンビを応援していたし、今年は牡馬牝馬ともに三冠だと思っていたので敗戦直後はショックがあった。ただ、敗因が分からない不可解な負け方ではなく、予想noteで想定した通りの負け方だったのですんなり受け入れられた。武史Jはこれで2度目のダービー2着。それも両馬ともに圧倒的1倍台の有力馬での惜敗。本人からすれば悔しいなんて言葉で片付けられないだろう。しかし、かつての父もそうであったように敗戦を糧に、悔しさをバネに成長できるのがトップジョッキーの証。典弘Jは20代の頃メジロライアンで挑んだクラシックを『今の僕があるのはライアンがいたから。レースはそんなに甘いものではないと厳しさを教えてくれた。もし僕が簡単に三冠を獲ったりしていたら、そこで成長の止まったどうしようもない騎手で終わっていた。』と振り返っている。そして41歳でダービーを獲るまで実に騎手生活24年目、15回目のダービー挑戦での栄冠だった。諦めずに直向きに挑み続けた結果、ダービー2勝その他G1も複数勝利するような一流騎手にまで登りつめている。
横山武史、24歳。このダービーがさらに彼を大きくさせるだろう。
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