個別ラップから紐解く日本ダービー予想
ダービーは後半のロングスパート戦。先行馬はラスト1Fをいかに減速せずに粘れるかが鍵である。一方、差し・追い込みでこれまで実績を積んできた馬は今回はある程度位置を上げて追走する必要がある。その上で猛追できるかが鍵となる。
このnoteでは上位人気馬のこれまで出走した全レースを各馬個別ラップで分析し、その馬ごとに長所・短所を整理していければなと思う。最後にダービーの適性にあった馬を探り本命馬を結論付ける。
ソールオリエンス 出走全レース ラスト5F個別ラップ
新馬戦のラスト5Fの加速ラップは見事。特に最後まで減速せずに2F 11.06-10.69の末脚は評価できる。皐月賞は過去の名馬と比較しても最高のパフォーマンス。のちに見解を述べる。
スキルヴィング 出走全レース ラスト5F個別ラップ
先にマイナス要素から。この馬の場合はやはり青葉賞→ダービーのローテがネック。青葉賞の前にゆりかもめ賞を使ってるので既に2400mを2回。疲労が心配。
続いて強みだが、東京2400mのラスト5Fを全て11秒台で駆け抜ける事ができる持続力が武器。未勝利戦のラスト2F 10秒台持続ラップもプラス評価。ゆりかもめ賞以外の3走はラスト1Fまで見事な加速ラップを踏んでいる。それでいてどのレースもラスト1Fを極端にペースを落とすことなく走り切っており、ラスト1Fの減速率はダービー出走馬の中では相当上位。ゆりかもめ賞では徐々に減速してしまったラスト3Fも青葉賞では加速→持続できているので成長がみられる。
ファントムシーフ 出走全レース ラスト5F個別ラップ
皐月賞以外の4走はラスト4F目から綺麗な加速ラップを踏めている。最後の1Fまですべて加速できたレースは無いが極端に落ちることがないのは優秀。皐月賞で前受けしたタスティエーラに完敗しているのでそこの勝負付けは終わったのでは。
タスティエーラ 出走全レースのラスト5F個別ラップ
望み薄なのは間違いないが、皐月賞組だと唯一この馬がソールオリエンスに逆転できる可能性がある。1F10秒台で走った経験が無いので、トップスピード勝負だと分が悪い。皐月賞ではハイペースの展開を前受けしてラスト1Fもなんとか極端に落ちず踏ん張って走っていたので、今回もきちんと先行して後半セーフティーリードを作る展開に持ち込めれば怖い。調教では併せ馬からの早め抜け出し→1頭になってからも長い時間集中させて追う調教を積んでいて、陣営側もソールに逆転するにはこの立ち回りしかないという解釈は一致のようだ。レーンがロジャーバローズ出来るかどうか。
ここまで人気馬4頭の個別ラップを分析してみて
ラスト1Fまで加速ラップで走った経験がある馬はソールオリエンスのみ。他3頭は減速率こそ悪くない=ラスト1Fの数値を極端に落とすわけではないのだが、一強ムードなのは否めない。ラスト1Fを失速しない=それだけ余力があるといえるので、ここは重視していきたい。皐月賞をピックアップして分析していく。
皐月賞個別ラップ ラスト2F
タスティエーラもファントムシーフも当日の馬場状態、レース展開、自身の立ち回り、ラストの急坂を鑑みればこの減速率はかなり優秀。しかし目を引くのはほぼ持続ラップのソールオリエンス。いくら後方一気とはいえ馬場×消耗戦×ラスト急坂を物ともしないのは頭ひとつ抜けている。
なお、上がり3Fのタイムに着目すると以下の通り。
ソールオリエンスは上がり最速。上がり2位とのタイム差は0.9秒。上がり最速で皐月賞を制した馬において、上がり 2位に0.5秒以上差をつけた馬は以下4頭。
過去の名馬と比較しても圧巻のパフォーマンスだったことがわかる。無敗の二冠を決定づける実数値となった。以上、本命はソールオリエンスで。
ソールオリエンス 唯一の不安要素
彼の唯一の懸念材料とはなにか。それは高速決着への適性が未知数な部分。近年のダービーは高速決着が連続している。今年も2:22.5前後での決着が予想される。これまで差し・追い込みで結果を残してきた馬が時計勝負になったとき、道中のペースに対応できるか。ある程度追走しないと粘り込む先行勢を捉えることは難しくなる。
早い持ち時計があれば信頼度も高くなる。ひとつの指標として千八を1分46秒台で走り切れるかどうか。近5年のダービー好走馬における高速決着経験馬は以下の通り。条件は芝1800m 1:46.9以内(3F 34.9以内)
今年の該当馬はハーツコンチェルトのみ。東スポ杯 1:46.0(33.8)。ソールオリエンスはあまりに後ろに構えると取りこぼす可能性がある。
伏兵 ハーツコンチェルトのさらなるプラス要素
高速決着に対応できる馬として、今年の合格ラインにあげた唯一の馬がハーツコンチェルトとした。彼のもうひとつのプラス要素として、『血統』は大きな味方になりそうだ。高速決着かつ後半ロングスパートになりやすいダービーには明確な血統の傾向がある。それは母系に米ダートの血が入っている馬だ。
ハーツコンチェルトはまさに成功パターン。父ハーツクライ×母系米ダート血統はドウデュース、スワーヴリチャードと同配合。スワーヴリチャードはダービー3着にプラスしてダービーと同じ舞台のジャパンCを制している。
次はハーツコンチェルトの個別ラップ分析も確認してみよう。
ハーツコンチェルト 出走全レース ラスト5F個別ラップ
中京、東京、中山、阪神、距離、馬場と、何もかも条件が違うのに全レースでラスト4Fから 1Fまで綺麗に加速ラップを踏み、どんな条件だろうがラスト1F必ず11秒台半ばにまとめていた。距離も展開も違うだろうに、最後も諦めずに伸び続ける真面目な子。減速率はスキルヴィングと対等。今年の青葉賞組は皐月賞組より評価を上げたい。
まとめ
以上が人気上位馬に対する私個人の見解だ。ソールオリエンスは頭ひとつ抜けている上で、さらに舞台が左回りの広い東京に変わり皐月賞よりもパフォーマンスを上げてくるはずなので皐月賞組に逆転できる馬はいないと考える。青葉賞組はやはりローテと本番の流れるペースに対応できるかが鍵。ハーツコンチェルトはスキルヴィングと比較して1800mの時計決着を経験しているのがアドバンテージ。血統背景も後押ししてくれており、この馬は二番手対抗にしたい。あと評価したいのはタスティエーラで、先週のラヴェルのように自分の競馬に徹して結果がついてくるかどうか。ロジャーバローズできれば、2、3着に粘れそう。続いてスキルヴィングといった感じだろう。
今年はどんなドラマが待っているのだろうか。数時間後の答え合わせが待ち遠しい。
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