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依存症と向き合うために:「ダメ絶対」では解決しない現実

いつもお世話になっております。山本一真と申します!

日常生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに何かに「依存」していることがあります。それはお酒やタバコのように社会的に認識されているものから、ギャンブルやゲーム、さらには推し活、SNSなど多岐にわたります。最近出版された、京都府立大学の現役准教授と依存症治療の第一人者による共著は、この「依存症」というテーマに正面から向き合い、自らの経験を赤裸々に語ることで、大きな話題を呼んでいます。

依存症とは何か?

「依存症」という言葉には、どこか否定的な響きがあります。しかし、この本は依存症を単なる「悪習」として片付けるのではなく、依存症に至る過程やその背景にある心理状態を深く掘り下げています。重要なのは、「ダメ絶対」というスローガンだけでは、依存症に苦しむ人を救うことは難しいということです。

例えば、本書で取り上げられたのは、現役の研究者が抱えるお酒の問題や、医師がタバコから抜け出せない葛藤です。これらは決して意志の弱さだけで片付けられる問題ではありません。むしろ、それぞれの環境やストレス要因、あるいは孤独感が深く関わっていることが語られています。

依存症と趣味の境界線

依存症と趣味の違いはどこにあるのでしょうか?多くの場合、趣味は人生を豊かにするものですが、依存症は逆に生活を破壊することがあります。これを区別するためには、時間や金銭の管理ができているか、そしてその行為が自分や周囲に害を及ぼしていないかが重要な指標になります。

この本では、「趣味」と「依存症」の境目が曖昧になる瞬間について、具体的なエピソードを交えながら解説されています。例えば、飲酒を楽しむことが依存症に変わるのは、どのようなタイミングなのでしょうか。その背後には、孤独感やプレッシャー、あるいは「自分を癒やしたい」という切実な思いがあるのです。

「ダメ絶対」だけでは解決できない

「ダメ絶対」という言葉は、依存症になる前の予防策としては有効かもしれません。しかし、すでに依存症に陥っている人にとっては、この言葉は無力です。なぜなら、それはすでに苦しんでいる人たちに「ただやめればいい」という非現実的な期待を押し付けるものだからです。

依存症の治療には、専門的なサポートが必要です。自分一人の力で乗り越えるのは難しい場合がほとんどであり、周囲の理解や医療機関の助けが欠かせません。この本でも、依存症を乗り越えるためのプロセスが詳細に語られており、「依存症は恥ずかしいものではない」というメッセージが込められています。

依存症とどう向き合うべきか?

依存症について考える際に重要なのは、批判ではなく共感を持つことです。「なぜやめられないのか」という視点ではなく、「なぜそれに頼らざるを得なかったのか」を理解することが大切です。

例えば、お酒を飲みすぎる人には、過度のストレスや孤独感が背景にあるかもしれません。タバコをやめられない人には、喫煙が一時的な安らぎを提供している場合もあります。これらを理解した上で、少しずつ健康的な代替手段を見つけていくことが、依存症から抜け出す第一歩となるのです。


依存症は決して他人事ではなく、私たち全員に関係のあるテーマです。この本が提示する「依存症のリアル」は、今後の自分の生活を見直す良いきっかけになるかもしれません。依存症と向き合うことで、もっと自由に、もっと豊かな人生を目指すことができるのではないかと思います。

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