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想いが繋がっていくーウタサ祭り

釧路の空港から一時間、山道を進んでいった道のりでまずエゾ鹿の群れに出会った。そしてもう少しで到着かなと思ったとき、ふと道の脇を見ると雪の積もったところに大きなシマフクロウが黄色い目をギョロッとさせてこちらを見ていた。
いきなり、到着から素晴らしい感動と驚きを覚えながら、映像で何度か見たイコロシアターに到着。すると、昨年5月のオーチャード公演でお会いした日川キク子さんがちょうど一緒に入るところだった。ようやくこれた阿寒ですでに胸いっぱいになった。

昨年のオーチャードの公演の時に、アイヌの音楽と共演できないかといろいろ調べていた時に、初めて観た映像が偶然にも日川キク子さんの映像で、しかもこのウタサ祭りのスタッフが制作したものだった。その映像を観てとても感動して、色々と調べていくうちにカピウ&アパッポという二人組みのことや『アイヌモシリ』という映画を観て、アイヌの文化、歌や踊りにとても興味を持った。それぞれに興味を持って調べていたことが、この阿寒という場所に全てが繋がっていることが何か偶然ではない縁を感じずにはいられなかった。
5月の公演では渋谷でみなさんと出会うことができて、今回ようやくこの土地に来れたことが何より嬉しかった。

リハーサルや、合間に行われたカムイノミというお祈りの儀式やたいまつ行進などを通して、だんだんと東京から来ているアーティストたちとアイヌの方々の交わりが少しずつ形になっていく様子は、本当に素晴らしかった。今回初めてお会いした小林うてなさん、今年になって共演が実現したばかりの中村佳穂さん、長年の付き合いのハナレグミの永積タカシくん、Olaibiのあいちゃん、音響の内田さん、今回初めてお話しすることができたマヒトくん率いる愛すべきGEZANの皆さんとこの場にいることの偶然と必然がとても嬉しかった。
それぞれに想いを込めて繋がっていく、そしてそれが少しづつ一つのストーリーのように連なり、最後にはお客さんも含めた大団円の輪踊りになった時のことはこの先もずっと忘れないだろう。

カピウ&アパッポの富貴子さん、エミさん、お母さんのみどりさん、映画アイヌモシリでも素晴らしかったカントくんとタデクイのみんなやじんくん。素晴らしいムックリで予定外の共演をしてくれた山本栄子さんにかよさん。フッタレチュイを踊ってくれたみなさん。たいまつ行進で先頭をきって歩いてくれた州生さん。NY以来久しぶりに会えた佐久間ゆみちゃん。素晴らしいビジュアルを作ってくれたダイチロウさん。もちろん素晴らしい歌と伝統を伝えてくれる日川キク子さん。そして関わる全てのスタッフのみなさん。
本当にありがとうございました!

キク子さんや英子さんみどりさん、「フチ」と呼ばれるおばあさん達と一緒にリズムを奏でて踊っていると、僕がお世話になってきたNYのタップマスターの人たちのことを想う。Buster BrownやMable Lee, Jimmy SlydeやHrold Cromerの表情が同時に目に浮かんでくる。
想像をこえるような厳しさを経験してきたはずなのに、みんな寛容で自由で、あったかい。
きっとみんなもこの共演を嬉しく思ってくれているはず。
ずっとずっと昔から伝わってきたリズムや歌やメロディーを繋いできてくれた人たち。きっとその想いは『一つ』に繋がっている。
だから、輪踊りで一緒に踊っていると、全てを忘れて一つになれる。

WE ARE ALL "ONE."

僕も受け取ったことを大切に
精一杯自分も頑張って想いをのせて
自分なりのなにかをまた
つないでいけますように。

またあの全てが凍りつき、そしてあったかい阿寒で会いましょう。

PHOTO BY Taro Mizutani

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