LINE企画チームの一日合宿
LINEを企画しているチームの皆で日帰り合宿をしてきました。
他の人達にもLINEの企画職に興味を持ってほしいという期待と備忘録を兼ねて、公開できる情報だけですが、このnoteに記録を残しておきます。
ちなみに通常業務から意識を切り替えてもらうためにオフィスから離れたテラスハウス風の物件を借りました。
誰?
LINE株式会社でLINE企画担当の執行役員をしています。
私が室長を務めているLINE企画室には5つほど部署があって、そのうち3つのチームが企画職で構成されています。
これが今回の合宿に参加してもらったメンバーです。
(写真利用の許可とってないので顔にモザイクかけてますが怪しい人たちではありません)
担当範囲は基本的にiOS / Androidで提供されているLINEアプリおよびその周辺の企画で、トークや友だち関連といったLINEのコアな機能の企画から、Walletであったりスタンプショップの企画・運用なども含まれています。
まだ公に書けない今後公開予定の企画を担当している人もいます。
午前の部 〜自己紹介プレゼン〜
メンバーの皆には仕事で忙しいところ申し訳ないと思ったのですが、1人あたり5分目安で自己紹介のスライドを事前に準備してもらい、皆の前でプレゼンしてもらいました。
私が入社した2014年頃のLINEと言えば、全世界での登録ユーザー数が4億を突破し、5億超えも視野に入っていたフェーズだったのですが、当時のLINE企画チームには、新入社員の私と当時企画チームを率いていた稲垣(現・LINE株式会社上級執行役員)を含めてわずか6人しかいませんでした。
それから何年か経って、現在は上記3チームのメンバーを合わせて21人になりました。
年齢は22〜45歳まで幅広く、国籍もまちまちです。
この自己紹介プレゼンにはアイスブレイクとメンバー間の相互理解を深めたい意図もありましたが、何より普段多忙を言い訳にしてあまりデスクにもいない私自身が、もっと皆のことを知りたいと思って企画しました。
インフルエンサー、VTuber、ニコ動配信、ES細胞研究、パティシエ、テレビ局AD、戦車の射手、フィリピンでのサバイバル生活など、多彩な経歴とエピソードが披露されました。
(みんな思ったよりスライドに気合い入れてくるし、結構いろいろ知らなかった・・・。)
お昼休憩
会社の金を使い込んで叙々苑弁当4,200円を発注しました。
少々胃がもたれましたが美味しかったので後悔はしていない。
午後の部1 〜LINE企画ワークショップ〜
午後からはLINEの企画に関するグループワークをやってもらいました。
合宿はここからが本番です。
LINEの隠れた便利機能、あみだくじを使ってチーム分け。
お題はこれ↓です。
後ほど書きますが、出題の意図的には青字で書いてある”優先順位高いもの”の選出が本題です。
ただ、なるべくたくさんの候補の中から選んでほしかったのでチーム対抗で一番多くの提案を出したチームが優勝ということにしました。
案外みんな真面目にやってて当初想定していた時間を大幅にオーバー。
その後各チームごとに書き出した内容の紹介と、その中でも特に優先順位が高いと思うもの3つ、そしてなぜそれが重要と思うのか理由を発表してもらいました。
優勝は84個ものクレーm…じゃない、提案件数を叩き出したブラウンチーム↓でした。おめでとうございます。
このグループワークで取り組んでもらった内容はそのままこの後の講義の内容に繋がります。
午後の部2 〜社会と歴史の講義〜
私自身サービスローンチ当時に在籍していたわけではないのですが、LINEというサービスについての講義をしました。
以下は2018年の12月期決算説明資料からの抜粋です。
LINEのプロダクトKPIの頂上にあるのは、ありきたりですがアクティブユーザー数です。
サービス自体がアクティブに使われている指標になるのはもちろんのこと、ビジネス基盤的にも大きな意味を持ちますし、決算説明資料に載っていることからも分かるように会社の株価にまで影響します。
そして上のグラフを見ての通り、いま現在LINEが主に使われている4つの国家合計のMAUは2017年より減少しています。
2018年時点で約1億6400万ですね。
(公開していませんが他の国まで足すともっと多いです。)
しかし先程のグループワークで、優先順位の高いと思われる提案を選んでもらった時、重要度の指標としてアクティブユーザー数に言及したチームはほとんどありませんでした。
これはLINEのアクティブユーザー数をコントロールすることの根本的な難しさと歴史的経緯にも起因していて、今回の合宿で特に話したかったことの1つです。
1. 国による違い
MAUが減っていると書きましたが、先程のグラフを見れば明らかなように、日本・台湾・タイについては堅調にMAUが増え続けており、インドネシアでのユーザー減が響いています。
つまり同じサービスを提供していても伸びる国と減退する国があるのです。
日本国内に閉じたドメスティックなサービスを運営していると経験できないことですが、国ごとに異なるユーザー数増減の理由は様々であり、細かいことは書けませんが単純なローカリゼーションの問題とは限りません。
2. 歴史的な経緯
LINEはローンチ以降、スマートフォンの普及とともに爆発的に成長したサービスです。
細かいKPI分析をしなくても登録者数・アクティブユーザー数が右肩上がりに増えていったため、分析基盤を整えるよりも他にやるべきことがたくさんあった時代がありました。
膨大なログを収集・分析できる環境がしっかり整ったのは比較的最近で、それまではトップダウンであったり現場での迅速な意思決定、ユーザーインタビューをはじめとした数々のユーザーサーベイがサービスの成長を牽引してきました。
(今ではData Labsという機械学習やデータ分析を専門としたプロフェッショナル集団がいます。)
3. 要素が多すぎ問題
LINEの中にはとても多くの機能があります。
もはや単なるメッセンジャーサービスではなく、荷物の配達や公共サービスの利用、決済、宅配ピザの注文をするのにもLINEが使えます。
KPIツリーを細部までブレイクダウンしていくと星の数ほどの構成要素が存在し、それらの何がどれだけLINEのアクティブな利用につながっているのかを分析することは非常に困難なタスクと言えます。
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もうひとつ忘れてはならないのが事業KPIです。
今や生活インフラとなった大規模なコミュニケーションプラットフォームを改善・維持しながら無償で提供し続け、更に数々の戦略事業に投資して会社が成長していくためにはコア事業による売上収益を安定的に伸ばしていく必要があります。
以下も2018年の決算説明資料から抜粋しました。
見ての通り、今やLINEのコア事業として売上収益を牽引しているのは広告です。
少し細かく見ていくと、広告の中にも先日大規模なリニューアルが行われたばかりの公式アカウントを軸とするアカウント広告と、タイムラインやニュースに表示されているような所謂ディスプレイ広告があります。
「広告がウザい」
「公式アカウントのメッセージが多すぎる」
LINEを運営していく中でこういった声はよく目にしますし、自分自身1人のユーザーとして思うこともあります。
先程のグループワークの中でも
・公式アカウントのメッセージはもっと隅っこに追いやっても良いのでは?
・機能が多すぎるので自分が使わないものは隠せるようにして良いのでは?
というアイディアが実際に話し合われていました。
しかし事業的な観点で、そういった機能追加を安易に意思決定できないことは上の資料を見ても明らかです。
各自が担当している機能やサービスの細かなKPIは追っていても、それらのミクロなKPIがLINE全体のマクロなKPIにどう影響するのか。
ユーザーの立場を考えてサービスを改善しつつ、事業としても成長していくためにはどうアプローチしていけば良いのか。
私も含めて日々のタスクに忙殺されているとついつい目の前の指標ばかり追ってしまいがちですが、チーム全員で一度マクロな視点にも立ち返りたく、グループワークと講義を行いました。
講義の後には質問や、新たにこういったKPIをトラッキングするのはどうかといったような議論も見られました。
きっとこのチームならLINEというサービスを更にもう1ランク上まで高めていけると信じています。
午後の部3 〜期待値と評価の話〜
これは会社の人事評価制度とも関わる話なので細かく書けませんが、きたる人事考課に向けて、目標と期待値に関する細かい定義についてマネージャー陣が整理した内容を話しました。
以下のnoteにも書いたようにマネージャーは決して全知でも万能でもありませんが、チームメンバーと同じ方向を向いて良いチームを作り、皆で良いサービス作りに取り組んでいければいいなと思います。
おしまい
全てのプログラムを終了した後は皆でマリオカートやったり雑談したりして思い思いに過ごしました。
最後は打ち上げ!お疲れ様でした!
We're Hiring !
LINEの企画職は絶賛採用中です!
数年前と比較して人は増えてきましたが、まだまだ足りないのが実情です。
もし、このエントリーで少しでも興味を持っていただけたなら、ご応募お待ちしております。