完全母乳育児、乳幼児の生存率向上の鍵:SDGs戦略


6か月完全母乳育児の割合

1985年から1995年の10年間では、世界全体で6か月完全母乳育児の割合が年平均2.4%ずつ増加し、14%から38%に上昇しました。しかし、その後はほとんどの地域で割合が減少しました。ただし、1995年以降、25カ国は6か月完全母乳育児の割合を20ポイント以上増やしました。既に50%以上の割合で6か月完全母乳育児を実施している国もありますが、健康と経済的な利益を考えれば、さらなる改善が必要です。

6か月完全母乳育児の割合向上のための鍵:病院と保健施設での支援の重要性

6か月完全母乳育児の割合を50%以上に引き上げるためには、いくつかの重要な取り組みが提案されています。その中で最も効果的だとされるのは、「病院や保健施設での独占的な母乳育児を支援するための能力強化、そしてBaby-friendly Hospital Initiative(BFHI)を健康システムに再活性化、拡大、制度化する」ことです。なぜなら、病院や保健施設は、出産後の初期段階で母乳育児を支援する重要な場所であり、母親に対して正確な情報と支援を提供することで、母乳育児に自信を持たせることが期待されるからです。

Baby-friendly Hospital Initiative(BFHI)

BFHIは、WHOとUNICEFによって推奨される取り組みであり、国際的な母乳育児支援の基準が設けられています。このイニシアティブを健康システムに再活性化、拡大、制度化することで、病院や保健施設での母乳育児支援の質と量を向上させることができると考えられます。ただし、地域や文化に合わせた複数のアプローチが必要であることも忘れてはなりません。

国際企業による人工栄養製品のマーケティングの影響

国際的な企業による人工栄養製品のマーケティング活動も懸念材料とされていますが、国際的な規範やガイドライン(例:国際母乳代用品販売促進規範)が存在し、これによって人工栄養企業のマーケティング活動が規制される努力が行われています。これにより、健康情報の提供や適切な母乳育児の促進が支援されることが期待されています。

完全母乳育児の推進と支援に向けた協力と情報提供の必要性

完全母乳育児の重要性を広め、適切な支援を提供するためには、公的な機関、保健関係者、非営利団体、国際機関などが協力し、正確でバランスの取れた情報を提供し続けることが不可欠です。

まとめ

完全母乳育児は依然として課題が山積していますが、SDGsにおいて極めて重要な役割を果たすことが期待されています。6か月完全母乳育児の割合が目標に達していない現状を認識しつつも、乳幼児の健康、免疫力の向上、そして長期的な幸福において母乳育児の重要性を理解することは不可欠です。母乳育児を促進し、支援する取り組みは継続すべきであり、なぜ普及が進まないのかに対処しながら、母乳育児への取り組みを推し進めることで、グローバルな健康の向上、栄養、乳幼児の生存率、そして総合的な幸福に関連するSDGsの達成に貢献できると考えられます。


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