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「中期経営計画」と「いま、この会社に足りていないこと」

今年度から新しい中期経営計画がスタートし、
「カンパニー制」から「事業ユニット制」に組織再編が行われた。

得意先への対応を中心に考えた組織から、会社を事業で分けることで、それぞれの事業が更に成長できるような組織に変更された。
つまり、得意先のことを考えた組織から、自社の成長を考えた組織に変わったのだ。(と解釈すると、ちげーよって怒られちゃいそうだけど。)

この組織再編は、中期経営計画の一つの柱になっている。
僕らの会社は、更なる成長に、一段階ギアをあげて動き出したようだ。


「カンパニー制」から「事業ユニット制」に組織再編が行われた。
更なる成長を見込んだ、中期経営計画の一つの柱らしい。

いくつかの営業局は吸収合併が行われて、まとめられ、
担当クライアントごとに緩く分けられていたクリエイティブ局やマーケティング局は、その壁が取っ払われる形で一つにまとまり、あるセクションは、そのセクション自体がなくなり、散り散りになった。

現場にいる僕らからすると、働く景色が、大きく変わった。

かつては、なんとなく局で固まってオフィスに座っていた。
ただ今では、隣に座る人が、どこの誰かわからないことも多くなった。

その最たるセクションは、14階に押し込められたスタッフ職ではないだろうか。クリエイティブ局やマーケティング局の総勢900名近くが、14階のワンフロアに押し込まれている。

近くに座る人が、どこの誰だか、まったくわからない。
ただ、すし詰めな状態かというと、決してそういうわけではなく。
一部のメンバーでは、テレワークが多かったりプロダクションで仕事することもあってか、フロアはどこか閑散としていたりもする。そして、その閑散さが、また僕らの出社への意思を挫いている。

僕らの会社は、更なる成長に、一段階ギアをあげて動き出したようだ。
ただ、会社に行ってもあまり人がいない。人がいても、どこの誰だかわからないようになってしまった。

僕らの現場は、そうなってしまったのだ。


「中期経営計画」「組織再編」
まごうことなく、会社は成長するために動いてる。
でも、果たして僕らはどうか。

無論、成長はしたい。成長はしたいけど、少なくとも僕は「成長のため」に、仕事をしていない。

どちらかというと僕は、「みんなと楽しく仲良く仕事をしたい」から、頑張ってる。頑張れている。
そして、ある程度の能力があると「楽しく仲良く仕事できがち」ではあると経験則から知っている。だから、そういう意味で「成長はしたい」のだ。

なので、目の前にいる人が誰だか分からなくなってしまったこの状況は正直、かなり、残念な気がしている。

更に、もう少し一般論で話しをしてみる。

「人」が価値を出す。
いや、それ以上に人と人との「関係性」が価値を出す。
という労働集約型の権化のような産業である広告の仕事にとって、目の前の人が、誰だから分からなくなっているこの状況は、高いバリューを出し続けるという点においても、正直、かなり、危険な気がしている。

目の前の人が、誰だか分からなくなっているこの状況は、僕個人にとっても、この会社にとっても、残念で、危険な気がしている。

でも、安心してほしい。僕は、この状況を突破する解決策の仮説がある。

ぜひ聞いてほしい。
そしてこれが、冒頭の「いま、この会社に足りていないこと。」の答えでもある。


それは「挨拶」することだ。
いま、この会社に足りていないことは「挨拶」だと心の底から思う。

朝、オフィスに来たらまず「挨拶」をしてみませんか。

これが、僕からの全力の、ご提案です。
知らない人が、見たことのない人が、隣に座っていても。

その人が、イヤホンをつけて、聞こえないかもしれなくても。
自分の挨拶に対する反応が返ってこないかもしれなくても。

とりあえず「おはようございます」って、言ってみませんか。

例えば、まずは誰にいうわけでもなく、オフィスの空間に言うことからはじめてみるのはどうだろう。食事を前にしたときに、手を合わせるように、鳥居をくぐるときに、そっと頭をさげるように、会社についたら、まず「おはようございます」って言ってみる。

「私は、今日、ここで仕事をします」

という宣言をするように、オフィスに挨拶を放ってみる。そしてそのオフィスに放たれた挨拶が、空間に少しずつ蓄積され、コップの水がやがて溢れるように、他者との関係が育まれるはずだ。


中期経営計画と同じタイミングで発表された経営陣からのメッセージの中で、象徴的に語られたキーワードは「育て合い」だった。

その「育て合い」をより円滑にするためにも、まず「知り合う」ことで、その土壌を耕す必要があると思う。

いま、この会社に足りていないことは「挨拶」だとマジで思う。
明日から、お願いしますね。みなさん。

(この話はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません)


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