眠るに越したことはない
また今日も、夜の底が白くなった。
トンネルを抜けなくても。
そこが雪国じゃなくても。
夜の底は白くなる。朝が来たからだ。
川端康成もきっと言うだろう。
当たり前のこと言うなよって。
また今日も眠れなくて、
明け方まで起きてしまった。
今から寝ても、起きる時間まで
あんまり時間がないから。
きっと眠たくて、起きたくない。
なんでなんだろう。
夜は眠りたくない、起きてたいと思うのに。
朝は起きたくない、寝ていたいと思うのは。
昔に観た演劇のセリフで、
今も覚えているものがある。
夜に眠るのが死ぬことの練習なら、
朝に起きるのは生きることの本番。
すごくいい言葉だと思う。それでいうと僕が
夜に眠りたくないし、朝に起きたくないのは。
死ぬ練習も、生きる本番も、
したくないってことなんだろうなぁ。
生きる練習だけ、ずっとしていたいよ。
いつの日か、死ぬ本番が来るまでは。
……やっぱり起きてても、
考えることに内容がないから。
明け方は、眠るに越したことはない。