誹謗中傷に思うところ

正義感の怖さ

Twitterのトレンドで100万件以上リツイートされた「誹謗中傷」という言葉。
これを見て真っ先に思ったのは、「誹謗中傷を書いてた人を今度はみんなでリンチするんだろうな」ということ。

軽くトレンドを追ってみると、案の定 ”加害者を叩く加害者” が大量に発生していた。
あらためて正義感の怖さを思い知った出来事だった。

そして加害者と同時に大量に発生してたのが、芸能人やインフルエンサーの「私たちも人間だよ。誹謗中傷はやめてよ」という被害者としての悲痛な訴え。
それらの投稿には大量の「いいね」がつき、より加害者探しに火を着けていたように感じた。
有名人がこのような訴えを呟くのは心情としてはとてもよく分かるのだが、そのことでさらなる大炎が起こることもある。


だから、この大きなムーブメントにどこか気持ち悪さを感じてしまった。
「私たちもやられたんだから、お前たちもやられろ」的な。

本人たちはそんなこと思ってないだろうけど、実際 ”犯人探し” を助長してしまってるのも事実だ。 
なぜならそこには正義っぽさがあるから。
(もちろん誹謗中傷を書いてしまった人は、絶対的に反省すべきではある。でもその人を叩いてしまっては本末転倒というやつだ。)

その中でも感情的でなく、適度な塩梅で呟いていたのが元AKBの指原のツイートで、以下の通りである。

多分今回のことって、「私もこんなにつらい目にあってます」「私も被害者なんです」ということを訴えるより、「みんなで今回のことについて話あっていきましょう」ってことなんじゃないかと思う。

ユートピアはどこにあるか

ちなみにここ2〜3年の流れとしては、クローズなコミュニティに流れている傾向がある。
有名人がオンラインサロンやファンクラブを運営しているのは、その典型だろう。
これからもこの流れは加速していくように思われる。

また2020年5月から、Twitterでは投稿に対するリプライの可否を選べるテストも行われている。
そしてTwitterは、名誉毀損的な投稿に対する情報請求にも積極的に応じているので、損害賠償請求が今後増えていくのではないかと思う。
ただこれらの方法は、どこか時代遅れな感じがするし、あまりスマートな方法ではない気がする。

そもそも誹謗中傷ができないように、もしくはしようとも思わないような仕組み作りが重要だ。

例えば、誹謗中傷そうなワードというのは書いた時点でシステムが判定するのは可能であろう。(報告のあったツイートを機械学習させるなど)
システムが誹謗中傷を含むと判断したら、「あなたの投稿には他者に対する誹謗中傷が含まれています。本当に投稿しますか?」という一文を表示させるだけで、かなり誹謗中傷は減ると思う。

ちなみにこんな議論は今まで5年以上は行われているが、いまだになくなっていないし、減る傾向もない。
海外に目を向けてみると、韓国ではSNSでの誹謗中傷を受けて自殺してしまった有名人が何人もいるし、ヨーロッパやその他の地域でも、今回と同じ出来事はたくさん起こっている。

個人的に一番気になったのは『ゲームオブスローンズ』という人気海外ドラマに出ていた、ジャック・グリーソン(ジョフリー・バラシオン役)という役者がSNSでの中傷により、俳優業を辞めてしまっている事実だ。

ジャック・グリーソンは作中で、とても嫌な奴を演じており、見ている私もすごく腸が煮えくり返ったのを覚えている。
私と同じ感情を持った人は多かったようで、SNSには彼への誹謗中傷が後を絶たなかったらしい。(世界にもドラマと現実を分けれない頭の弱い人が多いようだ)

テラスハウスを全くみてないから分からないが、このジャック・グリーソンに起きたことと、木村花さんに起きたことは多分大差ない。
たぶんこれからも、同じような悲しい出来事は起こるだろう。

とりあえず自分の意見としては、誹謗中傷を憎んで、人は憎まずというアクション仮面のような精神でいたいと思った次第である。

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