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【2024このミス大賞】白川尚史『ファラオの密室』の第四章「砂漠の密室」とエピローグを完全要約(※ネタバレあり)【ファラオの密室 PART3】

▼YouTubeでも公開中


◆ファラオの密室 PART3


◇紹介書籍

こんばんは!Kazukiです!
それでは本日もさっそく投稿の内容に入っていきましょう!
今週紹介していく書籍はコチラになります!

2024年1月23日に宝島社さんから発行されました、
白川尚史(しらかわ・なおふみ)先生の『ファラオの密室』になります!
今宵、世にも奇妙な物語の全ての謎が解き明かされる、、、かもしれません!

◇紹介書籍概要

また今回の紹介書籍の概要につきましては、
いつもと同じように下記に詳細を載せておきますので、
もし紹介書籍の概要が気になった方がいましたら、
そちらの方たちはぜひ下記をご覧いただければと思います!

タイトル 『ファラオの密室』
筆者 白川尚史(しらかわ・なおふみ)
価格 1,650円税込
発行日 2024年1月23日 第1刷発行
発行人 蓮見清一
発行所 株式会社宝島社
組版 株式会社明昌堂
印刷・製本 中央精版印刷株式会社

『ファラオの密室』奥付および裏表紙から引用

◇紹介書籍選出理由

そして、今週の投稿に、
本作『ファラオの密室』を選んだ理由になりますが、
そちらにつきましてはパート1の投稿で簡単にですが解説しておりますので、
もし詳しく知りたいという方がいましたらぜひパート1の投稿をご覧ください。

◇投稿内容とその目的

そして、今週の投稿の内容につきましては、


前々回のパート1で、本作『ファラオの密室』の、
プロローグと第一章「死者への試練」の内容を完全要約していきまして、

また、前回のパート2で、
第二章「石を運ぶ奴隷の少女」と第三章「迫る狂信者の影」の内容を、
完全要約していきまして、

そして、今回のパート3で、
第四章「砂漠の密室」とエピローグの内容を完全要約していきます!


なので、
今週のこの【ファラオの密室】のシリーズの投稿を、
パート1からパート3まで全部ご覧いただいた暁には、、、


第22回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞した、
紀元前1300年代の古代エジプトが舞台の、
主人公は死後の世界から甦ったミイラで、かつ、扱うのは密室ミステリーという、
近年稀に見る超ユニークな設定のミステリー小説を堪能できる!


という、そんなシリーズの投稿になっていれば幸いだと思っております!

なお、これはあらかじめお伝えしておきますが、、、

このシリーズは、
本作『ファラオの密室』の完全要約を目的としていることから、

ネタバレを完全に含んでおりますので、、、

もし、ネタバレダメ絶対!という方は、
ソッとこの投稿を閉じていただきまして、

一方で、本作を私のKazuki調で楽しみたい!という方は、
この投稿をご堪能いただければと思っております!

ぜひ一緒に、
第22回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞された、
古代エジプトが舞台でミイラが主人公の密室ミステリーを堪能する読書の旅へ、
出かけていきましょう!

◇第四章「砂漠の密室」

それではさっそく今回の投稿の内容である、
本作『ファラオの密室』の第四章「砂漠の密室」の要約に、
入っていこうと思いますが、

第四章「砂漠の密室」のその冒頭といいますのは、
パート2で要約した第二章と第三章から一夜明けた葬送の儀の翌日に、
カリが自身の仕事である橇に乗った石を運んでいる描写から始まりまして、

この日もパート2でカリがタレクに伝えた時と同様に、

いつもと同じ道筋で、また、いつもと同じような速度で、

砂漠の上をただひたすら王墓の建設現場まで石を運んでいました。

しかし、この日の運搬の配置には、
いつもと違う点が一つだけありまして、

それは、、、

班長のパヌトムが、
橇の周りをぐるぐる回って奴隷たちを叱責して、
鞭を振り回すのではなく、

橇の一番先頭に立って、橇を先導していたんです。

いつもは水撒き係である、
副班長のペルヌウが先頭でしたからね。

そうして、カリの班の橇は、
目的地である王墓の建設現場へ到着するのですが、
その時の空に浮かぶ太陽は、

まだ天頂に差しかかる前でして、、、

それはつまり、、、

この日はいつもより明らかに早い到着だということを意味していました。

班長のパヌトムとしては、
昨日、ムトエフに呼び出された際に、
班員のカリとミイラ職人のタレクから、

「班の先頭に立って、橇を先導するように」

と言われており、
警察隊長のムトエフがいる手前、
仕方なくその通りにしていたのですが、

なぜこんなにも早く建設現場に到着しているのかは、
パヌトム自身、訳もわからず、班員のカリからは、

「暴言を吐かなくても、鞭を振るわなくても早く辿り着けただろ」

とでも言われているような気がしてしまい、

それはもう怒髪天をつく勢いでした。

そして、
このパヌトムの様子を把握した皆さんは、
もしかしたら気づいたかもしれませんが、

自身が橇の先頭に立っていただけで、
目的地の建設現場に大分早く到着してしまったが、
その理由を全く把握していない、

ということは、、、

それはつまり、、、

パヌトムは、
王墓崩落事故の主要因である砂岩の積み込みに、
関与していないということを意味してたのです。

なので、あれば、
砂岩の積み込みに関与していたのは一体誰なのか、
謎はさらに深まるばかりでしたが、

先の怒髪天をつく勢いに陥ったパヌトムが、
カリに対して掴み掛かるすんでのところでタレクがやってきて、
満を持したカリは、タレクが側で見守る中、

いよいよ、この橇の到着を遅らせた謎の種明かしをしていきます。

そして、そのヒントは、やはりというべきか、
前回のパート2の最後にタレクの脳内で閃きが走る直前の、

「コブラがニョロニョロと去っていった」

という描写になるんですが、、、

カリは、パヌトムの班の橇が、
ほぼ毎日一番早く船着場について、
同じ道を通っているのにも関わらず、
最後尾で建設現場に到着してしまう、

この時間のロスについて、

ズバリ、、、

直線をまっすぐ進むのではなく、
蛇のようにクネクネと進んでいたのだ、

と説明します。

、、、なんか結構単純ですよね。
自分も最初読んだ時はそう思いまして、

「そんなクネクネ進んでいたら班員自身か、もしくは他の班が気付くんじゃね?」

と思ったんですが、

これ実はそうでもないらしく、、、

というのも、
橇を運搬している奴隷たちは、
別に目的地を念頭に置いて進んでいるのではなく、

橇が砂漠の砂に沈み込まないように、
水撒きの係が撒いた水で湿っている砂地を進むように訓練されており、

また、進んでいるのが砂漠地帯ということもあり、
他の班員たちがパヌトムの班の後を通った時には、

地面に巻かれた水は蒸発して、
さらに、砂地は風に吹かれているので、

パヌトムの班がどのように進んでいるのかは、
他の班は知る由もなかったんです。

そして、ここまで橇が遅れた謎を説明してくると、
ある一人の人物が犯人で間違いないことが次第に判明します。

その人物とは、、、

パヌトムの班の副班長であった水撒き担当のペルヌウでした。

そうして、悪事を明らかにされたペルヌウは、
最初こそ顔面を蒼白にして、口をワナワナとさせていましたが、
次第に落ち着きを取り戻していきまして、
カリやタレク、パヌトムを悠然と見据えて、こう言い放ちます。

「すべてはアテン様が支配するのですから。裁かれるのは、あなたたちのほうです」

『ファラオの密室』p220から引用

すると、
この一部始終の周囲を野次馬のように取り囲んでいた市民たちが、
一斉に武器を取り出してきて、鬨の声を上げ始めていき、

カリとタレクはペルヌウの悪事を暴いたのも束の間に、
昨日のファラオの勅命のせいで、神官団に与する異分子として、

逆にエジプト市民たちから追われる身となってしまいます。

▶︎其の二

しかし、
その場はなんとか、タレクの機転により、
切り抜けることができまして、
エジプト市民から追われることになってしまったカリとタレクは、

タレクの案内により、
ペルヌウらのアテン神信仰者は寄り付かないであろう、

旧信仰の中心神、
「オシリス神」を祀る地下神殿へと逃げ込みます。

個人的に「オシリス」と聞くと、
あの遊戯王の「オシリスの天空龍」が、
頭をよぎるんですけど、

この本作で登場する「オシリス神」というのは、
古代エジプトの信仰において、

とても重要な神様になりまして、

前々回のパート1の投稿の中で、
セティがその死後に、楽園に行くか、追放されるかを決める、
「死者の審判」を冥界で受けていたのは記憶に新しいかと思いますが、

実は、
その「冥界」を統べる神というのが、
この「オシリス神」になるんです。

ですが、
そのオシリス神が冥界を統べる神となった所以は、
かなり衝撃的な内容でして、

そのオシリス神を祀る神殿に逃げ込んだタレクは、
エジプト市民の信仰心をあまりよくわかっていないカリに対して、
次のようにオシリス神が冥界の神である所以を説いていきます。

オシリスは生前、現世の王(ファラオ)だったんだ。でも、その地位と人望を羨んだ弟セトに殺されてしまった。死体をバラバラにされ、ナイル川に投げ込まれたところを、妻のイシスが拾ってまわったんだ。だからオシリスは、死と再生を司る神であり、冥界を統べる者だといわれている

『ファラオの密室』p226から引用

なかなかに壮絶ですよね。
弟に殺されて、バラバラにされて、川に流されるのも凄いですが、

それを妻のイシスが拾ってくるという、、、

どういう精神状態なんでしょうね。

さらにタレクは、
そのバラバラにされたオシリス神の死体をミイラにして復活させたのが、
タレクらミイラ職人が祀っている「アヌビス神」であることも、
カリに説いていきますが、

正直、カリの信仰心は現代の私たちの持つそれと近い感覚だったので、
ポカーンとそのタレクの力説を聞いている様子でした。

するとその時、、、

突然その神殿に、
あるひとりの闖入者がやって来まして、

その人物とは、、、

メリラアの護衛を務めていたアハブでした。

そのアハブの姿を捉えたカリとタレクは、
状況が状況なので最初こそ警戒していましたが、

そのアハブの様子は、
カリとタレクを捉えようとするエジプト市民とは違い、
弓矢を構え、神殿内を警戒するように見渡して入ってきたことから、
カリとタレクは恐らくアハブも、

エジプト市民の追手から逃げてきたのだろうと察します。

なんと言っても、
あの神官長メリラアの護衛ですからね。
エジプト市民から標的にされていてもおかしくはありません。

そして、一方のアハブも、
カリはともかく、顔見知りのタレクの姿を確認できたことでホッとしたのか、
三人はひとまずこのオシリス神を祀る神殿で束の間の休息を得ます。

さらに、その休息の際に、
タレクとカリはアハブから現在のエジプトの状況を、
簡潔に説明してもらいつつも、
その話題はタレクが助けようとしているセティの話になり、

実は、
先王アクエンアテンがメリラアから受けるはずだった復活の儀を、
セティも施されていることをアハブはメリラアから聞いていたので、
トゥトアンクアテン王の狂行を止めるためには、

やはり、冥界の生き証人である、
復活したセティの存在が必要不可欠、

との結論がタレクとアハブの間でハッキリすると、
アハブはその理由をなぜか明らかにはしませんでしたが、

「セティは恐らくアクエンアテンの王墓に来るのではないか?」

という自身の考えをタレクとカリに聞かせます。

セティの命を奪うキッカケとなった王墓崩落事故を起こし、
此度の神官団の虐殺のキッカケとなった葬送の儀の失敗も引き起こした、

あの先王アクエンアテンの王墓です。

タレクはアハブのその考えに、
なにか目に見えない因果が働いている恐ろしさを感じつつも、
三人はオシリス神の地下神殿を後にして、

先王アクエンアテンが本来葬られるはずだった王墓へと、
その目的地を定めていきます。

▶︎其の三

一方その頃、
第三章「迫る狂信者の影」で、
街はずれの神殿跡地へと逃げたセティとアシェリは、
どうなっていたのかというと、

なんと、アシェリは殺されてしまい、
また、セティは街はずれの兵舎の牢屋に囚われてしまっていました。

というのも、
セティがアシェリを引き連れて逃げた街はずれの神殿跡地には、
すでに神官の死体の山が出来上がっており、

さらに、その周辺には、
それらの死体の山を作ったであろう悪賊らしき姿もあり、
アシェリはその悪賊に捕えられたのちに殺されてしまい、
セティは間一髪で逃げ仰るも、

その逃げた先には、、、

神官団の捕縛を命じた、
トゥトアンクアテン王直属の衛兵が待ち構えていたんです。

そうして、最初に述べたとおり、、、

セティは囚われの身になってしまっていた、

というわけだったのです。

こうして、セティは、
現世に留まれる期日である三日間の最終日を、
あろうことか牢屋の中で迎えてしまったことに、
絶望していましたが、

そんなセティの元に、
セティに大変ゆかりのある人物がやってきまして、

その人物とは、、、

セティの父親であるイセシでした。

というのも、イセシの職務というのは、
実は「宰相府の書記官」というかなりの高官でして、

そのため、兵舎の牢屋に視察にくることは、
問題なく行えるような立場の人間だったのです。

さらに、牢屋に囚われたセティを見付けたイセシは、
弱気になってしまっているセティに喝を入れるばかりではなく、
セティの囚われている牢の鍵を解き、

終いには、、、

自身がセティの心臓の欠片を盗み出した張本人であることを明かし、

その心臓の欠片が今は、

なんとアクエンアテンの王墓の玄室にあることを知らされます。

正しく、青天の霹靂とはこのことです。

そんなことを聞かされたセティとしては、
父イセシに聞きたいことが山ほどありましたが、

それを遮るようにしてイセシは、
セティの心臓にまつわる最大の謎である、

なぜセティの心臓の欠片を盗んだのか?

という疑問について、こう口にしていきます。

「メリラア殿の助言だ」イセシは言った。
「そうすれば、セティが現世に戻ってくるだろうと、そうおっしゃった。また、そのことはお前には伏せておくように、と。事実、そのとおりになったが……」

『ファラオの密室』p248から引用

なんと、ここでもあの神官長のメリラアが出てくるんです。

これで、

セティの暗殺依頼を受けたジェドも、
その依頼主をメリラアだと明かし、

また、

セティの心臓の欠片を盗んだイセシも、
その奇行の発信源がメリラアだと明かしまして、

セティとしては、
ますますメリラアにそれらの行為の理由を、
問いただしたい気持ちに駆られましたが、

残念ながらこの時もうすでにメリラアは、
葬送の儀失敗という大罪で処刑されてしまっていたので、
そのセティの願いが実を結ぶことは絶対にあり得ません。

しかし、セティは、
父イセシの協力のお蔭で、
兵舎の牢屋から逃げ出すことができまして、

さらには、
自分が探し求めていた心臓の欠片は、
アクエンアテンの王墓にあることも判明したので、

セティは、
多くを語らない父イセシに感謝をしつつ、
カリやタレク、アハブらも同じく向かいつつある、

全ての始まりの地であるアクエンアテンの王墓へ、
この世にも奇妙な物語を終わらせるべく向かいます。

▶︎其の四

『ファラオの密室』p3から引用

その後、
なんとかアクエンアテンの王墓に辿り着いたセティは、
その王墓の入り口付近で暗闇の中を松明で照らす、
タレクら三人と合流することもできまして、

ついにセティは、
自身が現世に戻るキッカケである心臓の欠片を、
ようやく回収することができるのだ、
というように甦ってからの苦労を噛み締めたのも、

束の間に、、、

王墓の入り口から侵入したセティら一行の真ん中を歩いていたアハブが、

何を血迷ったのか、
王墓の入り口を土砂で埋めるための仕掛けである、
「封緘綱(ふうかんこう)」を作動させてしまいます。

先頭を歩いていたセティとカリは、
突然のアハブの狂行に驚きつつも、
急いで王墓の入り口へと引き返しますが、

その行手を阻むようにアハブが立ち塞がります。

そして、アハブは、
口の端を吊り上げて下卑た笑みを浮かべるのと同時に、
セティにこう告げていきます。

「神々の生き証人であるお前を、王に会わせるわけにはいかぬ。一度は王墓の崩落で計画が潰え、危ないところだったが、私たちのーーアテンの勝利だ」

『ファラオの密室』p256から引用

そうなんです、
なんと数少ない味方に思えていたアハブでさえ、
セティらの敵であるアテン神の信仰者であったのです。

先の地下神殿の時に、
アハブがタレクに理由を告げなかったのは、
このためだったんですね。

そうして、そう告げたアハブは、
そのまま王墓の入り口を封じる土砂に生き埋めにされてしまいますが、
その最中の表情はどこか恍惚としており、

セティはアハブに完全にしてやられてしまいます。

セティが現世に留まれる期限の三日間は、
先の牢屋のところでも述べたとおり、
もうすでに1日を切っていて、

そのタイムリミットまでに、
セティが元々入っていた棺に戻っていなければ、
そのセティの魂は冥界へ行けず、

未来永劫の苦しみを味わうことになります。

そして、その棺に戻ることのできる機会は、
今しがたのアハブの狂行によって完全に絶たれてしまったので、

そのセティの絶望というのは、
先ほどの牢屋でのものとは比べ物にならないほど、
凄まじい激情でした。

しかし一方で、
セティと一緒に閉じ込められたカリは、
ある意味で完全にとばっちりを受けたようなものでしたが、

タレクへの恩義を果たすことに専念していたので、
そのタレクの親友であるセティを見過ごすことはせず、

カリは絶望に暮れているセティに寄り添うようにして、

ひとまずセティの心臓の欠片が隠されているはずの、
王墓の玄室へと一緒に向かいます。

すると、父イセシの言うとおり、
確かにその玄室に収められていた副葬品の宝箱の一つに、
セティの心臓の欠片が隠されているのをセティは見つけます。

けれど、
やはりその心臓の欠片を目にしたときに、
セティの心にわだかまっていたのは、

やはりこの疑問。

ーーメリラア様は、いったい、なにがしたかったのだ?

『ファラオの密室』p260から引用

それもそのはず、
セティの暗殺をジェドに依頼したかと思えば、
セティの復活をイセシに唆して、

そして、終いには、
メリラアが先王アクエンアテンの葬式で執り行おうとしていたのは、
葬送の儀なんかではなく、

まさかの先王アクエンアテンの魂を、
この世に呼び戻すための復活の儀だった、

という、、、

確かに、
セティのおっしゃるとおり、
一読者の私からしても、
ここまでの内容だけでは、

「一体、メリラアは何がしたかったんだ?」

というような感想しか抱けませんし、
恐らくこの投稿をご覧いただいている皆さんも、
同じ想いかと思います。

しかし、セティは、
その問いをいくら考えても、
答えが出てくる気配はなく、

また、カリの、
「今できることをやりましょう」という発言から、
ひとまずセティはメリラアの思惑について考えるのをやめて、

目下、エジプトを危機に陥れており、
また、メリラアの葬送の儀が失敗した主要因である、
先王アクエンアテンの遺体消失密室事件について、
ここでようやくその謎解きを始めていきます。

ちなみにですが、
ここまでのパート1とパート2とパート3の投稿の内容で、

実はその先王アクエンアテンの遺体消失密室事件の、
謎を解くためのヒントは全て出揃っているので、

自力で謎を解いてみたいという方はぜひご健闘ください。

それでは、ようやく、
本作『ファラオの密室』の核となるミステリー、

「先王アクエンアテンの遺体消失密室事件」

について、その謎解きを進めていきますが、
セティとカリがまず着目したのは、

王墓の玄室から外へと続く空気穴でして、

本来この穴は、
玄室内と外の空気を換気するための穴なのですが、

セティは昨日メリラアがムトエフから尋問を受けている際に、
メリラアとアハブは交代交代で王墓を監視していたことを把握していたため、
その状況下でアクエンアテンの遺体を外に運び込むには、

どう考えてもこの空気穴を使ったとしかセティには考えられませんでした。

しかし、その直径は、
カリの小さな頭が入るだけで、肩から下はどう頑張っても入らず、

だとするならば、、、

カリより大きいアクエンアテンの体は通る筈もありません。

なので、
その覆しようのない事実に、
頭を悩ませるセティでしたが、

そんな時にカリが、
ふと先の地下神殿でのアハブの言葉を思い出しまして、

メリラアが葬送の儀の代わりに執り行おうとしていた、
「復活の儀」について考え込んでいた末に、
こんなことをひとりごちに言い放ちました。

「やっぱり大事なのは、メリラアさんやタレクが王様を復活させようとしたら、どんなことをするか、だと思うんです」

『ファラオの密室』p279から引用

その時、カリの言葉をとっかかりに、
セティの脳内である発想がみるみると形を成していき、
セティは一言一句を噛み締めるように、

「先王アクエンアテンの遺体消失密室事件」のカラクリを次のように見破ります。

「……タレクはミイラを作る途中で、アクエンアテン王にオシリス神と同じことをした。つまり、先玉の遺体を一度バラバラにしたんだ。そして、アヌビス神と同じく、それを元の形に戻し、包帯を巻いた」

『ファラオの密室』p280から引用

なので、遺体は丸々人間の形のまま外に運び出された、

のではなくて、、、

遺体を一度バラバラにして空気穴から外に運び出された、

ということだったのです。

そして、その犯人こそ、、、

メリラアと共に葬送の儀の当日まで王墓の警備をしており、
復活の儀のための秘術の内容を知っていた、

元メリラアの護衛のアハブなのではないか、

と、セティは結論づけます。

しかし、そう犯人を結論づけたのはいいものの問題は、

「そのバラバラの遺体をどうやって外に運び出すのか?」

ということでして、
セティの推理を聞いていたカリは、
そのことについてセティに問いかけます。

すると、セティは、
もちろんその問いの答えももうわかっていると言わんばかりに、
バラバラの遺体を外に運び出した方法を図を書いて明らかにしまして、

それがコチラです。

『ファラオの密室』p283から引用

なんとアハブは自身の持っていた弓矢の矢を、
空気穴の排出口に噛ませて滑車代わりにして、
そこに遺体を結んだ紐を括り付けたもう一本の矢を通して、
バラバラ遺体を外に運び込んだのではないか?

という、結構力技な方法だったんですね。

その方法を聞いたカリは、
そんな方法、上手くいくのか半信半疑のご様子でしたが、

アハブは弓の名手であり、
さらに、メリラアと二人で割り当てた監視の時間は、
おのおのそれ相応にあると考えると、

確かに、できなくはない方法だったのです。

さらに、その時間帯が深夜ともなれば、
ピラミッドの外に先王の遺体が転がっていることなんて誰も気付かず、

外に運び出された遺体は、
他のアテン神信仰者の手によって、
王墓から離れたアテンの大神殿で再び組み立てられ、

その結果、、、

「先王アクエンアテンの遺体消失密室事件」は完成されたのです。

▶︎其の五

こうして、
この王墓の玄室内で起こった本作最大の謎を、
解き明かすことに成功したセティでしたが、

そのセティの魂はもうすでに、
現世に留まれる時間の限界が来ておりまして、、、

セティはカリが側で見守る中、
ゆっくりと息を引き取ろうかという様子でした。

そうして、そんなセティの意識が朦朧とする中、
カリはセティに何かできることはないかと話し続けますが、
対するセティは諦観とした表情で、焦るカリを宥め続けます。

しかし、それでも諦めきれない様子のカリは、
タレクと地下神殿に逃げ込んだ際にアハブが口にしていた、

「メリラアがセティにも復活の儀を施した」

という事実をダメ元でセティに告げていきます。

その瞬間、、、

反射的にセティは、
メリラアのセティに対する行動の全てを理解しまして、

それは、ズバリ、、、

セティはアクエンアテン王復活のための実験台だったということです。

そう考えると全ての辻褄が合ってしまいます。

そして、セティにも復活の秘術を施しているということは、

それはつまり、、、

セティの体もバラバラにできるということを意味していました。

その事実が判明したカリは、
すぐさま副葬品として備えてあった弓矢とロープを使い、
アハブがアクエンアテンの遺体を王墓の外に運んだのと、
同じような手段を取りましたが、

その時すでにセティの意識は、、、

カリには見えない一羽の鳥となって、
エジプト全土を上空から見下ろしていました。

◇エピローグ

そうして、セティが、
次に自身の体で目を覚ました時には、
その体はパート1でも登場した、
女神マアトの鎮座する法廷に横たわっており、

それはつまり、、、

カリがあの後、セティの体を王墓の外に出すのを成功して、
タレクが無事に体を整えて元いた棺に戻してくれたことを意味していました。

そのことに、心の奥底から感謝をすると共に、
セティはようやく女神マアトの執り行う、
「死者の審判」を受けることができるようになりまして、

ゆっくりと女神マアトの向かいに立ち、
その女神マアトの持つ秤に自身の心臓を乗せます。

そして、女神マアトは、
その秤に載せられた心臓とセティを見定めるようにして、
セティにいくつかの質問をしていくのですが、、、

この時、セティは、、、

作中の中で未だ明らかになっていなかった、

王墓崩落事故の際に、
自身の心臓に短刀を突き刺した者の名前と、
なぜか把握しているその動機を明らかにするのですが、

それはぜひ実際に本作を読んで、
驚きでひっくり返ってみてはいかがでしょうか。

◆おわりに


いかがでしたかね!

今回のこのパート3の投稿では、
2024年1月23日に宝島社さんから発行されました、
白川尚史(しらかわ・なおふみ)先生の『ファラオの密室』の、

第四章「砂漠の密室」とエピローグの完全要約をお届けしてきました!

正直、ミステリーのガチ要約はかなり神経をすり減らすというのを、
夕木春央先生の『方舟』や丸山正樹先生の『夫よ、死んでくれないか』の要約で、
嫌というほど思い知っていたので、それらの要約を終えた時には、

もうやりたくないかなぁ、、、

と思っていたんですが、
気が付けば、また、ミステリー要約しているというね。
しかも『このミス』大賞。超大変だった。

また、今週お届けしてきました、
白川尚史先生の『ファラオの密室』につきましては、

本編の最後にも述べたように、
投稿内で紹介しきれていない内容もまだまだ残っていますので、
もし今週の投稿をご覧いただき、実際に読んでみたいと感じた方がいましたら、
ぜひ下記のAmazonのリンクからご購入して、ご一読いただければと思います。

そうしてその時にはやっぱり、、、

紀元前1300年代の古代エジプトが舞台の密室ミステリーに、
興奮が覚めやらないかもしれませんし、

また私が見つけられなかったミステリーの伏線を、
回収できるかもしれませんが、

それは皆さん次第です。ご健闘を祈ります。

ぜひ週末は、
第22回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞された、
古代エジプトが舞台でミイラが主人公の密室ミステリーを味わえる読書の旅を、
堪能していきましょう!

では、この投稿が面白いと感じた方は「スキ」!
また、次回の投稿も見逃さないように「フォロー」!
どちらもお忘れなきようこれからも応援してくれるととても嬉しいです!

それでは、また次回の投稿でお会いしましょう!またね!

◇紹介書籍リンク

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