「人の愚痴」を10円で買う。と言うヒーロー活動をしていたら。
僕の友達の、ミズノアユミ。
彼女は陶芸家になるために僕と同じ愛知県から上京してきた。
陶芸なら、愛知県の瀬戸市や常滑がさかんなのだが彼女は「陶芸をもっと世の中に広めるため」敢えて情報網の広い東京へやってきたのだ。
一方で、そんな彼女が最近やっている活動がこちら。
こんなダンボールを持って街中に立ち、人の愚痴を買っているらしい。
怪しい。
明らかに"ヤバい奴"だ。
今回は僕も同行し、彼女と一緒に秋葉原で「人の愚痴」を10円で買う活動をしてみた。
声をかけられたのは3組。
一組目は、就活中の大学生。「すっきりした」と言ってくれた。
二組目は、アパレル店員のお姉さん。どちらかと言うと珍しくて話しかけてきた感じだったけど、まあ楽しそうにしてくれたから良かった。
三組目。石川県から観光でやってきた20歳のゆーやくん。友達と来る約束だったが、ドタキャンされたみたい。秋葉原で好きな絵描きさんの個展があったらしく、その帰り道だったらしい。
なんだか放っておくのもあれだったので、「人の愚痴を買う」活動を止め、急遽ゆーやくんの東京観光に付き合う事に。ミズノと一緒に3人で浅草へ。
彼にはやりたい事があり、高校卒業後は特に進学とかはせず。
彼の好きな事とは、絵を描く事。
将来の夢は"イラストレーター"になる事だ。
しかし、自信がない。との事。
話しを聞いていると彼の悩みは、僕が役者を目指し上京したばかりの頃と重なり。彼の気持ちが痛いほど分かってきた。
「好きな事を仕事にしたい。」
「だけど自分にはまだそんな実力がない。」
「今の自分のレベルでは絵を人に見せられない。」
僕も全く同じだった。
役者を目指し上京したものの一向に上手くいかず、自信が持てなかった。
共感してしまい、必死で「大丈夫だよ。」「いつか報われる時が絶対くるから。」と僕なりに一生懸命伝えていたら彼の顔付きが少し変わっていた。
ミズノも僕を見て「なんか感動した。」とか言ってくれた。
自分で思ってみても、こんなにも利他的になれたのは始めてかもしれない。
少しでも彼を救いたいと思ったので、浅草でのご飯は僕とミズノでご馳走し。その後はライトアップされたスカイツリーが綺麗に見える隅田川沿いで、黄昏ながら自らの失敗談や体験談を話し、気が付いたら僕もミズノもなんかずっと彼の事を勇気づけようとしていました。
自分でも、誰かのためにこんなに本気になれるんだ。と再確認できた1日でした。
お互い、頑張ろうな。
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