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困難な状況でこそわかる敵と味方、Salesforceシステム管理者の話
水面に石を投げ込んだとき、波紋が広がる様子をじっと見つめていた。小さな衝撃から始まる変化が、どこまで及ぶのかは投げてみるまでわからない。Salesforceのリファクタリングに着手すると決めたとき、まさにあの波紋を思い出した。
リスクを読みづらい状況なのに、進まなければいけない場面があった。相手先の要望は曖昧で、周囲も腰が引けている。それでも「やってみよう」と決めたのは、どうしようもなく閉塞感を抱いていたからだ。投げてみないと何も変わらないと思った。
Salesforceリファクタリングに踏み切った瞬間
ちょうどシステム改修の波が来ていた。自分が担当しているSalesforceでも、複雑になったカスタマイズをシンプルにする必要があった。リリース優先でスケジュールは厳しく、リソースも限られた状況だった。
そのとき思い浮かんだのが、あの水面に石を投げ込んだ場面だった。リファクタリングに着手することでどんな波紋が広がるのか、誰にも正確にはわからない。しかし動かさない限り、いつまでも既存の問題を抱えたままだ。いっそ石を放り投げてしまおう、と腹をくくった。
リリース後に襲ってくる不安と心臓の鼓動
システム改修を終え、いよいよリリースの日がやってきた。完了報告を出した後、ふと「リリース直後に障害が起きているかもしれない」という恐怖がよぎった。動悸が早まり、胸の奥がキリキリと痛む。
リスクの見えづらい部分を抱えつつGOサインを出した責任も重かった。ユーザーから「使えなくなった」という連絡が来ないか、エラーが発生していないか、そんな疑念が頭から離れない。リリース後の数時間は、椅子に座っているだけで何度も神経をすり減らした。
困難な状況でこそわかる敵と味方
実際に問題が発生したとき、サポートの窓口にはクレームや理不尽な要求が押し寄せた。いわゆる「当たり屋」的な利用者に出くわすと、正直心が折れそうになる。こっちの話をまったく聞いてくれず、とにかく責任を負わせようとするケースも過去にはあった。
一方で、予期しないエラーを一緒に検証してくれる仲間もいた。遅くまで原因を探り、対策案を持ち寄ってくれる姿に救われた。困難な状況で敵味方がはっきりするというのは本当だな、としみじみ思った。
まとめ
あのとき水面に石を投げ込んだ感覚でリスクの読めないシステム改修に踏み切らなかったら、ずっと同じ問題を抱えたままだった。リスクがあっても進めた結果、自分がどういう立場で仕事をしているのかも改めて見えてきた。
正直、リリース直後の不安は今思い出しても胃が痛くなる。だけど、その波紋の向こうに新しい視界が開けたことだけは間違いないと思っている。