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真夜中のピアス

みんな哀しくないのかね
こんな時代で悲しくないのかね
戦争と地震と疫病で足元が
揺らいでいるというのね
だけどあたしはわかっているんだよ
怖がるだけ損だということも
あれから幾年 経ったのかね
光に満ちていたあの時代
真夜中、第三京浜
鎌倉から江ノ島 闇雲に走ったよね
 
みんな哀しくないのかね
雨の夜明けは悲しくないのかね
あたしはお酒を掌にすくって
路面電車に揺られてる
あたしはわかっているんだよ
無理に帰ることもないんだと
店から更けた裏通り みんな
コンビニに吸い込まれてゆく
夜明けの 裏通りは
祭りのあと カラスも嘲う

小花模様の長いスカート
今夜あたしはあなたに逢いたくて
たぶん誰のせいでもない
ピアスをつけてみた
なおさらあたしはわかっているんだよ
時代のせいにしてしまおうかと
勝手知ったる あの人の心に
真夜中 倒れこんでしまいたいが
背中まで夜に隠され
陽炎の恋 真夜中なのにさ
あたりはいいけど いつもファールで
ホームベースまでは ほど遠い
サインが欲しくてベンチを見たら誰もあたしを見ていない
あたりはいいけど いつもファールで
ホームベースまでは ほど遠い
サインが欲しくてベンチを見たら誰もあたしを見ていない
誰もあたしを見ていない
誰もあたしを見ていない




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