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酔眼旅日記 奥会津

会津の沼沢湖付近の古くて傾いだバス停で雨宿りをしながらバスを待っていたらノラネコが来た。 寿司屋みたいな顔をしていたから名前をスシマサと名付けた。二人でしばらく外を眺めていると今度はノライヌが来た。
体中に麦の穂をくっつけていたから名前をムギギと名付けた
三人でしばらく雨を見ていた。
すると今度はバス停の隣の樫の木にカササギが来た。
せっかくのしっとりとしたよい空気感の中、ギャーギャー騒ぐ。
名前をアギャと名付けた。
ぼくと、スシマサとムギギとアギャ、合計4人で降りしきる雨と空を見ていた。
しばらくして会津若松行きのバスが来た。
バスの一番後ろの席に乗り込みバスが走り出す。 後ろを見るとその3人がぼくをずっと見ていた。
あいつらは見送りに来たんだなと思った。
ぼくは柔らかな気持ちになり一泊二日の短い旅の宿、 喜多方の熱塩温泉というところに向かった。
あいつらのおかげでふわりとした気分の良い旅になった。目的も何もない。それだけで充分なのだ。 ただあの3人は僕がつけた名前をあまり気にいらない様子だった。 ま、いいや、またあおうね。

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