モンゴルで3日間馬に乗りまくるツアーに参加したときの話
今からする話は、モンゴルで馬に3日間乗りまくるツアーに参加して、めちゃ楽しかったという話ではなく、どちらかというと「#恥ずかしい話」であり、「こんなとき、あなたならどうする?」という哲学に近い話です。
30歳ごろ、モンゴルで馬に3日間乗りまくるツアーに参加しました。
見渡す限りの真っ平らな、地平線が向こうに見えるモンゴルの草原で、馬に乗りまくるツアー。
馬に乗った瞬間、自分でも顔がにやけるのがわかるし、草原を駆けた日にゃあ、最高すぎて、これだよ、これがしたかったんだよ!と参加者がお互いの顔を見合わて、にやける、そんな感じのツアーでした。
参加メンバーは日本人6人で、初めましての10代~40代までの男女。
現地ガイドはモンゴル人の若者2人に加え、翻訳ガイドのロシア系女性がついてくれ、さらにモンゴル人若者のいとこが2人(7歳と9歳ぐらい)がついてくるという。
そのツアーでは、最初から見よう見まねで馬に乗って(意外に乗れる)、
慣れてくると、ぱっかぱっかと小走りで、最後は鐙(あぶみ)に立って馬を走らせることができるというイカしたツアーでした。
ちなみに、馬って他の馬に倣うみたいで、前の馬が走りだしたら、自然に走りだしていくとのことで、それで僕らも走らせることができたんですね。
それで、少し慣れてきたときに、そのモンゴル人ガイドのいとこの男の子(7歳)が、言葉は通じないながらも、隣に馬を並べて、にこにこしながら、
脱脂粉乳のようなチーズを渡してくれて、なんか懐かれちゃったなという、うれしさと、ええかっこしぃの僕はそれを食べたんでした。
そして、その後、強烈に僕はお腹をくだした。
もともと強いほうでないので、そりゃまあ、強烈にキタ。
もちろん、ええ感じにトイレがあるわけもなく、馬の背の絶妙な振動に揺られながら我慢しきれるわけもなく、途中何回かみんなの馬をとめてもらって、草むらにかけこむを繰り返す。
そうこうしているうちに、ひときわ大きな草原に到着して、昼ご飯を食べ、馬に乗ってさあ出発しようという段になって、やっぱりキタ。案の定、キタ。
これまたきたよ、キタキター!という感じになり、このタイミングを逃すと、またみんなに迷惑をかけると思って、乗っていた馬を降りて、草むらを探してささーっと駆けだす。
っが、あれ・・?
草むらがない。
見渡す限りの大草原。
さっきまではあったのに、どこにもない。
見渡す限りない。
後ろを振り返る。
都合よく、みんな、馬に乗って、こちら側に背を向けている。
(誰も馬を自在に振り返らせる技術を持っていないから、たぶん、大丈夫)
問題はモンゴル人たちだ。
噂によると、彼らは視力8.0もあるんじゃないかという。
あとで日本人が"する"ところを見たとか、他のモンゴル人に言われても嫌だし、他の全日本人に申し訳ない。
てか、そもそも、そんなところを人に見られたくない!
心配そうに見てくれているモンゴル人たちよ、ロシア系ガイドのきれいな女性よ、頼むから向こうを向いてくれ。
こうなったら、見えなくなるぐらいの距離、豆粒ぐらに見えるぐらいに離れるしかない。
だけど、どれだけ走っても豆粒にならないし(意外に姿形って見えるんだよ)、今にも出そうな状況でそんなに走れるわけでもなく、みんなを待たせている気持ちも手伝って、諦めの気持ちがでてくる。
自分の視力で姿形が見えているぐらいだから、モンゴル人たちは、僕の一挙手一投足が見えているに違いない。
でも、もう仕方ない。
っで、いざ、座ろうと思ったら、そこで、はたと止まる。
前向きに座ったらいいのか、後ろ向きに座るがいいのか、どっちがいいんだろう?(ええぇぇー、どっち!?)
モンゴル人たちが見ている中、
彼ら側を向いて座るのか、
彼らに後ろをぷりんとみせて座るのか、どっちがいいんだろう?という命題に出くわす。
どっちがよりマシなんだろうか?(あなたならどうしますか?)
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ちなみに、僕はこの問題に気づいたとき、
(座りかけたけど)もう一度、走り出した。
さっきまでのチンタラ走りじゃなくて、本気ダッシュで!
でも、結局、あまり状況は変わらず、
考えた結果、
横向きに座った。
そう、横向きに座ったのだよ。
前もヤダ。
後ろを見られるのもヤダ。
じゃあ、横向きだ。
思いついた瞬間、天才かよ!と思った。
とはいえ、横向きの座り姿を見られるのも恥ずかしいと思いながら、順調に式次第は進んでいき、あとは紙で拭くだけと思ってたら、、
ツアー仲間の馬が1頭、くるっとコチラ側に向きを変えた。
ほわっ!!?!!
馬は他の馬に倣う習性がある
とは、ほんとにそうで、1頭がくるっと向きを変えると、それはもう見事に、くるっ、くるっと、オセロでもここまで見事に一気にひっくり返らねぇよっていうぐらいに、みんなが順番に向きを変えて、みんなが僕のほうを見た。
みんながこっちを向いたまま、僕は紙でふき、ズボンをはく。
どう考えても、遠目からでも何をしているのかわかる。
みんなの元に走って戻ろうとするんだけど、小走りになったり、歩いたり。
無駄に遠いし、耳には風の音だけが聞こえる。
近づいたとき、みんなの顔が見れなかったし、たぶん、僕は能面のような顔をしていたんだろうと思う。
今でも覚えている。
馬に乗って、隣の馬に乗っている人(女の子)にどう取り繕ったらいいかわからなくて、どうにか取り繕いたくて
「なんでこっち向いたん?」
って聞いたら、返ってきた言葉は、
「だって・・(馬が)」だった。
こんなことが今後の人生で誰かの身に発生するかわからないけど、とりあえず、そんな人に向けて僕が言うとするなら、僕のおすすめは「横向き」です!(あと、脱脂粉乳をもらっても気軽に食べるな!も付け加えておきます)
P.S.
この話には後日談がある。
あるとき、昼間、高速道路(日本)で、えらい渋滞に巻き込まれたことがある。かなり長時間だったので、トイレ行きたい人いたら、可哀そうだなぁ(大変だろうな)と思って、ノロノロ進む車の中、路側帯をふと見たら、
ハンカチで顔を隠したご婦人が、コチラ側(道路側)を向いて、ずらして、しゃがんでらっしゃっいました。
ああ、貴方は「前向き」を選ばれたんですね。
ハンカチで顔を隠すのはさすがですね。思いつきませんでした。
と静かに僕は思いました。ほんと、同じ経験をした人しかわからない、ほんと究極の選択です。