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DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法×まちづくり

スキマ時間で読むには相当に時間がかかった432ページ本だが、その価値はあった(20日くらい持ち運んだので少し体力もついたかもしれない)。

地球温暖化を「逆転」させる具体的な方法。
カテゴリーは下記の8つ

  • エネルギー

  • 女性と女児

  • 建物と都市

  • 土地利用

  • 輸送

  • 素材

  • 今後注目の解決策

特に、「建物と都市」「土地利用」「輸送」は都市計画(狭義のまちづくり)とも縁が深い項目がならんでいる。逆に言えば、今までサステナビリティとあまり紐付けられてこなかったまちづくりも、その価値をしっかり認識すべき…ということなのだろう。

「歩いて暮らせる街づくり」
王道中の王道のような都市デザイン。
・解決策総合ランキング 54位
・2050年までのCO2削減 2.92ギガトン
・正味コスト・節減額 N/A・350.77兆円

「自転車インフラ」
CASEもよいけど20世紀の正のレガシーの活用もね。
・解決策総合ランキング 59位
・2050年までのCO2削減 2.31ギガトン
・正味コスト・節減額 -216.89兆円・42.85兆円
 (既存の自動車道を転換するから?)

「グリーンルーフ」
景観デザインのノウハウはこちら方面に拡張できるはず。
・解決策総合ランキング 73位
・2050年までのCO2削減 0.77ギガトン
・正味コスト・節減額 148.08兆円・105.77兆円

「森林保護・沿岸湿地・植林」
国土〜地域レベルの計画となるが、都市と田園のエリアを一体で考える必要。これも都市計画法改正などの中で議論されていたハズなのだが。
・解決策総合ランキング 38位・52位・15位
・2050年までのCO2削減 6.20+3.19+18.06ギガトン
・正味コスト・節減額 3.15兆円・41.98兆円
 (森林保護・沿岸湿地はN/Aなので植林のみ)

ここまで具体的に示されると、創造力が弱い人も、食わず嫌いでなんとなく環境に踏み込まなかった人も考えざるを得ない。

また、例えば「建物と都市」カテゴリーレベルで見ると、2050年までのCO2削減は54.49ギガトンのポテンシャルがあるだけでなく、正味コスト527兆円に対して、正味節減額が1,016兆円になるポテンシャルを持つ。投資リターンとしても約4倍だ。

もちろん、CO2削減という観点から見ると、他のカテゴリーでもっとリターンが高いものもあるが(こちらも一見の価値あり)、少なくとも価値のある投資であることは間違いない(だいたい、みな試算なのでカテゴリー間の競争はあまり意味もない)。

2016年に排出されたCO2の量が36ギガトンとのこと。まちづくりが貢献できるのはもちろん一部でしかないのだが、そもそも都市計画は、総合的な技術体系を地域特性に合わせてコーディネートしていくこと(だと思っている)。

人新世とも呼ばれるほど人類が地球に影響を与えるようになり、世界人口が急増しつつも、ピークは意外に早く来るかもしれないという今、人口減少下の日本のまちづくりは、持続可能な都市・社会にどう貢献できるのか。


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