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都市の負債を資産に変えるためには何が必要か?(Kindleには載っていない)
以下は、『アーバニスト ―魅力ある都市の創生者たち』(2011.11、ちくま新書、中島 直人, 一般社団法人アーバニスト)で掲げている言葉である。
「もし都市の負債を資産に変えようとするならば、都市計画家や測量技師ではなく、より多くの「アーバニスト(urbanist)」と「社会起業家(social entrepreneur)」が必要となる」
出典は『Sustainable Urban Neighbourhood - Building the 21st Century Home』(David Rudlin & Nicholas Falk, Architectural Press, 1999)。
メインオーサーの中島さんに頼りきりで、この言葉をそのまま使ってしまっていたのだが、やはり出典には当たらないと前後の文脈やニュアンスがわからないな…ということで、遅まきながらKindleで原著を購入。
ところが、「それっぽい文章が見つからない!」。冷や汗をかきながら中島さんに尋ねたところ、Kindle版(コピーライトを見ると2008年?)には載っておらず、1999年の第一版のエピローグにあるとのことで原文を提供いただく。焦った…。
※一応、紙版(ペーパーバック)も買ったのだが、また版が違うかもしれないし、洋書なのでなかなか届かない…。
…という訳で、「ネットには載っていない」大事な情報なので(検索したけど載ってなさそう)、こちらにてメモ。
オリジナル
4. Having the guts to innovate: going from vision to results also means knowing when to take direct action. Almost all the success stories have involved someone taking risks, and going against the tide. Some have been led by community groups. Others have been led by former professionals, such as architects or planners, who have set up their own development companies.
Project management is an under-appreciated set of skills, and should form part of the planner's training and tool-kit. As Sir Oscar Lewis said of development planning in the Third World, the only way to learn to play the violin is to start playing.
Unfortunately the training required is not readily available. We could learn from American business schools and from post graduate education on the Continent. Case study based masters degrees, should develop interpersonal skills and be interprofessional.
Capacity can also be built by short courses run by people who have actually 'done it’. Another way is to use periods of secondment supplemented by networks and 'action learning' groups. The growing number of partnerships that bring different organisations together are breaking down sectoral and professional divides.
However the professional system still fails to recognise the importance of urban design and urban economics. As Lord Roger's Urban Task Force:seems to be suggesting, we need more 'urbanists' and 'social entrepreneurs', not planners and surveyors, if we are to turn liabilities into assets. This can be encouraged through changes in the professional system, for example to recognise those who have demonstrated experience.
和訳
イノベーションに向けた勇気を持つこと:ビジョンから結果に移行することは、直接行動を取るべき時を知るということも意味します。
ほとんどすべての成功事例には、リスクを取り、潮流に逆らった誰かが関与しています。コミュニティグループが主導したものもあれば、建築家やプランナーなどの元専門家が自らの開発会社を設立したケースもあります。
プロジェクト管理は過小評価されがちなスキルセットであり、プランナーのトレーニングやツールキットの一部を形成すべきです。オスカー・ルイス卿が第三世界の開発計画について言ったように、バイオリンの弾き方を学ぶ唯一の方法は、実際に弾き始めることです。
残念ながら、必要なトレーニングは容易には手に入らないのが現状です。アメリカのビジネススクールやヨーロッパ大陸の大学院教育から学ぶことができるでしょう。ケーススタディに基づく修士課程は、対人スキルを育成し、専門職間の連携を促進するでしょう。
また、実際に「やってみた」人々が運営する短期コースによって能力を高めることも可能です。別の方法としては、ネットワークや「アクションラーニング」グループを補完する形での出向期間を利用することがあります。異なる組織を結びつけるパートナーシップの数が増えており、セクター間や専門職間の壁を打破しています。
しかし、「専門職」システムは依然として都市デザインや都市経済の重要性を認識していません。ロジャース卿の都市タスクフォースが示唆しているように、資産を負債から転換するためには、プランナーや測量士ではなく、より多くの「アーバニスト」や「社会起業家」が必要です。これは、経験を示した人々を評価するなど、専門職システムの変更を通じて促進されるべきです。
※改行は適宜追加、和訳はAIを元に一部ニュアンスを修正
※Kindle版にはこの記述はないので注意
都市の負債を資産に変えるためには?
やってみなはれ(それをやるのが、「アーバニスト」と「社会起業家」)
「専門性」に閉じこもるな(プロジェクト管理≒総合性(?)が大事
「分野」にも閉じこもるな(シティラボ東京もパートナーシップを促進する場でありたい)
…という感じでしょうかね?