ちいかわ:ハチワレの言語感覚は昔の人のもの?

喜びがない~....

この端的に心の内を表したせつないセリフ。いつも生きる喜びに溢れたハチワレから発せられたことに一層心を締め付けられます。ナガノ先生の言葉のセンスに圧倒される表現ですが、私はこの言葉を聞いて明治生まれの年寄りが使っていた「果報がない」という言葉が頭に浮かびました。まさに喜びがないさまを表した言葉です。「果報がない」を一言で表す「無果報」という言葉があることをググって知りましたが、果報はどうも仏教に由来する言葉のようです。昔の人は初等教育を除くと、教養的なものに接する機会はお寺での説法が多かったりするので、いきおい仏教関係の表現が日常的に使われることが多かったように思います。「果報がない」から宗教色を抜いた表現が「喜びがない」なので、ハチワレが明治生まれの人と同じ言葉を発しているように思えたという意味でも非常に感慨深いシーンでした。

なんとかなれーッ!!

後がない大ピンチの時にハチワレが発する「なんとかなれーッ!!」。絶体絶命のシチュエーションの割にはどこかのんきな雰囲気を漂わせる味わい深い名ゼリフですが、こちらも同様な場面で発せられる昔の日本語の表現を思い起こさせます。すなわち、「南無三!」であったり、「南無八幡大菩薩!」であったりです。
「南無三」は南無三宝の略で、仏教への帰依を表明してその加護を得たいという心持ちから発せられるまじないですが、令和にあってはほぼ死語でしょう。昭和の時代にはしばしば見かけた言葉ですが、その古めかしい語感が逆にかわいくてお気に入りの言葉です。これが「神さま!」や「仏さま!」では味わいがないですね。
「南無八幡大菩薩」まで行くと時代劇などでしか耳にしないかもしれませんが、こちらは戦いの神である八幡神に加護を願う言葉ですね。ハチワレにも八幡神のご加護があって欲しいです。

以上、昔の人が使っていた言葉から宗教色を抜くとハチワレのセリフになるという例でした。


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