3.通貨ベクトルチャートの見方
通貨ベクトルのチャートは通貨ペアの2つの通貨の単独の仮想的な値動きを表現しています。
下記はEURUSDの理想的な1時間足の通貨ベクトルのチャートになります。
サブ画面に表示されているのが通貨ベクトルになります。
このチャートではEURとUSDの2つの通貨の通貨ベクトルを表示しています。
さらに通貨ペアEURUSDの値動きを見るためにEURとUSDの通貨ベクトルの差分を表示しています。
この差分の線は
①EURの通貨ベクトル(水色)が上昇し、USDの通貨ベクトル(黄色)が下降している時にこの差分の線はEURUSDの上昇を示し青い線で表示され、
逆に②EURの通貨ベクトル(水色)が下降し、USDの通貨ベクトル(黄色)が上昇している時にこの差分の線はEURUSDの下降を示しピンク線で表示されています。
差分の線が青からピンクに切り替わるときが通貨ペアの上昇➡下降の転換点③を示し
ピンクから青に切り替わるときが通貨ペアの下降➡上昇の転換点④を示します。
このポイントはエントリーや決済の判断に利用できます。
但し通貨ベクトルだけでは判断としては根拠が足りないので、他の根拠と併用して判断することも必要です。
このチャートではEURとUSDの通貨ベクトルが中心を境に対称的に表示⑤されているので主にEURとUSD間の売買により成り立っていて、EURUSDの通貨ペアの方向性がある値動きを作り出していることが分かります。
この通貨ベクトルが中心を境に対称的に表示されている状態を⑤「アイパターン」と言い通貨ベクトルを見てこの「アイパターン」を探すことで、ある程度安定した値動きが期待できる、トレードに有利な通貨ペアを見つけ出すことが出来ます。
一方⑦EURとUSDの通貨ベクトルが平行に推移している時⑥には、EURUSDの通貨ペアの値動きは方向性が無いレンジ状態であることが分かります。
次にUSDJPYを例に不安定な相場について説明します。
次のUSDJPYのチャートで
⑦はUSDの通貨ベクトルは止まった状態でJPYが少し上昇し、USDJPYは少し下降してますが値動きとしては勢いがなく不安定な感じです。
この時JPYの値動きはUSDJPYの売買とは異なる要因で値動きしていることになります。
⑧はJPYの通貨ベクトルは止まった状態でUSDかなり上昇し、UDJPYは大きく上昇していますが値動きとしては突発的な上昇に見えます。
この時USDの値動きはUSDJPYの売買とは異なる要因で値動きしていることになります。
⑨はUSDの通貨ベクトルもJPYも共に下降していますが、JPYの下降の方が強いのでUSDJPYは上昇しているように見えます。
⑩ではJPYの下降が止まり、USDの下降が強くなったのでUSDJPYは急に下降してます。
この様に2つの通貨ベクトルがばらばらの動きをするときには通貨ペアの動きの予測は難しくまたトレンド出そうになっても安定せず取引が難しいい相場になります。
もう一つ典型的な不安定な相場について説明します。
下記はEURGBPのチャートですがEURとGBPの通貨ベクトルはほぼ同じ動きをしています。
この場合EURGBPのチャートを見るとEURとGBPの通貨ベクトルが平行して動いている時⑪では上下にヒゲの多いローソク足になっているのが分かると思います。
EURとGBPの通貨ベクトルがほぼ同じ動きをしているということは、EURとGBP間の取引はなく他の要因でEURとGBPが動いていることになります。
そのためEURとGBPの少しの値動きの差が影響し、ヒゲが出たり方向性の無い不安定な相場になります。
この場合トレードが難しい相場であるのことが分かるかと思います。
以上の様に通貨ベクトルは通貨ペアの値動きでは判別がつかないことが見えるようになります。
要するに通貨ペアの影を作り出している実態を見ることになるので、より多くの情報が見えると言うことになります。
FXで取引を行う場合、負けを減らすためには難しい相場には手を出さないことが重要ですので、こうした判断に通貨ベクトルを利用することが出来ます。
4.他の時間足の通貨ベクトル
これまで1時間足で通貨ベクトルの説明をしてきましたが、1時間足以外でも有効に機能しますので、
マルチタイム分析に利用することも出来ます。
参考までにEURUSDの1時間、15分、5分の通貨ベクトルチャートを掲載します。
チャートのAの部分では1時間足では通貨ベクトルの差分で上昇を示しています。
この時15分足ではEURの通貨ベクトルがUSDの通貨ベクトルの上にあるので、値動きの方向は上昇中ですが、点線部分で差分が一旦下降を示したのち上昇に転じているので押し目を示しているのがわかります。
またチャートのBの部分では1時間足では通貨ベクトルの差分で上昇を示しています。
この時15分足ではEURの通貨ベクトルがUSDの通貨ベクトルの下にあるので、値動きの方向は下降中ですが、点線部分で差分が一旦上昇を示したのち下降に転じているので戻りを示しているのがわかります。
この様に複数の時間足で押し目買いなどのエントリーポイントがわかりやすくなります。
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